【完結】悪役令嬢のカウンセラー

22．ニーナ様

　ようこそいらっしゃいませ、ニーナ様。わたくしがエリザベートですわ。


　はい？　あ、ごめんなさい、聞き取れなくって。ええ、はい。わらび餅、ございますとも。きな粉と黒蜜たっぷりかけますわ。飲み物はほうじ茶ですわね。はい、承りました。


　え、えぇ？　ごめんなさいね、お隣に座ってもよろしくて？　はいはい、ふむふむ、あーなるほどですねー。ニーナ様は、推しを見守りたい、観察したい、小声で実況したい、だけど実践は勘弁と。


　なるほど、二次元の登場人物たちがキャッキャウフフとしているのを、画面越しから眺めるのが好きなのであって、例えイケメンでも自分が甘い言葉を囁かれると、体がかゆくなると……。難儀な。


　ええっ、婚約者から逃げ回っているうちに隠密スキルがカンストした？　おお、おめでとうございます！　もう同じ部屋にいてもバレない？　やったね。


　ええっと、ではそのままで何も問題ないのでは？　うっ、推しカプが婚約者とヒロインですか……。うわー、ニーナ様とヒロインはお友達……。ヒロインに婚約者との仲を応援されてる……。不憫すぎる。ううっ……ちょちょちょちょちょーっとだけお待ちいただけますかしら？


　お疲れ様でーす。オグちゃーん、そうなのそうなの、そういうこと。三次元お断り的な。そうそう。えええー、無理って、それは言ったらおしまいよ。そんなぁー、そこをなんとか。はあ、なるほど、うーんそうねー。無理がありすぎる気がするけれども。そうね、だいぶ強引だけども。よっし、とりあえず言うだけ言ってみますわ。どもども、はーい、ありがとうございまーす。


　お待たせいたしました。ところで、ヒロインはどなたか決まった人がいらっしゃるの？　えええー、ニーナ様の弟さん？　詰んだ……。


　え？　いえ、あのーそのー、ニーナ様が婚約者と会うときは、必ずヒロインカップルも呼んで、ダブルデートにすれば少しはマシかなーと……あははははは、ありえないですよねー。え？　ありえない話ではない？　……ホントに？


　ニーナ様の弟さんも隠密スキル持ち？　だから四人でいても、実態は推しカプだけみたいなもの？　……ホントに？


　ほ、ほほほほ、ほほほ、いえっ、ニーナ様がそれでいいなら、ええ、それで！　決まりで！




　お幸せにっっ