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99.エリザベート2
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ごきげんよう、エリザベートですわ。わたくしも、ついに母になりますわ。ええ、わたくしにも覚悟が必要でしたが、夫にはもっと時間が必要でしたの。はい、母も父も知らずに育ちましたでしょう。親になるとはどういうことか、親を知らずに親になれるのか、葛藤があったようですわ。
幸いカッちゃん、データちゃん、マネちゃん、パブちゃんが無事に出産を終えまして。ええ、カッちゃんとパブちゃんは安産で、データちゃんとマネちゃんは難産でしたわ。
データちゃんとマネちゃんはツワリもきつかった上に難産でしたから、気の毒でしたわ。どうなのかしら、わたくしはツワリもほとんどありませんのよ。ただねぇ、この子が元気いっぱいで。しょっちゅうお腹の中で動き回りますのよ。たまに骨のあたりを蹴られると、ツーンとして動けなくなりますわ。
ほほほ、そうですわ。四人の子供の成長を間近で見て、抱っこしたり、オムツを替えたり、超高速高い高いをしたり。そうやって、子供を育てる、親になるということへの恐れを、少しずつ払拭したのですわ。そうして、やっと結婚して、赤ちゃんを授かりました。
「ね、フィー。もう怖くないでしょう?」
「うん」
「みんなが助けてくれるわ。わたくしも分からないことばかりよ。ゆっくり親になっていきましょう」
「うん」
「間違えてもいいのよ。学んで正しい方法を覚えればいいわ」
「うん」
「この子が元気に育つこと、それが一番大切だわ」
「うん」
「この子が自分の力で生きていけるように、支えてあげましょう」
「うん」
「わたくしがフィーを愛するように。フィーがわたくしを愛するように。この子に惜しみない愛を注ぎましょう」
「うん」
「幸せだわ、フィー」
「うん。幸せだ、えり」
幸いカッちゃん、データちゃん、マネちゃん、パブちゃんが無事に出産を終えまして。ええ、カッちゃんとパブちゃんは安産で、データちゃんとマネちゃんは難産でしたわ。
データちゃんとマネちゃんはツワリもきつかった上に難産でしたから、気の毒でしたわ。どうなのかしら、わたくしはツワリもほとんどありませんのよ。ただねぇ、この子が元気いっぱいで。しょっちゅうお腹の中で動き回りますのよ。たまに骨のあたりを蹴られると、ツーンとして動けなくなりますわ。
ほほほ、そうですわ。四人の子供の成長を間近で見て、抱っこしたり、オムツを替えたり、超高速高い高いをしたり。そうやって、子供を育てる、親になるということへの恐れを、少しずつ払拭したのですわ。そうして、やっと結婚して、赤ちゃんを授かりました。
「ね、フィー。もう怖くないでしょう?」
「うん」
「みんなが助けてくれるわ。わたくしも分からないことばかりよ。ゆっくり親になっていきましょう」
「うん」
「間違えてもいいのよ。学んで正しい方法を覚えればいいわ」
「うん」
「この子が元気に育つこと、それが一番大切だわ」
「うん」
「この子が自分の力で生きていけるように、支えてあげましょう」
「うん」
「わたくしがフィーを愛するように。フィーがわたくしを愛するように。この子に惜しみない愛を注ぎましょう」
「うん」
「幸せだわ、フィー」
「うん。幸せだ、えり」
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