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羽田先生の裏の顔

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俺はあの日だけではなくそれ以降も泊めさせてもらい3日が経っていた。もちろん先生には連絡している。いつもなぜ泊まるのか聞いてくるが黙って電話を切った。羽田先生から有梨華先生の本心を聞いた以上家には帰れない。帰りたくなかった。この3日間授業がなかったのもあり有梨華先生と会うこともなかった。というよりも先生の姿が見えると気づかれる前に自然と隠れたり逃げたりした。

昼休みは図書室で静かに本を読んでいた。
今日も同じように本を読んでいた。
「やあ、星月 太陽 」
羽田先生の声が後ろから聞こえる。
前に正門で話した時と同じような口調だった。

「何ですか?」

「君に報告しようと思ってね。有梨華は最近君の悪口を言わなくなった。それは君と有梨華が会わなくなったからだ。君には感謝しているよ。この調子で有梨華とは一切関わらないでくれ。」
羽田先生はニヤリと笑うと上機嫌な様子で図書室から去っていく。

(俺の家には有梨華先生がいる。ということは家に帰れば先生と会ってしまう。帰る場所すらもなくなるなんて。)
正直、涼の家で何日も泊まらせてもらうのも気がひける。俺はどうすればいいのか分からなかった。

本を読む気もなくなった俺は図書室から出て廊下を歩いていた。
「太陽くんっ!」
後ろから久しぶりに聞く少し懐かしい声が俺の耳に入りゆっくりと振り向いた。
「有栖川先生」

「太陽くん。何で...何で家に帰ってこないの..」
有梨華先生は目をウルウルさせている。顔は真っ赤で息が切れていた。必死に走っていたのかもしれない。とにかく必死さが伝わった。

「先生は俺の悪口を職員室で言ってるって聞いて俺と先生が話すことはだめって..」

「誰が...誰がそんなこと言ったの?」
有梨華先生は今にも泣きそうな顔から冷たい顔になった。その怒りは偽りではないように思えた。

「羽田先生です。」

「まさか、あの羽田先生が...分かった。教えてくれてありがとね太陽くん。後のことは任せて。だから帰ってきてね?」
先生は俺にニコッと微笑んだ。
俺は有梨華先生を信じることにした。羽田先生の言っていることは全て嘘だと思うことにした。

何となく吹っ切れた俺はその後の授業に集中できた。ここまで集中できたのは久し振りだった。
そしてあっという間に時間は経ち俺はウキウキで正門を出た。
「やあ。星月 太陽」

「羽田先生。」

「君は有梨華に何を吹き込んだ?えぇ?答えてみろよ。まさか僕が有梨華にビンタされるなんてね。全て君のせいだ。僕は君を許さない。覚えておくんだな。」

全て羽田先生の仕業だ。何が目的かは分からないが自業自得だと思った。

「俺は羽田先生のことは信じませんから。」
俺は強く言い切った。

「羽田先生こんな所で何してるんですか?」
羽田先生の後ろから有梨華先生がゆっくりと近づいてきた。
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