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2人の青春を

もう1つの隠し事

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私たちはそれからの日々をライブに向けて没入した


前のループである程度形になっていたメロディーをより良いものにするように作っていく

目前に死が迫ってくる恐怖はやはり消せないが、アオイが明るく楽しそうに歌う姿に助けられた

誰よりも辛いのは君だろうに…


こんなにも1日1日が輝き大切になるなんて

以前の私では考えられなかった


ただなんとなく過ぎる日々より

かけがいのない1ヶ月だ



ただ今回も1ヶ月もあるのかさえわからない


私たちは相談して早めにレイに連絡することにした

レイは「わかったぁ!」と陽気に返事をして、とりあえず下見がてら会おうと、アオイに言わせればいつも通りの返事がきたそうだ



そして会う日が15日目のことだ


レイ「おぉーい!!こっちこっち!」

大きな声で手をピンと伸ばし右左に90度振って呼んでいるのはレイだと遠くからでもわかる

しかしその横に誰かいる


ラーズ「あれは…誰だ?」

アオイ「ううーん。見たことあるような、ないような」


2人して首を傾げていると


レイ「お前ら呼んでるの聞こえてるだろ!近づいて来いよ!」

 
レイが駆け足で寄ってきた

その後ろからゆっくりと大きな、ザ男型の人が追いかけている

まるで熊さんだw

とアオイと2人顔を見合わせた


アオイ「ごめんごめん!!えーと、僕はアオイでこっちがラーズです。その…」

レイ「あぁ、こっちの大きいのはロルド!俺のボディーガードね」

ロルド「よろしく」


私たちは口をポカーンと開けて一時停止した

………

レイは面白そうに私たちのそんな様子を見て笑っていた


ラーズ「…ボディーガード?」

アオイの口は開いたままのようなので頑張って私が口を開いた


レイ「そうそう!最近危ないやつが多いからね」


以前は出てこなかった人物

私たちが早めにレイに会うことにしたから出会えたのか?


アオイ「レイのファン過激な人多いから…大丈夫なのか?」


あんぐりしていたアオイの口がやっと開いた


レイ「ん?大丈夫さ!ロルドが守ってくれるらしいから!」


そうか。と言ったはいいが

何だか引っ掛かるものがある


ロルドは口数が少なくレイの後を少し下がって付いていっていた

後で聞いたがお金で雇っているわけではなくロルドが自主的にボディーガードしているそうだ



私は1度、アオイは何度も受けたであろう会場の説明を受けた


レイ「曲はどう?順調?ほんとアオイと曲作れるとか羨ましい」

ラーズ「お陰さまで、あとは仕上げにかかるとこだ」

……


レイ「ラーズってさ変わったなー。前は俺に敵意全開だったのにw」


それは前回のことがあったからで…

とはいえない


いや、言ってもいいのか?

レイはいいやつだ


私はアオイを見た


アオイは察してくれているのかコクンと頷いた


レイ「なになに2人して、怖いなぁ」


異様な雰囲気に気づいたレイは私たちを交互に見た


ラーズ「レイ、私はお前のことが嫌いではない。いや、その…いい奴だと思っている!だから…」

そこまで言って急にロルドがレイの前に立った!


ロルド「何を頼むつもりだ」

ロルドは眉を寄せて怖い顔で私たちを睨んだ


レイ「ロルド待て!ラーズたちはそんなのじゃない」


私たちは話がわからずロルドの剣幕に固まっていた



どうやら隠し事があるのはお互い様のようだ
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