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64.カトリン(侍女)
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お初にお目にかかります。王国の紅い薔薇エリザベート様の侍女カトリンと申します。
エリー様、一体いつ帰ってこられるのかしら? エリー様がいらっしゃらないと、屋敷に活気がなくてよくありません。いえ、屋敷だけではありません、王国中が火が消えたようです。なんといっても、エリー様は王族をも、聖女をも圧倒する人気ですからね。エリー様の侍女として恥ずかしくないよう、身を引き締めなければなりませんね。
思えば随分長くお仕えさせていただいて、毎日色々ありすぎてあっという間でしたね。そう、あの日からエリー様の怒涛の快進撃が始まったのです。
「おっしゃーー! 悪役令嬢に転生したどーーー!!」
そうエリー様が叫ばれたのでした。奥様がご病気で領地にこもられてから、エリー様はお部屋に閉じこもって誰とも話さなくなられたのでしたっけ。何があったか分かりませんが、あのお叫びの日からエリー様は変わられました。
エド様も昔は手のつけられない暴れん坊でしたのに。エリー様が強引にエド様を連れ回すうちに、エド様もすっかり手懐けられて……。今や忠犬エド公と巷で呼ばれている……。はっ、今のは無し、公爵家のご子息になんたる不敬。注意注意注意。
かくいうあたしも、エリー様の侍女兼護衛として、すっかり鍛え上げられましたね。昔は虫も殺せぬ子爵家令嬢だったのが、エリーズブートキャンプのおかげで鋼鉄の肉体に。今ではたいていの賊は拳で沈められますからね。
エリー様の腹心としてますます精進しなければなりませんね。エリー様の侍女兼護衛の立場は誰にも譲らない。
「カトリンさん、今少しいいですか? 聖女のリリアンヌ様がエリー様に会いにいらっしゃっていて。エリザベート様はご不在とお伝えしたのですが、ならばカトリンさんにお会いしたいとおっしゃいまして……」
「承知しました。すぐ向かいます」
もーまたあの聖女様は……。何かというとエリザベート様に相談にくるんですから。少しは自分の頭で考えてほしいもんですね。
まぁ、エリー様に、カッちゃん、リリたんのことよろしくね、って言われましたからね。エリー様の右腕として、聖女様の相談に乗らなければいけませんね。ほら、あたし、エリー様に、カッちゃんがいないと何もできないよー、って言われてますし。ふふっふふっ、ふふふふ。
エリー様、一体いつ帰ってこられるのかしら? エリー様がいらっしゃらないと、屋敷に活気がなくてよくありません。いえ、屋敷だけではありません、王国中が火が消えたようです。なんといっても、エリー様は王族をも、聖女をも圧倒する人気ですからね。エリー様の侍女として恥ずかしくないよう、身を引き締めなければなりませんね。
思えば随分長くお仕えさせていただいて、毎日色々ありすぎてあっという間でしたね。そう、あの日からエリー様の怒涛の快進撃が始まったのです。
「おっしゃーー! 悪役令嬢に転生したどーーー!!」
そうエリー様が叫ばれたのでした。奥様がご病気で領地にこもられてから、エリー様はお部屋に閉じこもって誰とも話さなくなられたのでしたっけ。何があったか分かりませんが、あのお叫びの日からエリー様は変わられました。
エド様も昔は手のつけられない暴れん坊でしたのに。エリー様が強引にエド様を連れ回すうちに、エド様もすっかり手懐けられて……。今や忠犬エド公と巷で呼ばれている……。はっ、今のは無し、公爵家のご子息になんたる不敬。注意注意注意。
かくいうあたしも、エリー様の侍女兼護衛として、すっかり鍛え上げられましたね。昔は虫も殺せぬ子爵家令嬢だったのが、エリーズブートキャンプのおかげで鋼鉄の肉体に。今ではたいていの賊は拳で沈められますからね。
エリー様の腹心としてますます精進しなければなりませんね。エリー様の侍女兼護衛の立場は誰にも譲らない。
「カトリンさん、今少しいいですか? 聖女のリリアンヌ様がエリー様に会いにいらっしゃっていて。エリザベート様はご不在とお伝えしたのですが、ならばカトリンさんにお会いしたいとおっしゃいまして……」
「承知しました。すぐ向かいます」
もーまたあの聖女様は……。何かというとエリザベート様に相談にくるんですから。少しは自分の頭で考えてほしいもんですね。
まぁ、エリー様に、カッちゃん、リリたんのことよろしくね、って言われましたからね。エリー様の右腕として、聖女様の相談に乗らなければいけませんね。ほら、あたし、エリー様に、カッちゃんがいないと何もできないよー、って言われてますし。ふふっふふっ、ふふふふ。
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