孤独になった俺は女教師とその妹と暮らすことになった

文字の大きさ
上 下
13 / 21

羽田先生の裏の顔

しおりを挟む
俺はあの日だけではなくそれ以降も泊めさせてもらい3日が経っていた。もちろん先生には連絡している。いつもなぜ泊まるのか聞いてくるが黙って電話を切った。羽田先生から有梨華先生の本心を聞いた以上家には帰れない。帰りたくなかった。この3日間授業がなかったのもあり有梨華先生と会うこともなかった。というよりも先生の姿が見えると気づかれる前に自然と隠れたり逃げたりした。

昼休みは図書室で静かに本を読んでいた。
今日も同じように本を読んでいた。
「やあ、星月 太陽 」
羽田先生の声が後ろから聞こえる。
前に正門で話した時と同じような口調だった。

「何ですか?」

「君に報告しようと思ってね。有梨華は最近君の悪口を言わなくなった。それは君と有梨華が会わなくなったからだ。君には感謝しているよ。この調子で有梨華とは一切関わらないでくれ。」
羽田先生はニヤリと笑うと上機嫌な様子で図書室から去っていく。

(俺の家には有梨華先生がいる。ということは家に帰れば先生と会ってしまう。帰る場所すらもなくなるなんて。)
正直、涼の家で何日も泊まらせてもらうのも気がひける。俺はどうすればいいのか分からなかった。

本を読む気もなくなった俺は図書室から出て廊下を歩いていた。
「太陽くんっ!」
後ろから久しぶりに聞く少し懐かしい声が俺の耳に入りゆっくりと振り向いた。
「有栖川先生」

「太陽くん。何で...何で家に帰ってこないの..」
有梨華先生は目をウルウルさせている。顔は真っ赤で息が切れていた。必死に走っていたのかもしれない。とにかく必死さが伝わった。

「先生は俺の悪口を職員室で言ってるって聞いて俺と先生が話すことはだめって..」

「誰が...誰がそんなこと言ったの?」
有梨華先生は今にも泣きそうな顔から冷たい顔になった。その怒りは偽りではないように思えた。

「羽田先生です。」

「まさか、あの羽田先生が...分かった。教えてくれてありがとね太陽くん。後のことは任せて。だから帰ってきてね?」
先生は俺にニコッと微笑んだ。
俺は有梨華先生を信じることにした。羽田先生の言っていることは全て嘘だと思うことにした。

何となく吹っ切れた俺はその後の授業に集中できた。ここまで集中できたのは久し振りだった。
そしてあっという間に時間は経ち俺はウキウキで正門を出た。
「やあ。星月 太陽」

「羽田先生。」

「君は有梨華に何を吹き込んだ?えぇ?答えてみろよ。まさか僕が有梨華にビンタされるなんてね。全て君のせいだ。僕は君を許さない。覚えておくんだな。」

全て羽田先生の仕業だ。何が目的かは分からないが自業自得だと思った。

「俺は羽田先生のことは信じませんから。」
俺は強く言い切った。

「羽田先生こんな所で何してるんですか?」
羽田先生の後ろから有梨華先生がゆっくりと近づいてきた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

ヤクザの娘の本心を俺だけは知っている

青井風太
恋愛
赤城遥の通う高校には有名人がいた。 容姿端麗で成績優秀、ドラマでしか聞かなそうな才を持ち合わせた青崎楓は学校中から注目を集めていた。 しかし彼女を有名人たらしめる理由は他にある。 彼女は関東最大規模のヤクザ組織【青龍会】会長の愛娘であった。 『一人で暴走族を壊滅させた』『睨みつけるだけで不良が逃げ出した』などの噂が学校中に広まっていた。 ある日の放課後、忘れ物を取りに教室に戻ると遥は目撃してしまう。 ぬいぐるみに話しかけているヤクザの娘の姿を・・・

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...