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殺戮
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「………」
私達は彼女『フレア・ティストリア』を捕らえるために学園へと赴いた。
数週間ぶりの学園は妙に静かに感じた。
いや、静かすぎる。
いつもの学園は生徒で賑わっていたのに、人が一人もいない。
「どうなっている………?」
エル様も学園の異変に気づいたようだ。
「フレアがこちらに気づいて何かしたのかもしれませんね」
「その可能性が高いな」
もともとフレア様も私と入れ替わってしばらくしたあとは学園を休みがちだったらしい。
だから“ 私 ”が目覚めたことに気づいたのなら捕まる前に何かを始め可能性もありえなくない。
(フレア様……あなたはいったいどうしてそこまで私を憎むのですか……?私には理解ができません……)
「とにかく中へ入って見ないと分かりませんね」
「そうだな」
そうして私達は学園に足を踏み入れたのだった。
「これは………」
学園に足を踏み入れた私たちが目にしたのは、血まみれで倒れている学園の生徒だった…………。
「いったい何が起きて………」
「おい!大丈夫か!?いったい何が起きた!」
エル様が生徒の一人にかけより声をかける。
「…………う……ん」
「私が誰かわかるか!?」
「………でん…………か………?」
「いったい何があった」
「…………ガー……ラン……ドさ………んが…………みんな…………を………」
途切れ途切れに彼はいった。
彼は見たところ無傷のため今まで気絶していたのだろう。
「やはりあいつが…………」
「そんな…………」
(フレア様が私の姿でみなさんを…………?)
考えるだけで恐ろしかった。
血の気が引いていき、肩がカタカタと震えてくる。
頭がぐわんぐわんと痛くなって、目の前が真っ暗に変わっていく。
(私……私…………)
「落ち着けドミニカ」
ふわりと温もりに包まれる。
「……………!?」
私は気づけばエル様に抱きしめられていた。
「大丈夫だ。俺がいる」
その声にすごく安心して、冷えた心が温かくなっていった。
やっぱりこの人が好きだと思った。
いつまでもこの人の腕の中にいたいと……。
「ちょっとお二人とも?なんで二人だけの世界作ってるんですか?一応僕もいるんですけど?」
「「……!?」」
バッとその声を合図に慌てて離れる私達。
恥ずかしくてかぁっと顔が熱くなるのを感じた。
きっと今の私の顔はすごく真っ赤なんだろう。
すごく気まずくて下を向いてしまった。
「す…すみません。リット様」
「すまない………」
歯切れ悪く謝罪をした。
横を見ると、エル様も顔が真っ赤で、おそろいだなと少し嬉しくなったのは内緒だ。
「全く……」
やれやれとリット様は首をふり、
「……行きますよ」
顔を引き締めて、そういった。
「はい!」
「あぁ」
私たちは頷き、彼女………『フレア・ティストリア』を捕まえるために彼女を探すのだった………。
「やっと………見つけた………!!」
その教室に“ 私 ”はいた。
彼女の回りにはたくさんの死体。
その中心に私になった彼女……『フレア・ティストリア』は立っていた。
彼女はこちらの声に気づき、ゆっくりとこちらを振り向いて、待ちくたびれたという顔をして言った。
「あら?やっと来たんですの?あんまりに遅いから待ちくたびれてしまいましたわ」
目の前の“ 私 ”は酷くやつれていた。
輝きのないボサボサの髪。
目は虚ろなのに、その表情は狂気に満ちていて、ニタリと不気味な笑みを浮かべていた。
おぞましいほどの膨大な闇の魔力をまとっていて、これは本当にあの『フレア・ティストリア』なのかと思った。
それほどまでに彼女は変わってしまった。
まるで別人のようだった。
何が彼女をそこまで変えさせてしまったのだろうか。
嫉妬?怒り?憎しみ?悲しみ?
いや………全部だろう。
いったいどれ程の暗い感情を彼女は溜めてきたのだろうか、押さえていたのだろうか。
私にはとても想像できなかった。
「本当にあなたが……これをやったんですか……?」
「これ……とはなんのことかしら」
クスクスとおかしそうに笑う“ 私 ”。
その様子にたまらずエル様が反論した。
「とぼけるな!お前がここの生徒たちを殺したんだろう!?」
「殺した?人聞きの悪い……。わたくしは皆様が来るまで生徒の方々と遊んでいただけですわ?まぁ、すぐに壊れてしまいましたけど」
と、残念そうに“ 私 ”はいった。
これのどこが遊びなんだろうか?こんなのはただの……
『殺人』だ…………。
「ふふふふねぇそれより早くわたくしと遊びましょう?こんなに長い間皆様が来るのを待ってたんですのよ?もう皆様のかわりの玩具はいないですし、早く始めましょう?楽しい楽しい……」
『お遊戯を…………』
その言葉を合図に彼女は走り出した。
キィン___
「クッ………重い………」
フレア様の降り下ろした剣をとっさに受け止めたエル様のお顔が苦痛に歪んだ。
「いったいどこからそれほどの力を………」
「うふふ知りたい?でもダ~メ。教えてあ~げない♪」
血まみれの彼女は無邪気に笑う。
それが逆に恐ろしかった。
「エル様………」
私は不安げに彼を見つめた。
エル様は大丈夫だと私に微笑んで見せた。
「下がってろ」
「………はい」
そして彼女の魔剣を弾き、後ろへ跳躍した。
そして体制を整え、彼女に向かった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
剣を降り下ろすもその剣は受け止められ、弾き返されてしまった。
エル様はその反動で、後ろに吹き飛ぶ。
「っが!?」
「エル様!」
彼に駆け寄ろうとするも、彼女に行く手を阻まれる。
「ねぇ?どこに行くの?早く私と遊びましょうよ!」
「っ!?」
繰り出される剣
(ダメ………間に合わない)
『ウォーターボール!』
バシュッ
私と彼女の間に飛んできた水の玉。
彼女はそれを切り裂いた。
そして少し後ろに下がる。
「俺がいることを、忘れてないか?フレア」
私を庇うようにリット様は彼女の前にたって言った。
リット様の一人称が『俺』になっているということは彼はかなり怒っている。
リット様の怒りからの殺気が彼女に向けて放たれていた。
だが、そんな殺気をものともせず彼女は笑いながら言った。
「うふふふふ忘れてないわよ?ちゃ~んと後で遊んであげようと思ってたわ。リット」
「彼女の声で俺の愛称を呼ぶな」
「まぁ酷い。仮にも自分の姉にそんなことを言うなんてね」
「お前を姉だと思ったことなど一度もない」
「あらそう。まぁいいわ。今からあなたと遊んであげるっ!」
『ウォーターウォール』
リット先生はすみやかに水の壁を展開する。
「小賢しいわね!」
彼女が壁を破ろうと剣を振るうが、さすがリット様がはった魔法………そう簡単には壊れなかった。
「今のうちに殿下のところへ……」
「でもリット様は……」
「そう簡単に負けるつもりはありませんよ。だから早く」
彼は優しく微笑んだ。
私は守られてばかりだ。
でも今の私の体はフレア様。
だから魔法は使えない。
そんな私が彼らの足手まといになるわけにはいかない。
私は頷くしかなかった。
「………分かりました。ご武運を」
そうして私は倒れているエル様の元へ走った。
「………っエル様!大丈夫ですか!?」
「……………ドミニカ……?」
(よかった。意識はある)
「はい。ドミニカです!大丈夫ですか!?」
「あぁ、問題ない。相手を少し見くびりすぎていたようだな」
そういって剣を再び握りしめ、エル様は立ち上がった。
(どこが問題ないんですか………)
エル様の体は傷だらけだった………。
とても戦えるような状態じゃないのに。
「どこが大丈夫なんですか!?こんなに傷だらけなのに………どうしてそこまで………」
「俺はこの国の王子だ。国民を多数殺した化け物をリット一人に任せる訳にはいかない。それに………」
「お前を早く元のお前に戻してやらないとだしな」
そうエル様は笑って、そういった。
「………っ!」
「安心しろ。お前は俺が守る。あいつなんかに指一本触れさせない」
だからここで待っててくれ。
そういってエル様はリット様の元に向かっていった。
「リット!加勢するぞ!」
「殿下!?お体は!」
「問題ない!さっさと終わらせるぞ!」
「はい!」
「あらあらうふふふふ。みんなで遊ぶの?楽しそう!」
その言葉を合図に再び戦闘が始まる。
エル様が剣を繰り出し、リット様は魔法でサポートをする。
見事な連携だった。
でもそんな攻撃も彼女には通じていなかった。
彼女はこんなときでも笑っていた。
楽しそうに。
「うふふふふ!そうこなくっちゃ!もっともっと私を楽しませて!」
そう笑っていた。
だから私は違和感を感じた。
彼女は先ほどからどうみても、あの『フレア様』には見えない。
こんなのただの戦闘狂。
思えば、あのときもおかしかった。
私に禁呪を執行したときも………。
(本当に彼女はフレア様だったの………?)
思えば、彼女が持つ魔剣はどこから手にいれたのか。
魔剣は本来人間は手にいれることはできない。
だって魔剣は本来『悪魔』が持つもの。
それに、彼女が纏う膨大な闇の魔力。
彼女の適正は火属性のはずだ。
『闇属性を隠していた』という可能性もあるが、それはありえない。
なぜなら闇属性は『魔』の象徴。
人間に扱うことはできない。
悪魔しか使えないのだから。
ならなぜ彼女は闇の魔力を………。
そうして私は思考する。
だから気づかなかった。
彼女の異変に………。
「ふふふふいいね!いいね!楽しい……タノシイ!デも……まだ……タリナイ」
笑ったかと思えばふいに彼女は立ち止まった。
そして呟いた。
“ 足りない ”と……。
闇が増した。
彼女の異変にエル様達が立ち止まり、いぶかしげに彼女を見る。
「……なんだ?」
「足りない……?」
「もう……アソビハ……オシマイ」
ニタリと彼女は笑った。
あたりに生じた闇が彼女を包む。
「いったい何が起きて……」
「……魔力が彼女に集まっています……。なにかが……来ます」
チリチリとした痛みが体を包む。
(なに……この空気……。この魔力は……嫌だ……痛い……怖い……!!)
あのときと比べようにもならないほどの恐怖があたりを包み込む。
そして闇が晴れ、再び現れた彼女は
「「なっ!?」」
……変わり果てていた。
目は赤く充血し、美しかった夕日色の髪は黒く染まり……。
頭には角。背中には黒い翼がはえていた。
それはまさに……
悪魔の姿だった……。
「モウ……アソビハオシマイ……ココカラハホンキノ………」
『コロシアイダヨ………?』
そう……彼女……いや悪魔はニタリと笑った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
どうもみなさんこんにちは!
書いてて、イチャついてんじゃねえよリア充が(# ゜Д゜)と何度も思ってたSAKURAですw。
いよいよフレアちゃんとドミニカ(リア充件で呼び捨て)が会いましたね!
ちなみに個人的にはフレアちゃんのような病みキャラ大好きで残酷シーンが………((((殴
とりあえず、目の前でイチャコラされてたらそりゃ怒るわとフレアちゃんに同情する筆者ですみません←
いや、だってね?私バカップルリア充爆ぜろ組だからさ(キリッ)
今回はかなり長々としててすみません。
なかなか上手くまとまらず………。
というかイチャコラシーンに怒りわきまくっててしまって(((ry
えーとりあえず今後はこの作品完結に集中する予定です!
その後のことは近況ボードをご覧ください。
私達は彼女『フレア・ティストリア』を捕らえるために学園へと赴いた。
数週間ぶりの学園は妙に静かに感じた。
いや、静かすぎる。
いつもの学園は生徒で賑わっていたのに、人が一人もいない。
「どうなっている………?」
エル様も学園の異変に気づいたようだ。
「フレアがこちらに気づいて何かしたのかもしれませんね」
「その可能性が高いな」
もともとフレア様も私と入れ替わってしばらくしたあとは学園を休みがちだったらしい。
だから“ 私 ”が目覚めたことに気づいたのなら捕まる前に何かを始め可能性もありえなくない。
(フレア様……あなたはいったいどうしてそこまで私を憎むのですか……?私には理解ができません……)
「とにかく中へ入って見ないと分かりませんね」
「そうだな」
そうして私達は学園に足を踏み入れたのだった。
「これは………」
学園に足を踏み入れた私たちが目にしたのは、血まみれで倒れている学園の生徒だった…………。
「いったい何が起きて………」
「おい!大丈夫か!?いったい何が起きた!」
エル様が生徒の一人にかけより声をかける。
「…………う……ん」
「私が誰かわかるか!?」
「………でん…………か………?」
「いったい何があった」
「…………ガー……ラン……ドさ………んが…………みんな…………を………」
途切れ途切れに彼はいった。
彼は見たところ無傷のため今まで気絶していたのだろう。
「やはりあいつが…………」
「そんな…………」
(フレア様が私の姿でみなさんを…………?)
考えるだけで恐ろしかった。
血の気が引いていき、肩がカタカタと震えてくる。
頭がぐわんぐわんと痛くなって、目の前が真っ暗に変わっていく。
(私……私…………)
「落ち着けドミニカ」
ふわりと温もりに包まれる。
「……………!?」
私は気づけばエル様に抱きしめられていた。
「大丈夫だ。俺がいる」
その声にすごく安心して、冷えた心が温かくなっていった。
やっぱりこの人が好きだと思った。
いつまでもこの人の腕の中にいたいと……。
「ちょっとお二人とも?なんで二人だけの世界作ってるんですか?一応僕もいるんですけど?」
「「……!?」」
バッとその声を合図に慌てて離れる私達。
恥ずかしくてかぁっと顔が熱くなるのを感じた。
きっと今の私の顔はすごく真っ赤なんだろう。
すごく気まずくて下を向いてしまった。
「す…すみません。リット様」
「すまない………」
歯切れ悪く謝罪をした。
横を見ると、エル様も顔が真っ赤で、おそろいだなと少し嬉しくなったのは内緒だ。
「全く……」
やれやれとリット様は首をふり、
「……行きますよ」
顔を引き締めて、そういった。
「はい!」
「あぁ」
私たちは頷き、彼女………『フレア・ティストリア』を捕まえるために彼女を探すのだった………。
「やっと………見つけた………!!」
その教室に“ 私 ”はいた。
彼女の回りにはたくさんの死体。
その中心に私になった彼女……『フレア・ティストリア』は立っていた。
彼女はこちらの声に気づき、ゆっくりとこちらを振り向いて、待ちくたびれたという顔をして言った。
「あら?やっと来たんですの?あんまりに遅いから待ちくたびれてしまいましたわ」
目の前の“ 私 ”は酷くやつれていた。
輝きのないボサボサの髪。
目は虚ろなのに、その表情は狂気に満ちていて、ニタリと不気味な笑みを浮かべていた。
おぞましいほどの膨大な闇の魔力をまとっていて、これは本当にあの『フレア・ティストリア』なのかと思った。
それほどまでに彼女は変わってしまった。
まるで別人のようだった。
何が彼女をそこまで変えさせてしまったのだろうか。
嫉妬?怒り?憎しみ?悲しみ?
いや………全部だろう。
いったいどれ程の暗い感情を彼女は溜めてきたのだろうか、押さえていたのだろうか。
私にはとても想像できなかった。
「本当にあなたが……これをやったんですか……?」
「これ……とはなんのことかしら」
クスクスとおかしそうに笑う“ 私 ”。
その様子にたまらずエル様が反論した。
「とぼけるな!お前がここの生徒たちを殺したんだろう!?」
「殺した?人聞きの悪い……。わたくしは皆様が来るまで生徒の方々と遊んでいただけですわ?まぁ、すぐに壊れてしまいましたけど」
と、残念そうに“ 私 ”はいった。
これのどこが遊びなんだろうか?こんなのはただの……
『殺人』だ…………。
「ふふふふねぇそれより早くわたくしと遊びましょう?こんなに長い間皆様が来るのを待ってたんですのよ?もう皆様のかわりの玩具はいないですし、早く始めましょう?楽しい楽しい……」
『お遊戯を…………』
その言葉を合図に彼女は走り出した。
キィン___
「クッ………重い………」
フレア様の降り下ろした剣をとっさに受け止めたエル様のお顔が苦痛に歪んだ。
「いったいどこからそれほどの力を………」
「うふふ知りたい?でもダ~メ。教えてあ~げない♪」
血まみれの彼女は無邪気に笑う。
それが逆に恐ろしかった。
「エル様………」
私は不安げに彼を見つめた。
エル様は大丈夫だと私に微笑んで見せた。
「下がってろ」
「………はい」
そして彼女の魔剣を弾き、後ろへ跳躍した。
そして体制を整え、彼女に向かった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
剣を降り下ろすもその剣は受け止められ、弾き返されてしまった。
エル様はその反動で、後ろに吹き飛ぶ。
「っが!?」
「エル様!」
彼に駆け寄ろうとするも、彼女に行く手を阻まれる。
「ねぇ?どこに行くの?早く私と遊びましょうよ!」
「っ!?」
繰り出される剣
(ダメ………間に合わない)
『ウォーターボール!』
バシュッ
私と彼女の間に飛んできた水の玉。
彼女はそれを切り裂いた。
そして少し後ろに下がる。
「俺がいることを、忘れてないか?フレア」
私を庇うようにリット様は彼女の前にたって言った。
リット様の一人称が『俺』になっているということは彼はかなり怒っている。
リット様の怒りからの殺気が彼女に向けて放たれていた。
だが、そんな殺気をものともせず彼女は笑いながら言った。
「うふふふふ忘れてないわよ?ちゃ~んと後で遊んであげようと思ってたわ。リット」
「彼女の声で俺の愛称を呼ぶな」
「まぁ酷い。仮にも自分の姉にそんなことを言うなんてね」
「お前を姉だと思ったことなど一度もない」
「あらそう。まぁいいわ。今からあなたと遊んであげるっ!」
『ウォーターウォール』
リット先生はすみやかに水の壁を展開する。
「小賢しいわね!」
彼女が壁を破ろうと剣を振るうが、さすがリット様がはった魔法………そう簡単には壊れなかった。
「今のうちに殿下のところへ……」
「でもリット様は……」
「そう簡単に負けるつもりはありませんよ。だから早く」
彼は優しく微笑んだ。
私は守られてばかりだ。
でも今の私の体はフレア様。
だから魔法は使えない。
そんな私が彼らの足手まといになるわけにはいかない。
私は頷くしかなかった。
「………分かりました。ご武運を」
そうして私は倒れているエル様の元へ走った。
「………っエル様!大丈夫ですか!?」
「……………ドミニカ……?」
(よかった。意識はある)
「はい。ドミニカです!大丈夫ですか!?」
「あぁ、問題ない。相手を少し見くびりすぎていたようだな」
そういって剣を再び握りしめ、エル様は立ち上がった。
(どこが問題ないんですか………)
エル様の体は傷だらけだった………。
とても戦えるような状態じゃないのに。
「どこが大丈夫なんですか!?こんなに傷だらけなのに………どうしてそこまで………」
「俺はこの国の王子だ。国民を多数殺した化け物をリット一人に任せる訳にはいかない。それに………」
「お前を早く元のお前に戻してやらないとだしな」
そうエル様は笑って、そういった。
「………っ!」
「安心しろ。お前は俺が守る。あいつなんかに指一本触れさせない」
だからここで待っててくれ。
そういってエル様はリット様の元に向かっていった。
「リット!加勢するぞ!」
「殿下!?お体は!」
「問題ない!さっさと終わらせるぞ!」
「はい!」
「あらあらうふふふふ。みんなで遊ぶの?楽しそう!」
その言葉を合図に再び戦闘が始まる。
エル様が剣を繰り出し、リット様は魔法でサポートをする。
見事な連携だった。
でもそんな攻撃も彼女には通じていなかった。
彼女はこんなときでも笑っていた。
楽しそうに。
「うふふふふ!そうこなくっちゃ!もっともっと私を楽しませて!」
そう笑っていた。
だから私は違和感を感じた。
彼女は先ほどからどうみても、あの『フレア様』には見えない。
こんなのただの戦闘狂。
思えば、あのときもおかしかった。
私に禁呪を執行したときも………。
(本当に彼女はフレア様だったの………?)
思えば、彼女が持つ魔剣はどこから手にいれたのか。
魔剣は本来人間は手にいれることはできない。
だって魔剣は本来『悪魔』が持つもの。
それに、彼女が纏う膨大な闇の魔力。
彼女の適正は火属性のはずだ。
『闇属性を隠していた』という可能性もあるが、それはありえない。
なぜなら闇属性は『魔』の象徴。
人間に扱うことはできない。
悪魔しか使えないのだから。
ならなぜ彼女は闇の魔力を………。
そうして私は思考する。
だから気づかなかった。
彼女の異変に………。
「ふふふふいいね!いいね!楽しい……タノシイ!デも……まだ……タリナイ」
笑ったかと思えばふいに彼女は立ち止まった。
そして呟いた。
“ 足りない ”と……。
闇が増した。
彼女の異変にエル様達が立ち止まり、いぶかしげに彼女を見る。
「……なんだ?」
「足りない……?」
「もう……アソビハ……オシマイ」
ニタリと彼女は笑った。
あたりに生じた闇が彼女を包む。
「いったい何が起きて……」
「……魔力が彼女に集まっています……。なにかが……来ます」
チリチリとした痛みが体を包む。
(なに……この空気……。この魔力は……嫌だ……痛い……怖い……!!)
あのときと比べようにもならないほどの恐怖があたりを包み込む。
そして闇が晴れ、再び現れた彼女は
「「なっ!?」」
……変わり果てていた。
目は赤く充血し、美しかった夕日色の髪は黒く染まり……。
頭には角。背中には黒い翼がはえていた。
それはまさに……
悪魔の姿だった……。
「モウ……アソビハオシマイ……ココカラハホンキノ………」
『コロシアイダヨ………?』
そう……彼女……いや悪魔はニタリと笑った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
どうもみなさんこんにちは!
書いてて、イチャついてんじゃねえよリア充が(# ゜Д゜)と何度も思ってたSAKURAですw。
いよいよフレアちゃんとドミニカ(リア充件で呼び捨て)が会いましたね!
ちなみに個人的にはフレアちゃんのような病みキャラ大好きで残酷シーンが………((((殴
とりあえず、目の前でイチャコラされてたらそりゃ怒るわとフレアちゃんに同情する筆者ですみません←
いや、だってね?私バカップルリア充爆ぜろ組だからさ(キリッ)
今回はかなり長々としててすみません。
なかなか上手くまとまらず………。
というかイチャコラシーンに怒りわきまくっててしまって(((ry
えーとりあえず今後はこの作品完結に集中する予定です!
その後のことは近況ボードをご覧ください。
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