上 下
11 / 15

舌(リヒャルト視点)*

しおりを挟む
※リヒャルト視点。R-18。注・児童に対する性的虐待表現があります。




 宿り木の下でキスをしていい、なんて慣習は嫌いだった。

 十代前半の頃は無知だったので、知らずに同級生の女の子と通ってしまった。多分、向こうは誘ったつもりだったろう。よく分からないまま、僕は初めてのキスを体験した。

 その時、唇以外の感触がした。動きを見せたそれは彼女の舌だったのだろう。すぐに離れていったけど、僕の中に後味の悪さが残った。

 それ以降ずっと、キスをする気になれなかった。学園ではよく他の生徒は隠れてしていたけど。友人が確か言っていた。舌を絡めたキスが上手くなると気持ちよくなれると。女の子が舌を入れた意味は理解した。
 けれど、僕は舌の動きが嫌でたまらなかった。自分でもよく分からないけど、嫌なのは分かった。友人たちは、僕はモテるのに奥手すぎてもったいないと哀れんでいたけれど、結局そのまま、学生時代は過ごした。

 成人してからエレインに恋をして、僕のその価値観は百八十度変わってしまった。
 まだ不慣れな十八歳の少女に、僕は夢中になった。欲望の赴くまま、彼女の唇を貪った。何度か繰り返すうちに、舌を絡めるようになった。彼女はぎこちなくそれに応えるようになる。嫌がる素振りは見せなかった。それでも心配で聞くと、顔を真っ赤にして頷いた。
 
 今までの性への嫌悪が嘘のようだった。
 むしろ、エレインの蕩けた顔が見たくて、キスに固執し過ぎたきらいがある。
 しかし、ギーゼラに植え付けられた忌まわしいものは、心の奥底でひっそりと燻り続けていたのだった。

 初夜の時、それは最悪な形で作用した。
 エレインと僕の気分が最高潮で高まってきた時、は邪魔をした。何故か彼女の中に入りたくて仕方なくなると、血まみれ、涎まみれの女の顔が浮かんできて、下半身が萎えてしまった。

 その理由は、治療が進むうちにつれて、判明してきた。

 八歳の僕は、ギーゼラに拘束された。
 ギーゼラは、結婚が決まって遠くに行くことが決まってしまい、僕の成長を待てなくなったらしい。ロベルトに精通させて代わりに使っていたけれど、それでは満足できなかった。
 まだ小さい僕のものを、ギーゼラは手でしごきながら、先端をしゃぶった。わざと音を立てて舐めながらこちらを見ていた。ちろちろと蛇のように動くその赤い舌が、酷く気味悪く映った。そして、あいつは血まみれの手で更に強く握りしめ、血を塗りたくるようにして陽根を擦った。
 
 
 気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。


 胃の腑から何かがこみ上げてきそうだった。おぞましい光景に、僕は気絶しそうなほど、息が苦しくなった。
 気持ち悪い舌が、僕に襲い掛かってくる。でも、何も出来なかった。拘束された体は腕一本すら動かせない。
 しかし、そんな屈辱的な扱いを受けても、僕の雄は刺激に反応して固くなり勃起してしまった。
 ギーゼラの喜ぶ声が遠くに聞こえた。


 その時から今までずっと、僕はこの悪夢に囚われていたことに気が付いた。
 僕が、悪魔によって快楽を覚えさせられた屈辱のその時から。
 

 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

偶然PTAのママと

Rollman
恋愛
偶然PTAのママ友を見てしまった。

婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?

もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。 王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト 悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

大好きな幼馴染と結婚した夜

clayclay
恋愛
架空の国、アーケディア国でのお話。幼馴染との初めての夜。 前作の両親から生まれたエイミーと、その幼馴染のお話です。

処理中です...