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15.老いらくの恋
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エイミーより少し上ぐらいのお姉さんが相談にきた。
「アタシ、王城の料理場で下ごしらえの仕事させてもらってるんです。ただの平民がまさか王城で働けるなんて、夢にも思ってなくて。できることはなんでもやって、ずっとここで働きたいんです」
確かに、普通に生きていたら、平民は王城では働けない。
「よく雇ってもらえましたね」
「はい、以前は街の食事処で下ごしらえと、給仕をしてました。その店によくくる常連さんがいて、その人の紹介なんです」
「よかったですねぇ」
エイミーはほわぁっと息を吐いた。最近いい話が多いな。
「はい、ホントにありがたくて。その人は王城の食堂にもよく食べに来られて、たまにアタシにも声かけてくれるんです」
「いい人ですねぇ」
うんうんとエイミーは頷く。
「はい、そうなんです……けど」
「けど?」
「最近、高価なプレゼントくれるようになって。アタシどうしたらいいんだろうって」
「えーいいなー。もらっておけばいいじゃないですかー」
「でも……その人、奥さんいるんです」
「ん?」
「すごく年上の人だし、お父さんより年上だし……」
「んん……」
「この前は、一緒に食事に行こうって誘われて……」
「えっ」
「遠慮したんですけど、断りきれなくて……」
「あらー」
「君が望むなら、一緒になろう。妻とは別れるって言われて。アタシ、頭が真っ白になって、何も言わずに走って帰っちゃったんです。どうしたらいいでしょう」
子ウサギのように目を赤くしてプルプルしてる。
「えええ、わたしそういう経験一回もないから……マヤさーん」
マヤは渋い顔で腕組みをしている。
「その気がないなら、さっさと断る方がいい。放っておくと、勘違いしてつけ上がって、気がついたときには結婚だな」
「ひょー」
「年がいってからの恋は怖い。最後のひと花咲かせたい欲求で、周りが見えなくなる。地位と権力があるから、若い女性に丁寧に接してもらえているだけなのに、自分の魅力と勘違いする。早めに切らないと、執着されてひどいことになる」
「いやー」
「これからは絶対にふたりきりで会わないこと」
「はいっ」
アナは真剣な顔で返事をする。
「この手の男は対処がめんどくさい。私が魔法陣を選んであげよう。……ちなみにその男の名前を聞いてもいい?」
「はい。財務部のサミュエルさんです」
「ああー」
「ああー?」
マヤが上を見て頭を抱える。
「それ、アレだ。この前奥さんのマルタさんが呪いかけたご主人だ」
「マルタさんって誰でしたっけ?」
「ご主人が急にこじゃれてきて、初めてのモテ期で浮かれてるって人」
「ああー、『大事な商談の相手の時に限って相手の名前を間違える』の呪いかけた人!」
エイミーがさーっと青ざめる。
「あれ、ていうことは無意味な呪いかけちゃったってこと?」
「……いや、それは気にしてはいけない。忘れなさい」
「はいっ」
エイミーはシャキッと答えた。
「あーあの人かー……。分かった。呪いふたつかけよう。ひとつはマルタさんにかけてもらう。これと、これだ」
「はいっ」
アナとエイミーは力強く腹から返事した。
◆◆◆
「アナ、やっと会えた」
「ひっ」
「この前のこと、本気なんだ。恥ずかしがらせてすまなかった」
「へ?」
「妻には今日話すつもりだ。いつから一緒に住める?」
「一緒には住めません!」
「遠慮しなくていいんだよ。これが真実の愛……。イテー」
「アタシ、サミュエルさんのこと、好きでもなんでもありません! 一緒には住めません! 奥さんと仲良くしてください!」
アナは絶叫した。
うしろでのぞいていた料理人仲間が拍手した。
◆◆◆
「あなた、最近若い女の子につきまとっているらしいわね……」
「……いや、それは、そのー。真実のあ、イテーー」
「あなた、いい加減になさい。若い女の子が、自分の父親より年上の男を好きになると思うの?」
「……しかし、これは、真実のあ…アアアーー」
「いいですか。妻だからこそ、他の誰も言ってくれないことを言います。あなた、最近、加齢臭がします」
「…………」
「それに、髪がフケだらけです」
「…………」
「腹筋が割れてて、爽やかで、笑顔がまぶしいイケメン。若い女性はそちらを選びます。おじいさんはお呼びでない」
「…………」
「おじいさんには、おばあさんがいるではありませんか。確かにシワはありますけど。長い間一緒にやってきたではありませんか。そんなに私では不満ですか」
マルタは震える手をギュッと握り合わせて、まっすぐサミュエルを見る。
「…………すまない。お前に不満があるわけではない。少し浮かれていたようだ」
「しばらくよく考えて、今後どうするか決めてください。妹がいつでも来てと言ってくれてますから、出ていってもいいのです。でも、ふたりで過ごした年月は、無駄ではなかったと思いたい……」
「…………」
「もし、私と共に死ぬまで暮らしたいのなら、ヴァンアペールの新作を贈ってください。首飾りと耳飾りと指輪の三点揃いのものです」
「分かった。明日注文してくる。すまなかった、マルタ。これからは大事にする」
「はい、そうしてください」
マルタの涙をサミュエルはおずおずとぬぐった。
「アタシ、王城の料理場で下ごしらえの仕事させてもらってるんです。ただの平民がまさか王城で働けるなんて、夢にも思ってなくて。できることはなんでもやって、ずっとここで働きたいんです」
確かに、普通に生きていたら、平民は王城では働けない。
「よく雇ってもらえましたね」
「はい、以前は街の食事処で下ごしらえと、給仕をしてました。その店によくくる常連さんがいて、その人の紹介なんです」
「よかったですねぇ」
エイミーはほわぁっと息を吐いた。最近いい話が多いな。
「はい、ホントにありがたくて。その人は王城の食堂にもよく食べに来られて、たまにアタシにも声かけてくれるんです」
「いい人ですねぇ」
うんうんとエイミーは頷く。
「はい、そうなんです……けど」
「けど?」
「最近、高価なプレゼントくれるようになって。アタシどうしたらいいんだろうって」
「えーいいなー。もらっておけばいいじゃないですかー」
「でも……その人、奥さんいるんです」
「ん?」
「すごく年上の人だし、お父さんより年上だし……」
「んん……」
「この前は、一緒に食事に行こうって誘われて……」
「えっ」
「遠慮したんですけど、断りきれなくて……」
「あらー」
「君が望むなら、一緒になろう。妻とは別れるって言われて。アタシ、頭が真っ白になって、何も言わずに走って帰っちゃったんです。どうしたらいいでしょう」
子ウサギのように目を赤くしてプルプルしてる。
「えええ、わたしそういう経験一回もないから……マヤさーん」
マヤは渋い顔で腕組みをしている。
「その気がないなら、さっさと断る方がいい。放っておくと、勘違いしてつけ上がって、気がついたときには結婚だな」
「ひょー」
「年がいってからの恋は怖い。最後のひと花咲かせたい欲求で、周りが見えなくなる。地位と権力があるから、若い女性に丁寧に接してもらえているだけなのに、自分の魅力と勘違いする。早めに切らないと、執着されてひどいことになる」
「いやー」
「これからは絶対にふたりきりで会わないこと」
「はいっ」
アナは真剣な顔で返事をする。
「この手の男は対処がめんどくさい。私が魔法陣を選んであげよう。……ちなみにその男の名前を聞いてもいい?」
「はい。財務部のサミュエルさんです」
「ああー」
「ああー?」
マヤが上を見て頭を抱える。
「それ、アレだ。この前奥さんのマルタさんが呪いかけたご主人だ」
「マルタさんって誰でしたっけ?」
「ご主人が急にこじゃれてきて、初めてのモテ期で浮かれてるって人」
「ああー、『大事な商談の相手の時に限って相手の名前を間違える』の呪いかけた人!」
エイミーがさーっと青ざめる。
「あれ、ていうことは無意味な呪いかけちゃったってこと?」
「……いや、それは気にしてはいけない。忘れなさい」
「はいっ」
エイミーはシャキッと答えた。
「あーあの人かー……。分かった。呪いふたつかけよう。ひとつはマルタさんにかけてもらう。これと、これだ」
「はいっ」
アナとエイミーは力強く腹から返事した。
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「アナ、やっと会えた」
「ひっ」
「この前のこと、本気なんだ。恥ずかしがらせてすまなかった」
「へ?」
「妻には今日話すつもりだ。いつから一緒に住める?」
「一緒には住めません!」
「遠慮しなくていいんだよ。これが真実の愛……。イテー」
「アタシ、サミュエルさんのこと、好きでもなんでもありません! 一緒には住めません! 奥さんと仲良くしてください!」
アナは絶叫した。
うしろでのぞいていた料理人仲間が拍手した。
◆◆◆
「あなた、最近若い女の子につきまとっているらしいわね……」
「……いや、それは、そのー。真実のあ、イテーー」
「あなた、いい加減になさい。若い女の子が、自分の父親より年上の男を好きになると思うの?」
「……しかし、これは、真実のあ…アアアーー」
「いいですか。妻だからこそ、他の誰も言ってくれないことを言います。あなた、最近、加齢臭がします」
「…………」
「それに、髪がフケだらけです」
「…………」
「腹筋が割れてて、爽やかで、笑顔がまぶしいイケメン。若い女性はそちらを選びます。おじいさんはお呼びでない」
「…………」
「おじいさんには、おばあさんがいるではありませんか。確かにシワはありますけど。長い間一緒にやってきたではありませんか。そんなに私では不満ですか」
マルタは震える手をギュッと握り合わせて、まっすぐサミュエルを見る。
「…………すまない。お前に不満があるわけではない。少し浮かれていたようだ」
「しばらくよく考えて、今後どうするか決めてください。妹がいつでも来てと言ってくれてますから、出ていってもいいのです。でも、ふたりで過ごした年月は、無駄ではなかったと思いたい……」
「…………」
「もし、私と共に死ぬまで暮らしたいのなら、ヴァンアペールの新作を贈ってください。首飾りと耳飾りと指輪の三点揃いのものです」
「分かった。明日注文してくる。すまなかった、マルタ。これからは大事にする」
「はい、そうしてください」
マルタの涙をサミュエルはおずおずとぬぐった。
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