孤独になった俺は女教師とその妹と暮らすことになった

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2人でお弁当

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俺と有梨華先生は高校でほぼ使われない教室へとやって来た。先生曰くこの教室だったら人が来ることもないので2人で食べていても安心だもいうことらしい。
俺たちは2つの机を組み合わせてそこにお弁当箱を置いた。
「有梨華先生が先にお弁当食べてください。俺はその後から食べますから。」

「私がお弁当にお箸入れるの忘れたんだから太陽くんが先に食べて。」

「いや、先生が先に。」
「太陽くんが先だよ。」
有梨華先生も俺も譲らない。このままでは時間だけが経っていく。

「じゃあ、交代しながら食べていこ?私が太陽くんに一口食べさせたら次は太陽くんが私に食べさせて?」

先生が提案したのは食べあいっこだ。この教室に俺たち2人以外の人はいない。しかし流石に恥ずかしいものだ。
俺は黙って下を俯いた。
「太陽くん。あーんして。」

先生はスプーンを取り出して俺用のお弁当箱に入っている炒飯をすくって俺の口に近づける。
俺は目線を逸らして口を開けた。
先生はゆっくりとスプーンを口の中に入れてくれた。程よい味付けの炒飯が美味しい。

「次は私の番だよ。」

先生は口を開けて待機していた。
俺は先生用の弁当の中身にある玉子のふりかけがかかったごはんをすくい先生の口の中に入れる。

「ふふふ。美味しい。」
先生は目をニコッとさせて微笑んだ。
俺は顔が熱くなった。
しばらく食べあいっこをすると俺は徐々に慣れてきた恥ずかしさがなくなってきたのだ。

昼食を食べ終わり教室を出ようとした時に偶然にもある先生と出会ってしまった。
双葉 秋奈 先生だ。
「有梨華先生と星月くん。なんで2人がここに?」

「星月くんが宿題忘れたから説教してました。」
有梨華先生は冷静な顔で嘘をついた。俺が双葉先生だったらすぐに騙される自信がある。

「へぇ~お弁当箱を持って説教ですかー。」
双葉先生は俺たちを見てニヤニヤしている。
俺は有梨華先生の顔を見た。
先生がどう出るのか気になった。

「双葉先生には親友でもありますから全部話します。」

俺たちは椅子に座り話し始めた。
有梨華先生と俺が隣同士になり双葉先生と向き合うような形で座った。
まるで三者面談みたいな光景だ。

有梨華先生は遺言のことから妹の紗奈蘭さんと暮らしていること全てを話した。
双葉先生は特に驚いた様子もなく黙って聞いていた。

「なるほど。そういうとだったのね。」
双葉先生は砕けたような口調になった。

「くれぐれも他の先生方と生徒たちには黙っておいてくれませんか?」
有梨華先生は両手を合わせてお願いした。
俺も軽く一礼した。
先生たちもそうだが生徒たちに知られるのはもっとマズイ。

「んー別にいいけどタダで秘密守るのもあれだからー明日土曜日でしょ?明日から遊園地にあるズコーバックスで"カップル"限定期間限定商品が発売されるから
それを買って私にちょーだい。」

俺と有梨華先生はその場で固まった。
カップルという言葉に俺たちはフリーズした。
「カップル限定? 俺たちはカップルじゃありませんよ。」

「そうですよ!」

「だから、2人にはカップルのふりをして欲しいって訳だよ。」
秋奈先生はニヤリと笑っている。
やってやったぜ。みたいな顔をしている。


「分かりました。秘密保持の為ならそれぐらいします。ね星月くん?」

「あ、そうですね。有栖川先生が大丈夫なら俺もいいですけど。」

「じゃあ2人ともお願いねー。」
秋奈先生は俺たちにニヤニヤした顔を向けてから手を振って教室から出て行った。
秋奈先生がいなくなると俺たちも時間差で教室を出た。
会話もなく少し気まずい。
「じゃあ星月くんまた家でね。」

「はい。」
俺は先生に一礼してから走ってその場を去った。
気まずくて顔が見れなかった。
俺が先生と一緒に遊園地に....午後からはそのことで頭が一杯だった。
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