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笑い上戸な死鳥
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白波の花をちぎる。大きな心ごと散り散りに。体から力が抜け落ち、膝にアザが残る。冷たすぎる風が扇々と痛めつけて、そのまま去っていく。小さかった傷がひらいていく。ザラザラと。ギチギチと。少しずつ、大きく、渦巻くように、ひらいていく。
恋とは無情だ。
そう言っていた表情は見ていられないほどコッケイだった。笑うのを我慢するのは苦手だ。思わず吹き出した私を、彼女はジトリと睨みつけた。
「ごめんごめん」
「思ってないでしょ」
そんな軽口を叩きあえるくらいには元気な私たち。教室のカーテン裏で秘密の話を毎日のようにしている。クラスメイトや先生からは『鈴木』と『目白』のおしゃべりで『スズメの会議』なんて言われてるらしい。うん。いい響きじゃない。
「ちゃんと聞いてよ、美彩」
「聞いてるよ、千空」
ピーチクパーチク。ペラペラペラッパ。チュンチュクチュン。とにかくおしゃべりな千空の話を聞き流す。適当に相槌をうてば、千空は満足そうにおしゃべりを続ける。チャイムが鳴ってもお構い無し。先生に怒られるまでずっとしゃべり続ける。もはや病気。声を出さなきゃ死ぬ病気。周りも聞こえないほどの狂気。最近になれば、先生たちも放置。とにかく授業を進めようと千空に負けない声で話す。板書の音と千空の声。煩くて煩くて。一羽のスズメが窓枠に泊まった。可愛らしい声で首を傾げる。
「ねぇ、聞いてるの?」
「聞いてるよ、千空」
今日も授業が終わった。
母は優しくて強い人だ。怒ると鷹や鳶のような目をする。私はそんな母の目がとても苦手だった。
「ただいま」
「おかえり。学校どうだった?」
「……いつも通り、だよ」
「そう、よかった」
そう言うと、優しく微笑んでから台所に戻って行った。興味があるようで、実際はない。事務的な確認でしかない。母は私の事なんてどうでもいい。母だけじゃない。みんな、そう。なんだか笑えてくる。涙がこぼれないように、なんてテレビでしか聞いたことのない歌詞が、頭の中に流れる。階段を上がって、自室に篭った。
学校でできなかった勉強を部屋でする。なんて効率が悪い。右から左へ。左から右へ。流れていた先生の話なんて聞かなくても、教科書やネットがあれば内容なんてすぐに理解できる。苦手な分野は、時間がかかるけど。中学レベルの古典なんて、ほとんど今の日本語と変わらない。高校レベルがどんなものか知らない私が、勝手に顎先を突き出して笑う。ああ、なんかヤだな。
「ご飯できたよー!」
ため息を置き去りに、食卓に向かう。
朝日が登って、世界ごと私を照らして、焼き殺して、何もかもが重力に逆らって、流されるままに頷いていたら、やっと太陽が眠って、月が気まぐれに顔を出して、それから、それから、それから、
不意に声が聞こえた気がした。私を叱る声。違うのに。私じゃないのに。なにも悪くないのに。私はただ、叫びたいだけ。妄想の中では、たくさん叫ぶことができた。たくさん話ができた。たくさん殺すことができた。鶏の首を絞めるみたいな感覚が、ずっと手に残る。実際にはしたことないのに。どうしてか、リアルに、感覚を、味わってしまう。血管の運動が指先に伝わる。どくん、どく、どくどく、とく、と、く、とくん。生ぬるい温度が気持ちいい。離さないといけないのに、離れない。離したくない。引っ掻かれた手から血が滲む。痛いけど、痛くない。ミシミシ、なんてフィクションだった。ポキッと折れるわけでも、徐々に折れていくわけでもない。首の骨は、私なんかじゃ折ることができない。でも、死んだ。呼吸ができなくて。酸素も二酸化炭素もなくなって。苦しさで変な液体を垂れ流しながら、死んだ。手も足も変な匂いがする。吐き気と高揚感が胃の底からグツグツと上ってきて、喉が締まる。
ここまで全部妄想なのが信じられない。急いでトイレに駆け込むけど、なにも出ない。吐き気だけが、脳を困惑させた。
朝日が登って、世界ごと私を照らして、焼き殺して、何もかもが重力に逆らって、流されるままに頷いていたら、やっと太陽が眠って、月が気まぐれに顔を出して、それから、何もかもが嗤って、私を嗤って、ずっと嗤って、軽蔑して、真っ白になる。また、朝日が登って、世界ごと私を照らして、残酷な日々が繰り返される。
「将来の目標は?」
先生が上目で問いかけてきた。ムクドリの群れに怯えるハトみたいな顔。私の方を見ているようで、隣の母を盗み見ている。母は鳶の瞳で私を睨みつける。気に食わない答えが出たら、すぐに殺せるように。私をずっと監視してる。
将来なんてわからない。わかるわけない。思い通りにいかない明日ですら精一杯なのに、未来のことなんて考えられない。頭が痛い。耳が遠くなっていく。ふわふわした足元に、何かが通っていく。
「だから、あんなのとは関わらない方がいいって言ったのに」
「まあまあ」
「先生もそう思いません?」
「まあ」
まあまあ。まあまあ。煩い。曖昧な返事しかしないのは、関わりたくないから。母はとても面倒くさい。学歴が大事なのはわかるけど、私に理想を押し付けないで欲しい。
「少しでもいい学校に行ってね」
いい学校って、何。いい学校って、何がいいの。私のやりたいことは、何もかも無視するの。ねえ、あんたにとって、私は、なんなの。
今すぐ暴れたいのを、必死で押さえ込んで、私は涙目で答えた。
「うん」
千空が鳴く。ピーチクパーチク。大きな音で。ペラペラペラッパ。延々と。延々と、延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と!
「うるさい!」
「は、あんたの方がうるさいじゃん」
「黙ってよ、もお、黙ってってば!」
「美彩?」
白波の花をちぎる。大きな心ごと散り散りに。体から力が抜け落ち、膝にアザが残る。冷たすぎる風が扇々と痛めつけて、そのまま去っていく。小さかった傷がひらいていく。ザラザラと。ギチギチと。少しずつ、大きく、渦巻くように、ひらいていく。遠い遠い向こうに闇が見えた気がした。暖かくて、優しい、深い深い、闇。
私は、教室を飛び出した。せっかく見つけた温もりを離したくないから。
荒々しく扉を開ければ、案の定、母が怒鳴ってきた。煩いけど、これからのことを考えれば怖くない。だって、もう、会うことはない。関わることのない人に怯えるほど、私は馬鹿じゃない。
散らかった自室。そこだけ綺麗に整頓された机。その引き出しを開ける。小さな小さな紙を奥から引っ張り出して、また駆け出す。母が訝しげに私を睨んで、呼び止めた。
「どうしたの、忘れ物?」
「そう。ちょっとね」
「言ってくれれば、届けに行ったのに」
「触らないでほしかったから」
本音が口から溢れていく。いつもなら怖くて反発できないけれど、今なら、なんだってできる気がする。羽根が背中を押しているみたいだ。
「ちょっと、言葉を考えなさい」
「私の名前もろくに呼ばないくせに」
母は目を丸くした。ああ、いい気味。今日はなんていい日なんだろう。涙が溢れる。
「じゃあね」
永遠にさよなら。
軽い足取りで階段を駆け上がっていく。変な汗が背中を伝う。声が耳元で反響する。ざわざわざわざわ。ピンチュクチュクチュク。ガーガーガガッグァ。ヒョーヒィーンヒーヒョー。遠くなったり、近くなったり。とにかく声から逃げたくて。逃げたくて。逃げたくて。ピィーッピィーッ。ピーヒョロロロロロロ。叫び声が聞こえる。煩い。煩い、煩いうるさいうるさい。高い高い声から逃げるために、高く高く駆け上がっていく。羽をもがれた緑のメジロが必死に、駆けていく。白波の花が、足元に、散っていく。ホーホーホホーホーッ。キュルキュルキュルキュルキッキュ。息を切らしながら、やっと扉の前にたどり着く。錆びた鍵は壊すまでもなかった。
扉を開ける。冷たい風に当たる。心が軽くなったみたいでスキップした。
「墓々しい」
そう聞こえた気がした。
布越しのコンクリートはひどく冷たい。脱いだ靴の下で小さな紙が高風に煽られていた。下から声が鳴りわめく。陶器が重なる音と同時に私の体は強い重力で落とされた。まるで死鳥の気分。
最期の最後に耐えきれなくなって、吹き出した。
恋とは無情だ。
そう言っていた表情は見ていられないほどコッケイだった。笑うのを我慢するのは苦手だ。思わず吹き出した私を、彼女はジトリと睨みつけた。
「ごめんごめん」
「思ってないでしょ」
そんな軽口を叩きあえるくらいには元気な私たち。教室のカーテン裏で秘密の話を毎日のようにしている。クラスメイトや先生からは『鈴木』と『目白』のおしゃべりで『スズメの会議』なんて言われてるらしい。うん。いい響きじゃない。
「ちゃんと聞いてよ、美彩」
「聞いてるよ、千空」
ピーチクパーチク。ペラペラペラッパ。チュンチュクチュン。とにかくおしゃべりな千空の話を聞き流す。適当に相槌をうてば、千空は満足そうにおしゃべりを続ける。チャイムが鳴ってもお構い無し。先生に怒られるまでずっとしゃべり続ける。もはや病気。声を出さなきゃ死ぬ病気。周りも聞こえないほどの狂気。最近になれば、先生たちも放置。とにかく授業を進めようと千空に負けない声で話す。板書の音と千空の声。煩くて煩くて。一羽のスズメが窓枠に泊まった。可愛らしい声で首を傾げる。
「ねぇ、聞いてるの?」
「聞いてるよ、千空」
今日も授業が終わった。
母は優しくて強い人だ。怒ると鷹や鳶のような目をする。私はそんな母の目がとても苦手だった。
「ただいま」
「おかえり。学校どうだった?」
「……いつも通り、だよ」
「そう、よかった」
そう言うと、優しく微笑んでから台所に戻って行った。興味があるようで、実際はない。事務的な確認でしかない。母は私の事なんてどうでもいい。母だけじゃない。みんな、そう。なんだか笑えてくる。涙がこぼれないように、なんてテレビでしか聞いたことのない歌詞が、頭の中に流れる。階段を上がって、自室に篭った。
学校でできなかった勉強を部屋でする。なんて効率が悪い。右から左へ。左から右へ。流れていた先生の話なんて聞かなくても、教科書やネットがあれば内容なんてすぐに理解できる。苦手な分野は、時間がかかるけど。中学レベルの古典なんて、ほとんど今の日本語と変わらない。高校レベルがどんなものか知らない私が、勝手に顎先を突き出して笑う。ああ、なんかヤだな。
「ご飯できたよー!」
ため息を置き去りに、食卓に向かう。
朝日が登って、世界ごと私を照らして、焼き殺して、何もかもが重力に逆らって、流されるままに頷いていたら、やっと太陽が眠って、月が気まぐれに顔を出して、それから、それから、それから、
不意に声が聞こえた気がした。私を叱る声。違うのに。私じゃないのに。なにも悪くないのに。私はただ、叫びたいだけ。妄想の中では、たくさん叫ぶことができた。たくさん話ができた。たくさん殺すことができた。鶏の首を絞めるみたいな感覚が、ずっと手に残る。実際にはしたことないのに。どうしてか、リアルに、感覚を、味わってしまう。血管の運動が指先に伝わる。どくん、どく、どくどく、とく、と、く、とくん。生ぬるい温度が気持ちいい。離さないといけないのに、離れない。離したくない。引っ掻かれた手から血が滲む。痛いけど、痛くない。ミシミシ、なんてフィクションだった。ポキッと折れるわけでも、徐々に折れていくわけでもない。首の骨は、私なんかじゃ折ることができない。でも、死んだ。呼吸ができなくて。酸素も二酸化炭素もなくなって。苦しさで変な液体を垂れ流しながら、死んだ。手も足も変な匂いがする。吐き気と高揚感が胃の底からグツグツと上ってきて、喉が締まる。
ここまで全部妄想なのが信じられない。急いでトイレに駆け込むけど、なにも出ない。吐き気だけが、脳を困惑させた。
朝日が登って、世界ごと私を照らして、焼き殺して、何もかもが重力に逆らって、流されるままに頷いていたら、やっと太陽が眠って、月が気まぐれに顔を出して、それから、何もかもが嗤って、私を嗤って、ずっと嗤って、軽蔑して、真っ白になる。また、朝日が登って、世界ごと私を照らして、残酷な日々が繰り返される。
「将来の目標は?」
先生が上目で問いかけてきた。ムクドリの群れに怯えるハトみたいな顔。私の方を見ているようで、隣の母を盗み見ている。母は鳶の瞳で私を睨みつける。気に食わない答えが出たら、すぐに殺せるように。私をずっと監視してる。
将来なんてわからない。わかるわけない。思い通りにいかない明日ですら精一杯なのに、未来のことなんて考えられない。頭が痛い。耳が遠くなっていく。ふわふわした足元に、何かが通っていく。
「だから、あんなのとは関わらない方がいいって言ったのに」
「まあまあ」
「先生もそう思いません?」
「まあ」
まあまあ。まあまあ。煩い。曖昧な返事しかしないのは、関わりたくないから。母はとても面倒くさい。学歴が大事なのはわかるけど、私に理想を押し付けないで欲しい。
「少しでもいい学校に行ってね」
いい学校って、何。いい学校って、何がいいの。私のやりたいことは、何もかも無視するの。ねえ、あんたにとって、私は、なんなの。
今すぐ暴れたいのを、必死で押さえ込んで、私は涙目で答えた。
「うん」
千空が鳴く。ピーチクパーチク。大きな音で。ペラペラペラッパ。延々と。延々と、延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と延々と!
「うるさい!」
「は、あんたの方がうるさいじゃん」
「黙ってよ、もお、黙ってってば!」
「美彩?」
白波の花をちぎる。大きな心ごと散り散りに。体から力が抜け落ち、膝にアザが残る。冷たすぎる風が扇々と痛めつけて、そのまま去っていく。小さかった傷がひらいていく。ザラザラと。ギチギチと。少しずつ、大きく、渦巻くように、ひらいていく。遠い遠い向こうに闇が見えた気がした。暖かくて、優しい、深い深い、闇。
私は、教室を飛び出した。せっかく見つけた温もりを離したくないから。
荒々しく扉を開ければ、案の定、母が怒鳴ってきた。煩いけど、これからのことを考えれば怖くない。だって、もう、会うことはない。関わることのない人に怯えるほど、私は馬鹿じゃない。
散らかった自室。そこだけ綺麗に整頓された机。その引き出しを開ける。小さな小さな紙を奥から引っ張り出して、また駆け出す。母が訝しげに私を睨んで、呼び止めた。
「どうしたの、忘れ物?」
「そう。ちょっとね」
「言ってくれれば、届けに行ったのに」
「触らないでほしかったから」
本音が口から溢れていく。いつもなら怖くて反発できないけれど、今なら、なんだってできる気がする。羽根が背中を押しているみたいだ。
「ちょっと、言葉を考えなさい」
「私の名前もろくに呼ばないくせに」
母は目を丸くした。ああ、いい気味。今日はなんていい日なんだろう。涙が溢れる。
「じゃあね」
永遠にさよなら。
軽い足取りで階段を駆け上がっていく。変な汗が背中を伝う。声が耳元で反響する。ざわざわざわざわ。ピンチュクチュクチュク。ガーガーガガッグァ。ヒョーヒィーンヒーヒョー。遠くなったり、近くなったり。とにかく声から逃げたくて。逃げたくて。逃げたくて。ピィーッピィーッ。ピーヒョロロロロロロ。叫び声が聞こえる。煩い。煩い、煩いうるさいうるさい。高い高い声から逃げるために、高く高く駆け上がっていく。羽をもがれた緑のメジロが必死に、駆けていく。白波の花が、足元に、散っていく。ホーホーホホーホーッ。キュルキュルキュルキュルキッキュ。息を切らしながら、やっと扉の前にたどり着く。錆びた鍵は壊すまでもなかった。
扉を開ける。冷たい風に当たる。心が軽くなったみたいでスキップした。
「墓々しい」
そう聞こえた気がした。
布越しのコンクリートはひどく冷たい。脱いだ靴の下で小さな紙が高風に煽られていた。下から声が鳴りわめく。陶器が重なる音と同時に私の体は強い重力で落とされた。まるで死鳥の気分。
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