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8月2日
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甘い絶望が充満する部屋。この世で一番愛しい人に愛を拒絶された。優しい瞳と柔らかな声で存在を否定される。哀しみを綿菓子で包み、喉を通す。決してタイプではないけれど、その瞳が、その口元が、その耳が、その声が、その香りが、全てが好きで好きで仕方がなくて。でも、その言葉を受け止めてくれないのならば。
「私は、もうどうすることもできないよ」
恋とは、突飛的な衝動に近い感情である。対照に、愛とは、時間をかけて狂わせる本能じみた感情だ。私のそれは間違いなく愛なのだ。今さら、覆すことなどできない。生命の炎が燃え尽きるその瞬間もずっと愛しているだろう。私にとって、好きも嫌いも愛の一つ。それを取り上げられてしまったら、無関心になる他ない。そんなこと、できるわけが。
「でも、嫌なんだもんね。私からの愛が。嫌なんだよね。……私の愛の形も色もなにもかも」
目の前が滲む。安らぐ場所が崩れ落ちて、体が引き上げられる。貴方が認めてくれるから、日々を生きていられたのに。貴方が受け止めてくれたから、自分を愛せたのに。もうなにもいらない。興味ない。強がったって何も変わらない。朝日がムカつく。
眠りに就いた三時間後、午前六時。陽がカーテンを突き抜け、セミが鳴く。眠たくはないけれど、起きているよりはマシだ。惨めな思いのまま、二度寝を試みた。
「私は、もうどうすることもできないよ」
恋とは、突飛的な衝動に近い感情である。対照に、愛とは、時間をかけて狂わせる本能じみた感情だ。私のそれは間違いなく愛なのだ。今さら、覆すことなどできない。生命の炎が燃え尽きるその瞬間もずっと愛しているだろう。私にとって、好きも嫌いも愛の一つ。それを取り上げられてしまったら、無関心になる他ない。そんなこと、できるわけが。
「でも、嫌なんだもんね。私からの愛が。嫌なんだよね。……私の愛の形も色もなにもかも」
目の前が滲む。安らぐ場所が崩れ落ちて、体が引き上げられる。貴方が認めてくれるから、日々を生きていられたのに。貴方が受け止めてくれたから、自分を愛せたのに。もうなにもいらない。興味ない。強がったって何も変わらない。朝日がムカつく。
眠りに就いた三時間後、午前六時。陽がカーテンを突き抜け、セミが鳴く。眠たくはないけれど、起きているよりはマシだ。惨めな思いのまま、二度寝を試みた。
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