孤独になった俺は女教師とその妹と暮らすことになった

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俺は3人での夕食に感激する

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紗奈蘭さんが匂わせたことにモヤモヤしながら俺はひたすら麦茶を飲んだ。
有栖川先生はひたすら和菓子を食べていた。
「あっ、もうこんな時間だよ。夕食作らないとっ。」
有栖川先生は和室の壁に掛けてある古い大きな時計を見て言った。

「そうですね。俺も手伝いますよ。」

「だーめ。星月くんは座ってて。私たちで作るからっ」
先生は勢いよく立ち上がる。大きなたわわに実る胸も自己主張してぶるんっと揺れる。

(すげー。揺れたぞ。)

「あたしとお姉ちゃんで夕食作るから......」
紗奈蘭さんも立ち上がる。

「それにっ! 星月くんこの間の日本史の宿題提出してなかったでしょ? 夕食作る間にしなさいっ。」
普段優しい有栖川先生だが勉強のことになると少し怖い。
俺はカバンから宿題を取り出して問題を解き始めた。

それを見た有栖川先生たちは和室から出て行きキッチンへと向かう。
俺は日本史の宿題に集中して取り組もうとしているが頭の片隅には紗奈蘭さんの匂わせたことが気になっていた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

宿題を初めて30分ぐらい経った。
襖の隙間からいい匂いが和室に流れ込んでくる。
こんな美味しそうないい匂いは久しぶりだった。
「星月くん出来たよ~」
襖が開き有栖川先生と紗奈蘭さんが夕飯を運んでくる。

「冷蔵庫の余り物で作ったの...」
紗奈蘭さんがボソッと呟く

「明日仕事終わりにお買い物行ってたくさん買ってくるね。」

「それは俺がしますよ。」
料理も使ってもらったのに買い物に行かせるのは悪いという気持ちで一杯だった。

「星月くんは家に帰って宿題だよっ。ちなみにさっきの宿題終わった?」

俺はぎくっとした。まだ半分以上残っていたからだ。ヤバイ怒られるかもしれない。
少しビビっていた。
「まだです.....」

「んー仕方ないなー。夕食の後に一緒に宿題しよっか。」
一緒に宿題をする....こんな美人教師からの手ほどきを受けることができるなんて最高だった。

とりあえずまずは夕食ということで机を片付けてテーブルに白ご飯を盛った茶碗やらお箸やら緑茶が入ったコップ、肉じゃがにポテトサラダ、味噌汁を置いていく。

「凄いですね。2人が作るとこんなにもたくさんの料理を....」
俺は感激していた。

「明日はもっと豪華な夕食作ってあげるっ。」
先生は右目でウインクする。
俺の心はズギュンと撃ち抜かれてしばらく固まっていた。

「ねぇ、もう食べようよ....」
紗奈蘭さんがじとっとした目で俺と有栖川先生を見る。

「いただきますっ!」
俺たちは手を合わせて夕食を食べ始める。
どれも美味しかった。
一言も喋らずに俺は食事に夢中になっていた。こんなにも夢中になったのは本当に久しぶりだった。

「ねぇ、星月くんどう?美味しい?」

有栖川先生は俺の顔を覗き込む。その顔は少し不安そうな表情をしていた。

「美味しいですよ! 最高です!」

「よかったぁ~。」
先生の表情は曇った顔から一気に晴れた。
ドォーンとした顔からパァーンという感じだ。

「それに...なんか3人で食べるということが俺の記憶の中でも片手で数えるぐらいしかなくて...今すごく...嬉しいです...」
俺は視界が歪んでいた。気づけば涙がポロポロと頬をつたり鼻や口に垂れていく。

泣いている俺を見た有栖川先生はハンカチを取り出して俺の涙を拭ってくれた。

「今まで寂しかったんだよね。これからは私たちがいるからね。」
俺は有栖川先生の優しさに甘えたくなった。
幼い頃あまり甘えることができなかった反動かもしれない。

夕食を食べ終えると有栖川先生は紗奈蘭さんに洗い物を任せた。
「俺も紗奈蘭さん手伝いますよ。」
立ち上がろうとした俺を有栖川先生が止める。

「星月くんは宿題しないとダメだよ。先生が少し教えてあげる。」
俺は有栖川先生と宿題をすることを思い出した。
胸が再びドキドキする。
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