上 下
2 / 100

2.レオノーラ様

しおりを挟む
 ようこそいらっしゃいませ、レオノーラ様。エリザベートと申しますわ。


 ええ、ナターリエ様からレオノーラ様のことは伺っております。勇気を出してこちらにいらしてくださって、とっても嬉しいですわ。


 どうぞお座りになってくださいな。お飲み物は紅茶、緑茶、コーヒー、ココア、クリームソーダ……あ、クリームソーダをご所望ですのね。ええ、日本の味は懐かしいですわよね、分かりますわ。


 では、クリームソーダと一緒におかきなんてどうかしら? 意外と合いますのよ、ふふふ。


 それで、レオノーラ様はどういったことでお悩みでいらっしゃいますの? ナターリエ様が、俺には無理って呟いていらっしゃいましたけれど…。ドキドキしますわ。

 
 ガッターン

 
 失礼いたしました。取り乱してしまいましたわ。わたくし少し調べ物をいたしますので、しばらくお待ちいただいてもよろしくて?



 お疲れ様でーす。オグちゃーん、夢の中にごめんねー。たーすーけーてー。ヤバい案件来ちゃった、早くも二回目で休業することになるかもしれん。

 
 そうなのそうなの、それがさー、レオちゃんの作品エタってるんだって。え、エタるって、作者が続き書いてくれないっていうアレよー。こんなんさ、無理じゃね。ナタっちゃんがボヤいてたのも納得よ。


 うんうんうん、そっかそっかー理解~。分かった、いつもいつもありがとうね。しっかりお祈り捧げておくからね。え、縁起が悪いからいらない? 失礼だぞオマエ。じゃーまたー。



 レオノーラ様、お待たせしてしまって申し訳ございません。ええ、神託を得てまいりましたわ。


 結論から申し上げますわ。レオノーラ様にできることはほとんどございません。


 そう、来た意味ーーー、ですわよね。その通りですわ、不甲斐ないですわ。


 エタる、それは作者にとっても、中の人にとっても、信者にとっても、最も過酷な試練ですわ。わたくしも幾度となく、続きを正座待機いたしましたわ。再開されたら五体投地ですとも。


 信託によると、作者の創作意欲が湧くようにお祈りする。さりげない感想をお送りする、ただし追い詰めてはいけない。でもこれらはレオノーラ様がなさることではありませんの。あくまでも信者が自主的に行うのですわ。


 ただひとつ、レオノーラ様にもできることがございますわ。ええ、繰り返しですわ。続きがないのですもの、繰り返すしかございませんわ。飽きても何度でもリピートです。そうしてレオノーラ様が腐らずに生きていれば、ニ次創作という別の世界に旅行できますのよ。


 信者は続きを待ちながら、何周もする。中の人は腐らずに繰り返す。
 

 わたくしも毎日続きをお祈りいたしますわ。
 

 レオノーラ様、ご武運を。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する

みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

【短編】悪役令嬢の侍女 〜ヒロインに転生したけど悪役令嬢の侍女になりました〜

みねバイヤーン
恋愛
リリーは乙女ゲームのヒロインである。侍女として、悪役令嬢のクロエお嬢さまに仕えている。クロエお嬢さまには孤児院から救っていただいた大恩がある。生涯仕える覚悟である。だからってねー、広大な公爵家の敷地で指輪を探すなんて、そんなこと許しませんからね。ワガママお嬢さまをうまく誘導するのも侍女の務め。お嬢さまと猛獣使いリリーの戦いが繰り広げられる、そんな平和な日常を描いた物語。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。

可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?

【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、元婚約者と略奪聖女をお似合いだと応援する事にした

藍生蕗
恋愛
公爵令嬢のリリーシアは王太子の婚約者の立場を危ぶまれていた。 というのも国の伝承の聖女の出現による。 伝説の生物ユニコーンを従えた彼女は王宮に召し上げられ、国宝の扱いを受けるようになる。 やがて近くなる王太子との距離を次第に周囲は応援しだした。 けれど幼い頃から未来の王妃として育てられたリリーシアは今の状況を受け入れられず、どんどん立場を悪くする。 そして、もしユニコーンに受け入れられれば、自分も聖女になれるかもしれないとリリーシアは思い立つ。けれど待っていたのは婚約者からの断罪と投獄の指示だった。 ……どうして私がこんな目に? 国の為の今迄の努力を軽く見られた挙句の一方的な断罪劇に、リリーシアはようやく婚約者を身限って── ※ 本編は4万字くらいです ※ 暴力的な表現が含まれますので、苦手な方はご注意下さい

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

処理中です...