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二章
21 ありさま ②
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アデリナは、険しい顔のまま「まずお前の執務室の惨状を見ます」と言いさっさと中央棟の方へ歩いていった。
「お前の様子を旦那様に報告しなければなりませんからね」
「……」
「応接室へ」と言う提案を切り捨てられたヴォルデマーは、ウラに先にそちらへ行くよう伝えると、疲れたように母の後を追った。
アデリナは周囲に厳しい目を光らせながら中央棟内部を進んで行く。出会った隊士達は、その眼光鋭い奥方がヴォルデマーを引き連れて歩いて来る様子を見ると、ギョッとした様に足を止め次々に敬礼していった。
「……」
ヴォルデマーは無表情だったが、心の中では相当げっそりしていた。
本当なら今すぐにでも、その元に駆け付けていきたい相手がいるというのに拘束される我が身が呪わしかった。しかし現状で母を放置する事はかなり危険な行為である。
この厳格な母が、この砦を訪れる度に彼の執務室やその仕事ぶりを視察していくのは毎度の事で。母親ならば息子の暮らしぶりが気になっても当たり前の事かもしれないが、毎回、砦の荒れ具合やヴォルデマーの執務室の様子を見ては、“当家の息子に相応しくない”だの、“邸に戻って身を固めろ”だのなんだのと叱責を残して行く。
要するに彼女はヴォルデマーをさっさと手元に戻したいのだ。その為の粗探し行為は毎度重箱の隅を突くように細かい。その害が己に留まるのならまだしも、それはいつでも隊士から使用人にまで類が及ぶ。彼はそれがとても苦痛だった。
しかも今回は彼の婚姻問題が関わってきているだけに厄介だ。おまけにヴォルデマーは昨日から姿を見せないミリヤムが気掛かりで、仕事があまり手についてない。
今、母が彼の執務室を見れば、彼女は容易くヴォルデマーが仕事を滞らせている事を見抜くだろう。その母が冷たく「女に現を抜かして」と言い出すのは想像だに難くない。そしてその叱責は勿論ミリヤム自身にも及ぶのだ。
「……」
既に正門で、準備も予備知識もなしに母に出会ってしまった娘のことを思うとヴォルデマーは心中穏やかではいられなかった。
「……母上、やはり先に茶でもお召しになられよ」
ヴォルデマーは廊下の途中で母を引き止めた。勿論その間に多少仕事を整理するつもりで。
しかしアデリナはヴォルデマーに疑わしそうな目線を寄越す。
「それは母に何か隠さねばならないことがあるという事ですか……?」
「……」
ヴォルデマーは無表情で返したが、それが通用する母ではなかった。何せ彼女はヴォルデマーの母親だ。この世で一番ヴォルデマーの表情を読む事に長けている。
息子の顔を見た母はなんと嘆かわしい、と眉間に皺を寄せる。
「いつでも正々堂々、毅然としていたお前が……まさか部屋に女をのさばらせているんじゃないでしょうね……」
「その様な事実はありません」
ヴォルデマーはきっぱりと否定した。しかし、アデリナは疑惑の目を消さなかった。
「お前……ルカス・トラウトナーという者を知っていますか」
「トラウトナー……?」
母が唐突に出してきた名にヴォルデマーが瞬いた。
フロリアンの傍に控えるその青年騎士は、ここ最近彼を見ると敵意を隠そうともしない。
「……その者が邸に手紙を寄越したのです。砦長が人族の娘をかどわかしていると」
「かどわかす……」
その言葉にヴォルデマーが表情を崩す。
「ええ。そう書いてありましたよ。親が勧める婚約話がありながら、実現性の低い約束で身分の低い娘を惑わすような行いは長として如何なものかと」
じろりと睨まれてヴォルデマーは押し黙る。その心の中で、それ故か、とヴォルデマーは母が突然砦を訪れた理由を理解した。この抜き打ちのような訪問はその真偽をはかる為のものなのだ。ミリヤムの名や人族であるという情報もそこからもたらされたに違いない。
ヴォルデマーは頭痛を感じて僅かに頭を下げる。
ルカスの立場を考えれば、彼がミリヤムの相手としてヴォルデマーよりもフロリアンを選ぶのはもっともだ。しかし、やってくれる、とヴォルデマーはため息をつく。
アデリナはそんな息子に冷めた目線を送り続けている。
「この様な無礼な手紙は信じたくありませんでしたが、お前も手紙を寄越し、他に相手がいるといってウラとの婚約を拒否しました。これでは私が出向かぬ訳にはいかぬではありませんか」
「……そうですね、母上のお立場を考えればそうでしょう」
「邸はお前とウラの恋仲の報せを聞いて非常に喜び沸き立っていました。其処へこの手紙……旦那様がどんなにお怒りか……」
「……」
勝手に勘違いをしたのは其方だと言いたかったが、それが通用する母でないことはヴォルデマーも身に染みて分っていた。
「兎も角、私は母として、一族の為お前を正さねばなりません。その為には、まずお前の現状をありのままに知る必要があります」
アデリナはそう言うと再び強い足取りで廊下を進み始めた。その先にあるのは勿論ヴォルデマーの執務室だ。その隣には彼の寝床である私室もある。
彼女は辿り着いたその扉に手を掛けて、息子へ尚も厳しい視線を送る。
「私も旦那様へ虚偽の報告をするわけにはいきません。中に女の持ち物のひとつでもあれば許しませんからね……」
いいですね開けますよ、と、己を睨みつける母に、ヴォルデマーはもう一度ため息をついた。どうやら母は、彼が色狂いしているのかとでも懸念しているらしかった。
「……散らかっているだけですよ……」
仕方無しにヴォルデマーは不承不承頷いた。そもそも執務室にミリヤムの物などありはしない。あるのは己が積み上げた書類や報告書の類ばかり。
あるとすればミリヤムに与えた隣の部屋だが、物置だった其処を母が検めたことは過去一度もない。念のため、直ぐにイグナーツに鍵をかけさせるか……とヴォルデマーは頭痛のする頭を押さえた。歴々の砦長夫人達が使っていたその部屋を彼女に与えた事を母が知れば、母が余計目くじらを立てることは目に見えている。知られるのは時間の問題だろうが、出来ればその前に母を説得しておきたい。
げっそりしているヴォルデマーの前でアデリナは彼の執務室の中へ入って行った。その表情は咎人の罪の証を探そうと躍起になっているかのようにも見える。ヴォルデマーは思った。これをどうやって説得したら良いのだろうか。
「はあ……」
「……まあ……っ」
己がため息するのと同時に室内からは母の息を呑む声が聞こえて。廊下でそれを聞いたヴォルデマーは遅れて重い足を動かした。
「…………やれやれ……」
彼女の叱責は昔から非常に長く、冷徹だ。せめてどうにかそれからミリヤムを逃がす術はないかと考えながら部屋へ踏み込む。と──
「…………?」
その異変に気がついて、ヴォルデマーは怪訝に足を止める。
部屋の奥ではアデリナがしげしげと辺りを見回していて、それから入室してきた息子に顔を向けた。
「あらまあ……女にうつつを抜かしてどんな無残な様子かと思ったら……」
それは満面の笑みだった。
「……これは……」
ヴォルデマーは思わず呟く。
机の上では、書類達が端を揃えられ行儀よく積まれている。それでいてやりかけた仕事の書類は分類されて分りやすいように並んでいる。細々した道具達も定位置に綺麗に収まり、そればかりか卓上は磨かれたのか、日の光を浴びて曇りなく輝いていた。
机から零れ落ちたものが散乱していた筈の床の上も、全てが拾われて整えられて、そこには塵一つ落ちていない。壁際の棚も背表紙が揃えられ整頓されていたし、室内の空気も入れ替えられたのか澄んでいた。
そこにあったのは──清潔に整頓された己の執務室の姿だった。彼が部屋を出た時の荒れた部屋は影も形もない。
「……」
立ち尽くしていると、さっさと隣にある彼の私室を検めに行っていたアデリナが戻ってくる。
「なかなか綺麗にしてるではないの。堕落した様子もないし、女の荷物もない様ね……何故隠すのこの子ったら」
アデリナは肩透かしをくらった様に傍に置かれた長椅子に腰を下ろす。
彼女が開け放したままにした私室への扉の方へ目をやると、其方も整然と片付けられているのが目に入る。
「……」
「……それにしてもお前の部屋がこんなに整頓されているのを見るのは久々ね。気分がいいわ」
少し満足そうな表情を浮かべた母を前に、ヴォルデマーはこれはどうした事だろうと考えていた。
先刻イグナーツからの母到着の報せを受けた時、彼が部屋を出た時は、確かにこの部屋の有様は我ながら乱雑だった。アデリナが今座るその長椅子ですら彼の仕事道具が一杯に乗せられていて、とても誰かが座れる状態ではなかったのだが……
しかし驚きながらもヴォルデマーは気がついた。其処此処に残る真新しい香りが一体誰のものなのか。
それは今、彼が一番傍に感じたい香りで、一番恋しい香りだった。
「…………」
驚異的だと思った。
彼が部屋を出てから此処に母を連れて戻ってくるまでの時間は幾らもなかったはずだ。その短時間であの荒れ放題の部屋をここまで整頓する能力はヴォルデマーには無いものだ。おまけにアデリナは正門で彼女と会ったと言っていた。それでは彼女は母に出会って真っ先に、自分の事を慮ってくれたのだ。
「……」
「どうかしたのヴォルデマー?」
無言になったヴォルデマーにアデリナが不思議そうな顔で首を傾けている。
黒い毛並みの大柄な彼女の次男坊は、それまで彼女が目にした事がない程に柔らかで優しい目をしていた。
「お前の様子を旦那様に報告しなければなりませんからね」
「……」
「応接室へ」と言う提案を切り捨てられたヴォルデマーは、ウラに先にそちらへ行くよう伝えると、疲れたように母の後を追った。
アデリナは周囲に厳しい目を光らせながら中央棟内部を進んで行く。出会った隊士達は、その眼光鋭い奥方がヴォルデマーを引き連れて歩いて来る様子を見ると、ギョッとした様に足を止め次々に敬礼していった。
「……」
ヴォルデマーは無表情だったが、心の中では相当げっそりしていた。
本当なら今すぐにでも、その元に駆け付けていきたい相手がいるというのに拘束される我が身が呪わしかった。しかし現状で母を放置する事はかなり危険な行為である。
この厳格な母が、この砦を訪れる度に彼の執務室やその仕事ぶりを視察していくのは毎度の事で。母親ならば息子の暮らしぶりが気になっても当たり前の事かもしれないが、毎回、砦の荒れ具合やヴォルデマーの執務室の様子を見ては、“当家の息子に相応しくない”だの、“邸に戻って身を固めろ”だのなんだのと叱責を残して行く。
要するに彼女はヴォルデマーをさっさと手元に戻したいのだ。その為の粗探し行為は毎度重箱の隅を突くように細かい。その害が己に留まるのならまだしも、それはいつでも隊士から使用人にまで類が及ぶ。彼はそれがとても苦痛だった。
しかも今回は彼の婚姻問題が関わってきているだけに厄介だ。おまけにヴォルデマーは昨日から姿を見せないミリヤムが気掛かりで、仕事があまり手についてない。
今、母が彼の執務室を見れば、彼女は容易くヴォルデマーが仕事を滞らせている事を見抜くだろう。その母が冷たく「女に現を抜かして」と言い出すのは想像だに難くない。そしてその叱責は勿論ミリヤム自身にも及ぶのだ。
「……」
既に正門で、準備も予備知識もなしに母に出会ってしまった娘のことを思うとヴォルデマーは心中穏やかではいられなかった。
「……母上、やはり先に茶でもお召しになられよ」
ヴォルデマーは廊下の途中で母を引き止めた。勿論その間に多少仕事を整理するつもりで。
しかしアデリナはヴォルデマーに疑わしそうな目線を寄越す。
「それは母に何か隠さねばならないことがあるという事ですか……?」
「……」
ヴォルデマーは無表情で返したが、それが通用する母ではなかった。何せ彼女はヴォルデマーの母親だ。この世で一番ヴォルデマーの表情を読む事に長けている。
息子の顔を見た母はなんと嘆かわしい、と眉間に皺を寄せる。
「いつでも正々堂々、毅然としていたお前が……まさか部屋に女をのさばらせているんじゃないでしょうね……」
「その様な事実はありません」
ヴォルデマーはきっぱりと否定した。しかし、アデリナは疑惑の目を消さなかった。
「お前……ルカス・トラウトナーという者を知っていますか」
「トラウトナー……?」
母が唐突に出してきた名にヴォルデマーが瞬いた。
フロリアンの傍に控えるその青年騎士は、ここ最近彼を見ると敵意を隠そうともしない。
「……その者が邸に手紙を寄越したのです。砦長が人族の娘をかどわかしていると」
「かどわかす……」
その言葉にヴォルデマーが表情を崩す。
「ええ。そう書いてありましたよ。親が勧める婚約話がありながら、実現性の低い約束で身分の低い娘を惑わすような行いは長として如何なものかと」
じろりと睨まれてヴォルデマーは押し黙る。その心の中で、それ故か、とヴォルデマーは母が突然砦を訪れた理由を理解した。この抜き打ちのような訪問はその真偽をはかる為のものなのだ。ミリヤムの名や人族であるという情報もそこからもたらされたに違いない。
ヴォルデマーは頭痛を感じて僅かに頭を下げる。
ルカスの立場を考えれば、彼がミリヤムの相手としてヴォルデマーよりもフロリアンを選ぶのはもっともだ。しかし、やってくれる、とヴォルデマーはため息をつく。
アデリナはそんな息子に冷めた目線を送り続けている。
「この様な無礼な手紙は信じたくありませんでしたが、お前も手紙を寄越し、他に相手がいるといってウラとの婚約を拒否しました。これでは私が出向かぬ訳にはいかぬではありませんか」
「……そうですね、母上のお立場を考えればそうでしょう」
「邸はお前とウラの恋仲の報せを聞いて非常に喜び沸き立っていました。其処へこの手紙……旦那様がどんなにお怒りか……」
「……」
勝手に勘違いをしたのは其方だと言いたかったが、それが通用する母でないことはヴォルデマーも身に染みて分っていた。
「兎も角、私は母として、一族の為お前を正さねばなりません。その為には、まずお前の現状をありのままに知る必要があります」
アデリナはそう言うと再び強い足取りで廊下を進み始めた。その先にあるのは勿論ヴォルデマーの執務室だ。その隣には彼の寝床である私室もある。
彼女は辿り着いたその扉に手を掛けて、息子へ尚も厳しい視線を送る。
「私も旦那様へ虚偽の報告をするわけにはいきません。中に女の持ち物のひとつでもあれば許しませんからね……」
いいですね開けますよ、と、己を睨みつける母に、ヴォルデマーはもう一度ため息をついた。どうやら母は、彼が色狂いしているのかとでも懸念しているらしかった。
「……散らかっているだけですよ……」
仕方無しにヴォルデマーは不承不承頷いた。そもそも執務室にミリヤムの物などありはしない。あるのは己が積み上げた書類や報告書の類ばかり。
あるとすればミリヤムに与えた隣の部屋だが、物置だった其処を母が検めたことは過去一度もない。念のため、直ぐにイグナーツに鍵をかけさせるか……とヴォルデマーは頭痛のする頭を押さえた。歴々の砦長夫人達が使っていたその部屋を彼女に与えた事を母が知れば、母が余計目くじらを立てることは目に見えている。知られるのは時間の問題だろうが、出来ればその前に母を説得しておきたい。
げっそりしているヴォルデマーの前でアデリナは彼の執務室の中へ入って行った。その表情は咎人の罪の証を探そうと躍起になっているかのようにも見える。ヴォルデマーは思った。これをどうやって説得したら良いのだろうか。
「はあ……」
「……まあ……っ」
己がため息するのと同時に室内からは母の息を呑む声が聞こえて。廊下でそれを聞いたヴォルデマーは遅れて重い足を動かした。
「…………やれやれ……」
彼女の叱責は昔から非常に長く、冷徹だ。せめてどうにかそれからミリヤムを逃がす術はないかと考えながら部屋へ踏み込む。と──
「…………?」
その異変に気がついて、ヴォルデマーは怪訝に足を止める。
部屋の奥ではアデリナがしげしげと辺りを見回していて、それから入室してきた息子に顔を向けた。
「あらまあ……女にうつつを抜かしてどんな無残な様子かと思ったら……」
それは満面の笑みだった。
「……これは……」
ヴォルデマーは思わず呟く。
机の上では、書類達が端を揃えられ行儀よく積まれている。それでいてやりかけた仕事の書類は分類されて分りやすいように並んでいる。細々した道具達も定位置に綺麗に収まり、そればかりか卓上は磨かれたのか、日の光を浴びて曇りなく輝いていた。
机から零れ落ちたものが散乱していた筈の床の上も、全てが拾われて整えられて、そこには塵一つ落ちていない。壁際の棚も背表紙が揃えられ整頓されていたし、室内の空気も入れ替えられたのか澄んでいた。
そこにあったのは──清潔に整頓された己の執務室の姿だった。彼が部屋を出た時の荒れた部屋は影も形もない。
「……」
立ち尽くしていると、さっさと隣にある彼の私室を検めに行っていたアデリナが戻ってくる。
「なかなか綺麗にしてるではないの。堕落した様子もないし、女の荷物もない様ね……何故隠すのこの子ったら」
アデリナは肩透かしをくらった様に傍に置かれた長椅子に腰を下ろす。
彼女が開け放したままにした私室への扉の方へ目をやると、其方も整然と片付けられているのが目に入る。
「……」
「……それにしてもお前の部屋がこんなに整頓されているのを見るのは久々ね。気分がいいわ」
少し満足そうな表情を浮かべた母を前に、ヴォルデマーはこれはどうした事だろうと考えていた。
先刻イグナーツからの母到着の報せを受けた時、彼が部屋を出た時は、確かにこの部屋の有様は我ながら乱雑だった。アデリナが今座るその長椅子ですら彼の仕事道具が一杯に乗せられていて、とても誰かが座れる状態ではなかったのだが……
しかし驚きながらもヴォルデマーは気がついた。其処此処に残る真新しい香りが一体誰のものなのか。
それは今、彼が一番傍に感じたい香りで、一番恋しい香りだった。
「…………」
驚異的だと思った。
彼が部屋を出てから此処に母を連れて戻ってくるまでの時間は幾らもなかったはずだ。その短時間であの荒れ放題の部屋をここまで整頓する能力はヴォルデマーには無いものだ。おまけにアデリナは正門で彼女と会ったと言っていた。それでは彼女は母に出会って真っ先に、自分の事を慮ってくれたのだ。
「……」
「どうかしたのヴォルデマー?」
無言になったヴォルデマーにアデリナが不思議そうな顔で首を傾けている。
黒い毛並みの大柄な彼女の次男坊は、それまで彼女が目にした事がない程に柔らかで優しい目をしていた。
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