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一夜にしてお金持ち
しおりを挟む「ただいまぁー」
「ロッカちゃん、お帰りなさーい」
野営地に戻るとサーシャさんの熱烈歓迎を受けた私。
「ロッカちゃんこっちに来てぇー♡」
男子から少し離れた場所に引き摺られていく私。あーれぇー
「凄いの!あんなにスッキリとするなんて!あれがゴボウの効果なの?」
サーシャさんの興奮度の凄いこと、テンションMAXで有る。
彼女の様子から上手くいったことが分かった。昨夜の内に言って置いた「朝起きたら水をコップ1杯」を飲み、私達が帰ってくる頃に会わせて朝食の準備をしていた時にそれが来たのだと。
「始め苦しかったけど、も~、もぉ~~!なに、あれ!これがずっとお腹の中に有ったの?ってぐらいよ!」
いや~詳しくは言わなくても良いよ、寧ろ言わないでぇ~ 随分とスッキリしたんだろうな、ますます興奮がヤバイ。それと、薪を拾いに行っていたガストさんも満面の笑みで戻って来たときに「絶好調!」と叫んでいたそうだ。
「だったらあの二人もそうなのかな?」
今まさにトイレの争奪戦をしているローリーさんとダンカルさん。
「うおおー でたでた」
「ダンカル!出てくる時にクリーンを使って出てこいよ!」
ダンカルさんが気持ちよさそうに出てくると、入ろうとしていたローリーさんが顰め面で怒鳴っていた。
皆キツかったんだね。そんな様子を見ているとリュシウォンさんが近付いて来たので、
「リュシウォンさんは良いの?」
「ふふん。俺は見張りの交代の時と馬小屋でしてきたからスッキリとして居るぞ」
? 何時したの?ずうっと一緒だったよね?離れたのは… !あの時か、馬に近づく前に立ち止まっていたのは、してたのね!あの時してたのね!はや!
見張りの時にもしていたとは、腸の動きが活発なのかな?後で確認しておこう。今は食事だ。
「サーシャさん、帰りにサツマイモを見つけたよ。皆に聞いたら知らない様だから株ごと持ってきた」
「ジャガイモと同じで一株からいっぱい取れるのね。でも…これから潰すの?」
朝にしては遅く、昼にしては早い、中途半端な時間だな。素早く食べるなら茹でるのが簡単か。
この世界、野菜もそうだが調理法も少なく、焼く・茹でる・煮込む、ぐらいだ。
「どうしよう?色々作れるけど時間次第かな」
「色々?」
「ウン。お菓子も作れるよ」
「きゃー♡」
女子のスイーツ好きは異世界共通かな。
「大声出して如何した!」
「お菓子作れるって!お菓子!」
よっぽど嬉しいのね。
「如何しましょう。時間が中途半端で軽く朝食を作るか、早めの昼食を作るか悩んでいるんですが」
「お菓子は!」
「此処では作りません」
「当然だな。…時間を掛けて早めの昼食が良いんじゃ無いか」
「そうだな、兵士が来るのも昼頃だろうから、其れまでに動ける様にしておこう
泣き崩れるサーシャさんを横目に、ローリーさんとリュシウォンさんの間で予定が決まっていく。
テントを片付け昼食の準備に掛かる。
朝食にとって置いた魚の燻製とサツマイモ… チョット合わないな。お握り出したいけど時間経過無しなのバレたら拙いし。うん~~ やっぱりお米食べたい。…炊くか。
「どうしたんだ?」
「ダンカルさん、献立に迷っちゃって。今日は魚の燻製を食べて貰おうと思っていて、それに合わせてお米炊こうかと」
「コメ?」
米も知らないのか。鑑定では湿地帯に自生しているって出ているからこの世界にも有るはずなのに。まあ、其処はサクッと無視して用意をしよう。米を研ぎ鍋に入れて竈にセット。
「薪はこれで足りるか?」
「有り難うございます、足りますよ。それに薪をただ組むより、竈のように囲うと火力が増して時間も短く済むんです。サツマイモは塩茹でしましょう」
チャッチャとやろう。ご飯炊くなら干物が欲しいけど… 街に入ったら作ろう。
「本当に便利よね。ローリー、街に戻ったら【土魔法】を取得しようと思うの」
「確かに俺も【土魔法】が攻撃に使えるとは考えた事も無かったからな」
「いや、皆で取得しないか?誰に適性があるか分からないし、適性ある方が覚えも早い」
「そうだな、今なら教師も居る事だし。ロッカちゃん俺たちに【土魔法】教えて下さい。報酬は… 馬具でどうかな?」
「馬具?」
ロッカは?マークを脳内に展開しながらも、手元ではせっせと野菜を切り刻み、側ではリュシウォンが昨夜と同じくスープの用意をする。
「そう。盗賊の馬、一頭はロッカちゃんのだけど馬具持ってないだろ?」
「えぇー 貰えませんよ!」
「ロッカは知らないのか。盗賊の持ち物は全て討伐者が貰える事を」
今朝抜いてきたサツマイモをお願いした大きさに切りながら教えてくれる。
「今朝取りに行った物も私達6人で分けて良いのよ。馬も丁度6頭いるしね」
ご機嫌なサーシャの手元を覗き込むと、昨夜より多くのゴボウを切っていた。
ひえー これはゲーム展開ですか!あり得ないと思っていた「人の家でアイテムゲットだぜ!」を実践してしまった。マジ?マジなの?
「馬以外にも宝は有るし、目玉商品はマジックバックだな」
皆が顔を見合って喜んでいる。皆が幸せなのは良いことだけど…
「ああ、俺たちのバックよりも容量の大きいリュックタイプが有るからな。ロッカやリュシウォンのバックはどうだ、俺たちの物より大きく今回の物より小さいなら、今回のバックを回して今まで使っていた俺たちのバックを売っても良いし」
「これは…私のマジックバックは亡くなった祖父や父の形見です。容量は関係なく、手放すことは出来ません。今私が身に付けている服も武器も、知識さえ全て遺産なんです」
「ロッカは形見だったのか、知らずにゴメン」
「俺もこのままで良い。容量もだが身体に馴染んでるからな。この際だ【銀の翼】で各自が持てば良い」
「かまわないのか?」
私とリュシウォンさんは頷いた。
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