うなぎ

牟矢宮鱈人

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うなぎ

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昼飯を食いに行こうと、会社の同僚とともに外に出た。

「俺は何にしようかな。唐揚げ定食かなぁ・・・おまえはどうする?」

どうということもない質問。会話のとっかかり程度のものだ。
それに対するヤツの答えが。

「俺はうなぎだ。英語で言うと I am eel !!」

???

何を言っているのだこいつは? 

隣にいるもう一人の同僚もあきれ顔だ。

「おまえなあ・・・冠詞がついてないじゃないか」

「いや、そうじゃなくてな。《am》だろ、問題は」

「この《 eel 》は概念としての『うなぎ』であるから、冠詞は不要だ。an も the も必要ない」

???

「全てのうなぎは俺であり、全ての俺はうなぎである。かくして『俺』と『うなぎ』は等号で結ばれるのだ」



結局俺は唐揚げを食いに定食屋に入り、ヤツは鰻屋に入った。景気いいなくそ。
それにしても意味不明だったな。
前からつかみどころのないヤツだとは思っていたが。
うなぎだけにってか。

しかし・・・
あいつ、うなぎ食ったんだよな?
・・・共食い?
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