【完結】悪役令嬢のカウンセラー

みねバイヤーン

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33.ソフィア様

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 ようこそいらっしゃいませ、ソフィア様。わたくしエリザベートと申しますわ。
 
 はい、えぇ、もちろんご用意できましてよ。手巻き寿司、楽しいですもの。ふふふ。具材はそうですわねぇ、玉子焼き、お刺身色々、茹でたカニもいいですわね、ツナマヨ、唐揚げも意外と合いますわ。きゅうりやカイワレ、かんぴょうも歯応えが楽しいわ。


 まあ、えぇ、なるほど、確かに、分かる気がいたしますわ。

 そうなのですね、ソフィア様は婦女子からの人気が高いのですね。えぇ、キリッとして中性的な魅力がございますもの、無理もありませんわ。

 あらまあ、ソフィア様友の会がおありに? 毎日校門前で出待ちが? ソフィア様との昼食は友の会メンバーが順番で、教室でもソフィア様の周りの席は日替わりで交代、教師も見て見ぬふり。剣術の訓練の後はタオルを渡され、汗をぬぐったタオルが高値で取引きされると。


 まぁ、それは気の休まるときがありませんわねぇ。攻略対象とは仲良くされていらっしゃいますの? 共に国を支える仲間として切磋琢磨している? まっ、男前ですわ……胸が高まりましたわ。


 それで、ヒロインはどうなさっていて? あらあらまあまあ、ヒロインがソフィア様友の会の会長でいらっしゃるのー、あらー。


 そうですの、なんだか毎日とっても充実していらっしゃるように思えますけれど……。あぁ、えぇ、なるほどなるほど、ふーむ。


 そうなんですね、実は刺繍や編み物がお好きでいらっしゃり、さらに作品をご自分でお売りになるのが生きがいですのね。バザーに出すと一瞬で売り切れ、その後は握手を売っていらっしゃるのねぇ。まあ。


 ええ? いえいえ、お気持ちはよく分かりますわ。あら、贅沢な悩みといえば確かにそうかもしれませんけれど……でも分かりますわ。ソフィア様が作ったものだから買うのではなく、作品そのものを気に入って買ってもらいたい、そういうことですわよねぇ。


 では、変装してお売りになってはいかがかしら? え、なぜだかすぐ見破られる? まあ。どのような変装ですの? あら、実演いただけますの?


 ううっ……なんだか胸が苦しい……。ソフィア様、いけません。それはなりませんわ。破壊力が強すぎますわ。えぇ、ドレスを着ていただけると……。


 失礼いたしました、お見苦しいところを……。そうですね、あの変装は封印で。ええ? だって、お忍びの芸能人感がバリバリでいらっしゃったわよ。オーラが漏れまくって、返って目をひきますわ。あんな一般人はおりませんわ。掃き溜めに鶴が過ぎますわ。


 ようござんす。本気の変装を伝授いたしますわ。まずね、この瓶底メガネをかけて、出っ歯をつけて、ほーら、だいぶ美貌が隠れて……ない……。クッ、まだまだーこれからー。服はこの用務員のおじさんスタイルがよろしいわ。ほーら、随分オーラが消えて……ない……。クッ、まだまだー序の口ー。

 姿勢がよいと目を引きますわ、そうそう常に猫背ですわ。いいですね。この頭巾で髪を隠して。薄汚れメイクを施して……。えぇ、こんなもんでしょう。鏡でご覧になって。


 ……ダメ、口を開いてはダメ……。イケボが過剰。


 ソフィア様、変装中はおしゃべり禁止。よろしいですね。看板出して、値札つけて、終始無言。
 オーケー?



 年のはじめのえべっさん 
 商売繁盛で笹もってこい!




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