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100.リフィーラ    <完>

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 朝ね。

 レースの隙間から光がしのびこみ、わたしの頬を優しくたどるわ。

 チッチッチッ ツィーツィーと、小鳥がわたしを誘うわ。

 いざっ

 クルクルクルッ シュタンッ

 ふっ 決まった


 ほほほ、父さま譲りの華麗なる宙返りよ。今日も完璧だわ。完全無欠令嬢リフィーラよ。よろしくね。


「リフィーラ様。おはようございます。本日もよいお目覚めのようですね」

「あら、リーザレット、いたのね。ほほほほ。わたしの目覚めはいつも最高よ。今日の予定はなんだったかしら? 確かカトさんダニさんと剣術の訓練ですわよね?」

「はい。母と父が手ぐすねを引いて待っております。その後、ベティーナ様と法律のお勉強、リエネッタ様と交渉の実施練習、婚約者のゲオパルド様とお茶会、最後に親もまじえて、四天王最弱ゲームです」

「……ちょっと予定を盛りすぎでは?」

「……はい、ですが……公平に時間を持たないともめます。主に親同士が」

「はああ、めんどうだわねぇ。たまには誰とも会わずにのんびりしたいわ……」


 まったくみんな、わたしのことなんだと思ってるのかしら。愛情の押し売りはごめんよ。

 大体ねぇ、産まれた瞬間から、いえ、母さまのお腹にいたときから婚約者が決まってたって、どういうことなのかしら。わたしが女だったらゲオパルドと、男だったら第一王女殿下と婚約ですって。

 母さまは遠い目をして、これでも戦ったのです、ってつぶやいていたけれど。まあ一応、仮の婚約者ってことにはなってるけど……。あのパブおばさん、あ、しまった、パブおねーさんの勢いでは、断れる気がしないわ。

 ずるいわ、母さまは父さまをご自分で選ばれたのに。わたしだって結婚相手は自分でみつけたいわ。

 べ、別にゲオパルドのことが嫌いなわけじゃないのよ。見た目はいいですし、紳士ですし、いつも優しいわ。

 でも、少しぐらい恋の駆け引きを経験したかったわ。駆け引きも何も、ゲオパルドはわたしにゾッコンですもの。押して押して押してですわ、たまには引いてほしいわ。


 おかしいわ、もっとたくさん攻略対象がいたはずなのに。

 ん? 攻略対象ってなにかしら?


「ええええええーーーー、わたし悪役令嬢に転生しちゃってるーーーー」


<完>


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