24 / 94
二章
14 困惑の脱衣所、忍耐の洗い場
しおりを挟む
ヴォルデマーは何故またこうなったのだろう、と思った。
ぐいぐい手を引かれ連れてこられた見慣れた隊士用の浴場には、まだ早い時間のせいか他の隊士は誰も居なかった。二人きりか、いやしかしそれはいよいよ不味いのでは、と内心焦り始めていたヴォルデマーであったが……
其処へ風呂場の掃除を終えたらしい老爺、灰色のロルフが二人の前にやってきた。ロルフは雑巾片手に二人を見て毛深い顔の相好を崩す。
「おやおやミリーちゃんに……」
「ロルフさん、お風呂入れますか!?」
「ついさっき湯を入れ始めたところだよ」
ロルフの言葉にミリヤムは今だ正気さの乏しい顔で「一番風呂万歳!」と諸手を上げている。ロルフは「ふぇ、ふぇ」と笑いながらヴォルデマーを見た。
「また捕まったのかい? 不摂生するからじゃ」
「……」
反論の余地がないヴォルデマーは黙り込む。ロルフは愉快そうに笑った。
「頑固なお前さんにはミリーちゃんくらいごり押しなお嬢さんの方が似合いかもしれんなあ……さてと、では爺さんは脱衣所の表で邪魔が入らぬよう門番でもしておるかな……ミリーちゃん頑張るんじゃぞ!」
「は! 畏まりました!」
「……」
ロルフは途中にあったデッキブラシを門番風に持ち、「ミリーちゃんが居るとほんと面白いわい」と言い残して出て行った。
「……」
「さて、」
ロルフが出て行くと、ミリヤムは早速がしりとヴォルデマーの隊服に手をかけた。ヴォルデマーはその手を押し留める。
「ミリヤム、自分でやるゆえ……一人で出来る」
「いえご遠慮なく。私めも無駄に“痴女”などと呼ばれている訳ではないんですよ。私めの観察によりますと、どうも、獣人の皆様は背中を洗うのが苦手でいらっしゃる。手が届かない上に毛深いですからね。ブラシもあて辛く、なかなか地肌までは清潔に出来ないご様子。皮膚病になるなら恐らく其処です。私めがしっかり軽い指どおりにして差し上げますからね」にこり
ミリヤムはてきぱきとヴォルデマーの上着を脱がした。だがしかし、とヴォルデマーは困り果てている。
「お前に脱がされるのは少々……差し障りが……」
「……え?」
ミリヤムが見上げると、ヴォルデマーは気恥ずかしそうに視線を逸らし斜めを向いていた。それはミリヤムが初めて見るその大きな男の表情だった。今までは己が恥ずかしがらされるばかりだったミリヤムは、そんなヴォルデマーの様子にうっかりときめいた。ときめいて、我に帰った。
「は!?」
正気に戻ったミリヤムは、己の指がヴォルデマーの白シャツのぼたんの三つ目を外しているのを見て慄いた。それはもう殆ど開かれている。
「……!? なんだ!? どうした!? 私が……ヴォルデマー様を脱がせている!?」
「……」
「ひいっ、隙間から覗く胸板……な、なんたる色気……」
途端ミリヤムの顔が一瞬にして茹で上がる。正常(?)に羞恥に悶え始めたミリヤムにヴォルデマーは、ほっとした。が──
ミリヤムの叫び声に何かを察したか、出入り口外の老爺から愉快そうな声が送られる。
「ちゃんと綺麗にしてやらねば~」
「は! 皮膚病!? 蚤!?」
「!?」
ロルフとの問答にミリヤムの背筋がびりりと伸びる。ついでにミリヤムの手も伸びた。その手は手品のようにヴォルデマーのシャツを脱がせ、ズボンのベルトを抜き去った。年季のはいった手つきはこの砦で大勢の隊士達を相手取ることで更に磨きがかかったようで、その手さばきは抵抗を寄せ付けなかった。
勿論ヴォルデマーが本気で抵抗すればミリヤムに勝ち目はなかっただろう。だが、惚れた弱味というものか、好いた娘相手に戸惑っているヴォルデマーでは今回は勝負にならなかった。
「蚤の侵攻からヴォルデマー様を守るんだ!!」
「ミリヤム……気持ちは嬉しいが落ち着け……」
と、ヴォルデマーが落ち着いて言った時には既に彼はすっかり脱がされていた。普段は彼の落ち着いた性質は数多の問題を解決するに適していたが、今回はそれが仇になった。
「…………、!」
落ち着いている間に衣服を全て取られたヴォルデマーは一瞬そのミリヤムの手際に目を見張り──はっと我に帰った。
「……」
彼はミリヤムが衣服を畳んでいる隙に無言で傍にあった布を己の腰元にさりげなく巻きつけた。その口からは困惑の色濃いため息が洩れる。
ミリヤムがもうヴォルデマーだけは洗えないと思ったのと同様に、以前は平気だったことが平気でなくなったのは彼の方も同じだった。
出会った当初は己の肉体がさらされても「何ら害もない」と、受け流したヴォルデマーではあったのだが、今回はそう思うことが出来なかった。ミリヤムによって己が脱がされるという事象の強烈さにヴォルデマーは眉間を押さえて呻く。此処に来るまでは、「二度目なのだから」と小さな油断も感じていたのだが……それがまったくの間違いであった事をヴォルデマーは思い知った。
しかし、再びヴォルデマーを「蚤の侵攻から守る」使命に夢中になったミリヤムは服を畳んでしまうと、すぐさま彼の手を引いて邪気の無い顔で彼を見上げた。
「さ、行きましょう、ヴォルデマー様!」
「……はあ……」
先程の「一緒にお風呂に入りましょう」発言を聞いてまさかと動揺していたヴォルデマーは、一先ずミリヤムが服を脱ぎださなかった事に心底安堵した。
勿論そのような関係になることを望んでいないわけではないが、男にも心構えというものがある。そもそもミリヤムがその気で誘ってきているのならいざ知らず、これはどう考えても別件だった。
しかし──然しものヴォルデマーも男である。情を向けた娘と浴室に二人きり。身体に触れられ何も無く終えられるのかには一抹の不安があった。
「……」
「さ、お早く。じっとしていると寒いですよ。早く洗って湯に浸かりましょう。急がねば毛並み泥んこ隊士達が雪崩れ込んできて湯を濁らされます」
「……」
もういっそその方が気が楽なのだが、というヴォルデマーの葛藤も露知らず、ミリヤムは彼を石造りの洗い場へ追い立てて行った。
そうしてヴォルデマーを洗い場に座らせると、彼女は木桶の中のブラシを取り出して黒い毛並みの埃をせっせと落とし始める。
その様子は如何にも真剣で。その忙しなく動く白く細い腕を見ながら、ヴォルデマーはやれやれと肩から力を抜いた。此処まで来てしまっては仕方ない。もう後は耐え忍ぶだけだ、とヴォルデマーは観念する。
(……あの日以来か……)
ミリヤムを見ていると、その姿が出会った頃と重なってヴォルデマーの胸に感慨深いものが過ぎる。その懸命な様はあの日と変わりが無いが、中身は大分変わったように思えた。
あの時彼女には一切の躊躇が無かった。風呂場が正常に機能してないことに怒り、ヴォルデマー以下隊士達の意識の低さを叱り、それを正す為に隊士達の裸を目にすることに一体何の問題があるのだ、と堂々と胸を張り周囲の視線も物ともしなかった。
だが、あの時仕事人に徹し、自分達を欠片も意識しなかった彼女が今、ヴォルデマーに触れることを恥じらい躊躇する。彼をきちんと異性として意識し、意識した上で、それをおして尚、己の健康を気にかけてくれている事がヴォルデマーにはとても嬉しかった。手荒くごり押ししているようで、相変わらず手つきは丁寧で優しい。その練熟した巧みさにヴォルデマーも改めて感心する。
(…………だが……)
さわさわと触れていく細腕の感触に、ヴォルデマーはやはりこれは今後やめさせなければ、と心の中で堅く決意する。ミリヤムがこれまで同じ事を他の隊士にしていた事を歯がゆく思うし、これからもその気が無くともその気になる隊士が出るのではと案じられた。辛抱強い方だと自負していた己ですら触れられた場所から徐々に熱が高まる感覚に喘いでいる。
ヴォルデマーは熱くなった顔に密かに渋面を浮かべ、まるで精神修行のようだと一人ごちる。
(これは、やはり……危険だ……)
せめて腹側は自分で何とかしておかなければと、ヴォルデマーは自ら木桶に手を伸ばす。
「あら? 私めがやりましょうか?」
「!?」
ヴォルデマーが桶と石鹸を手に取ると、ミリヤムが彼の背越しにヴォルデマーの顔を覗き込む。浴場の暖かさもあって高潮したミリヤムの頬にはもう汗が滲んでいた。湿ったうなじに張り付いた髪がいやに目を引いて。ヴォルデマーは一瞬、柄でもなくぎしりと身体を強張らせて彼女から目を逸らせた。その顔を見せられながら、今こちら側を洗われてはもたぬと思った。
「……いやいい。お前は背を流してくれ……」
「そうですか? ではこれをお使い下さい」
そう言ってミリヤムは手にしていた櫛をヴォルデマーに渡す。
「しっかり毛の絡まりもとってからお洗い下さい」
「……ああ」
手渡された櫛を持ってヴォルデマーは思った。
イグナーツよ……これは本当にゆっくり出来るのか……?
ぐいぐい手を引かれ連れてこられた見慣れた隊士用の浴場には、まだ早い時間のせいか他の隊士は誰も居なかった。二人きりか、いやしかしそれはいよいよ不味いのでは、と内心焦り始めていたヴォルデマーであったが……
其処へ風呂場の掃除を終えたらしい老爺、灰色のロルフが二人の前にやってきた。ロルフは雑巾片手に二人を見て毛深い顔の相好を崩す。
「おやおやミリーちゃんに……」
「ロルフさん、お風呂入れますか!?」
「ついさっき湯を入れ始めたところだよ」
ロルフの言葉にミリヤムは今だ正気さの乏しい顔で「一番風呂万歳!」と諸手を上げている。ロルフは「ふぇ、ふぇ」と笑いながらヴォルデマーを見た。
「また捕まったのかい? 不摂生するからじゃ」
「……」
反論の余地がないヴォルデマーは黙り込む。ロルフは愉快そうに笑った。
「頑固なお前さんにはミリーちゃんくらいごり押しなお嬢さんの方が似合いかもしれんなあ……さてと、では爺さんは脱衣所の表で邪魔が入らぬよう門番でもしておるかな……ミリーちゃん頑張るんじゃぞ!」
「は! 畏まりました!」
「……」
ロルフは途中にあったデッキブラシを門番風に持ち、「ミリーちゃんが居るとほんと面白いわい」と言い残して出て行った。
「……」
「さて、」
ロルフが出て行くと、ミリヤムは早速がしりとヴォルデマーの隊服に手をかけた。ヴォルデマーはその手を押し留める。
「ミリヤム、自分でやるゆえ……一人で出来る」
「いえご遠慮なく。私めも無駄に“痴女”などと呼ばれている訳ではないんですよ。私めの観察によりますと、どうも、獣人の皆様は背中を洗うのが苦手でいらっしゃる。手が届かない上に毛深いですからね。ブラシもあて辛く、なかなか地肌までは清潔に出来ないご様子。皮膚病になるなら恐らく其処です。私めがしっかり軽い指どおりにして差し上げますからね」にこり
ミリヤムはてきぱきとヴォルデマーの上着を脱がした。だがしかし、とヴォルデマーは困り果てている。
「お前に脱がされるのは少々……差し障りが……」
「……え?」
ミリヤムが見上げると、ヴォルデマーは気恥ずかしそうに視線を逸らし斜めを向いていた。それはミリヤムが初めて見るその大きな男の表情だった。今までは己が恥ずかしがらされるばかりだったミリヤムは、そんなヴォルデマーの様子にうっかりときめいた。ときめいて、我に帰った。
「は!?」
正気に戻ったミリヤムは、己の指がヴォルデマーの白シャツのぼたんの三つ目を外しているのを見て慄いた。それはもう殆ど開かれている。
「……!? なんだ!? どうした!? 私が……ヴォルデマー様を脱がせている!?」
「……」
「ひいっ、隙間から覗く胸板……な、なんたる色気……」
途端ミリヤムの顔が一瞬にして茹で上がる。正常(?)に羞恥に悶え始めたミリヤムにヴォルデマーは、ほっとした。が──
ミリヤムの叫び声に何かを察したか、出入り口外の老爺から愉快そうな声が送られる。
「ちゃんと綺麗にしてやらねば~」
「は! 皮膚病!? 蚤!?」
「!?」
ロルフとの問答にミリヤムの背筋がびりりと伸びる。ついでにミリヤムの手も伸びた。その手は手品のようにヴォルデマーのシャツを脱がせ、ズボンのベルトを抜き去った。年季のはいった手つきはこの砦で大勢の隊士達を相手取ることで更に磨きがかかったようで、その手さばきは抵抗を寄せ付けなかった。
勿論ヴォルデマーが本気で抵抗すればミリヤムに勝ち目はなかっただろう。だが、惚れた弱味というものか、好いた娘相手に戸惑っているヴォルデマーでは今回は勝負にならなかった。
「蚤の侵攻からヴォルデマー様を守るんだ!!」
「ミリヤム……気持ちは嬉しいが落ち着け……」
と、ヴォルデマーが落ち着いて言った時には既に彼はすっかり脱がされていた。普段は彼の落ち着いた性質は数多の問題を解決するに適していたが、今回はそれが仇になった。
「…………、!」
落ち着いている間に衣服を全て取られたヴォルデマーは一瞬そのミリヤムの手際に目を見張り──はっと我に帰った。
「……」
彼はミリヤムが衣服を畳んでいる隙に無言で傍にあった布を己の腰元にさりげなく巻きつけた。その口からは困惑の色濃いため息が洩れる。
ミリヤムがもうヴォルデマーだけは洗えないと思ったのと同様に、以前は平気だったことが平気でなくなったのは彼の方も同じだった。
出会った当初は己の肉体がさらされても「何ら害もない」と、受け流したヴォルデマーではあったのだが、今回はそう思うことが出来なかった。ミリヤムによって己が脱がされるという事象の強烈さにヴォルデマーは眉間を押さえて呻く。此処に来るまでは、「二度目なのだから」と小さな油断も感じていたのだが……それがまったくの間違いであった事をヴォルデマーは思い知った。
しかし、再びヴォルデマーを「蚤の侵攻から守る」使命に夢中になったミリヤムは服を畳んでしまうと、すぐさま彼の手を引いて邪気の無い顔で彼を見上げた。
「さ、行きましょう、ヴォルデマー様!」
「……はあ……」
先程の「一緒にお風呂に入りましょう」発言を聞いてまさかと動揺していたヴォルデマーは、一先ずミリヤムが服を脱ぎださなかった事に心底安堵した。
勿論そのような関係になることを望んでいないわけではないが、男にも心構えというものがある。そもそもミリヤムがその気で誘ってきているのならいざ知らず、これはどう考えても別件だった。
しかし──然しものヴォルデマーも男である。情を向けた娘と浴室に二人きり。身体に触れられ何も無く終えられるのかには一抹の不安があった。
「……」
「さ、お早く。じっとしていると寒いですよ。早く洗って湯に浸かりましょう。急がねば毛並み泥んこ隊士達が雪崩れ込んできて湯を濁らされます」
「……」
もういっそその方が気が楽なのだが、というヴォルデマーの葛藤も露知らず、ミリヤムは彼を石造りの洗い場へ追い立てて行った。
そうしてヴォルデマーを洗い場に座らせると、彼女は木桶の中のブラシを取り出して黒い毛並みの埃をせっせと落とし始める。
その様子は如何にも真剣で。その忙しなく動く白く細い腕を見ながら、ヴォルデマーはやれやれと肩から力を抜いた。此処まで来てしまっては仕方ない。もう後は耐え忍ぶだけだ、とヴォルデマーは観念する。
(……あの日以来か……)
ミリヤムを見ていると、その姿が出会った頃と重なってヴォルデマーの胸に感慨深いものが過ぎる。その懸命な様はあの日と変わりが無いが、中身は大分変わったように思えた。
あの時彼女には一切の躊躇が無かった。風呂場が正常に機能してないことに怒り、ヴォルデマー以下隊士達の意識の低さを叱り、それを正す為に隊士達の裸を目にすることに一体何の問題があるのだ、と堂々と胸を張り周囲の視線も物ともしなかった。
だが、あの時仕事人に徹し、自分達を欠片も意識しなかった彼女が今、ヴォルデマーに触れることを恥じらい躊躇する。彼をきちんと異性として意識し、意識した上で、それをおして尚、己の健康を気にかけてくれている事がヴォルデマーにはとても嬉しかった。手荒くごり押ししているようで、相変わらず手つきは丁寧で優しい。その練熟した巧みさにヴォルデマーも改めて感心する。
(…………だが……)
さわさわと触れていく細腕の感触に、ヴォルデマーはやはりこれは今後やめさせなければ、と心の中で堅く決意する。ミリヤムがこれまで同じ事を他の隊士にしていた事を歯がゆく思うし、これからもその気が無くともその気になる隊士が出るのではと案じられた。辛抱強い方だと自負していた己ですら触れられた場所から徐々に熱が高まる感覚に喘いでいる。
ヴォルデマーは熱くなった顔に密かに渋面を浮かべ、まるで精神修行のようだと一人ごちる。
(これは、やはり……危険だ……)
せめて腹側は自分で何とかしておかなければと、ヴォルデマーは自ら木桶に手を伸ばす。
「あら? 私めがやりましょうか?」
「!?」
ヴォルデマーが桶と石鹸を手に取ると、ミリヤムが彼の背越しにヴォルデマーの顔を覗き込む。浴場の暖かさもあって高潮したミリヤムの頬にはもう汗が滲んでいた。湿ったうなじに張り付いた髪がいやに目を引いて。ヴォルデマーは一瞬、柄でもなくぎしりと身体を強張らせて彼女から目を逸らせた。その顔を見せられながら、今こちら側を洗われてはもたぬと思った。
「……いやいい。お前は背を流してくれ……」
「そうですか? ではこれをお使い下さい」
そう言ってミリヤムは手にしていた櫛をヴォルデマーに渡す。
「しっかり毛の絡まりもとってからお洗い下さい」
「……ああ」
手渡された櫛を持ってヴォルデマーは思った。
イグナーツよ……これは本当にゆっくり出来るのか……?
0
お読み頂き有難うございます(*^^*)後日談、「偏愛侍女は黒の人狼隊長を洗いたい。後日談」も現在更新中です。よろしくお願いいたします♪
お気に入りに追加
2,126
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。


【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定


婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。