何度でも!君を救うため巻き戻る(本気の青春ループ!) 悲しみを繰り返した果てには?

無個体

文字の大きさ
上 下
10 / 13
僕の生きた記憶

僕の能力

しおりを挟む
アオイ「あぁ、もう一度巻き戻った」

プクプクと視界に泡が広がり僕の変わりに天へと上がっていく


さっきまで苦しんでいたはずの痛さや苦痛が抜けていき、僕の貪欲な心も少しは浄化されていくような気さえした


この泡は巻き戻ったことのサイン


今までに何回も見た


僕が最初に死んだのがライブ中の事故

悔しかった

まだやりたいことがたくさんあった

伝えたいことが残っていた


好きな人がいた


意識が遠のくなかでラーズの声がわずかに聞こえた


…神様

どうか、お願いです


時が戻るなら…僕はなんだってします

どんな苦痛も耐えてみます



その願いは、受け入れられた


泡が広がり、目を開けるとラーズと2人公園にいた


僕が君を好きになったあの公園に

僕が亡くなる1ヶ月前に



訳が全くわからなくてラーズに僕は死んだはずだと全てを話した


しかし

ラーズは夢でも見てたんだとなだめた

僕も最初はそう思うことにした


だけど1ヶ月後

僕は死んだ



そうやって2回目、3回目………10回と

死に続けた


何度 巻き戻ってもいろんな方法で僕は死んだ

それを1人で繰り返していると頭がおかしくなることもあった


もうダメなんだ

未来は変わらないのだ



しかし

11回目でラーズの様子がおかしいことに気づいた


ラーズ「アオイ!!何で!?さっき…だって」


何が起こったんだ?


今まで過去の動きを辿っていたラーズが不思議なことを言い出した


ラーズ「さっきライブ会場で!機材が!!」

ライブ会場…機材…

まさか!!1回目のことを!?

覚えてる!?



あきらかにパニックになっているラーズに何て声をかければいいのか

最初の自分を思い出す


アオイ「ッツ、夢でも…見てたんじゃない?」

ラーズにかけられた言葉を、今度は僕が返した

とにかく落ち着いてほしくて


ラーズ「夢、だったのか?今が夢なのか?」

ラーズは深く何度も深呼吸してから考え込んでしまった


それからラーズの様子を観察しながら何日か過ぎたが、ラーズは僕を危険から遠ざけようと必死になっている様子から巻き戻っていることを理解しているようだった


ラーズ「だから!ライブに行くのは許さない!」

血相を変えて怒鳴り散らすことが多く

でもそれも僕を思ってのことだとわかっていたから苦ではなかった


僕を死なさないようにラーズが必死になってくれている

それが嬉しくさえあった


僕も打ち明けるべきか?と悩んだがなぜか言えなかった

そうすることで未来が変わるのか

言わないことで未来が変わるのか


僕が何かしてしまうことでラーズが危険にならないか?


今思えば2人してパニックになっていたような気がした


そして

あっという間に1ヶ月が経ってしまった


最後の日

今回は未来が変わるのかもしれない!と期待してた

ラーズが気づいてくれて

何かが変わった気がした

いつもしていたが何もかもに気を付けた

自分では気づかない危険もラーズと回避したんだ




だけど…

僕はもう疲れていたんだろうか


いいや、きっと

どうやっても運命は変えられないのだろう



気づいたら崖にいて海を見ていた


何者にも逆らえない使命のように足が勝手に動いていた


アオイ「あーそうか…もうどうやってもダメなんだなぁ」


自分の意思で死を迎えようとさえさせられる

しんどいなぁ

生きるの


ラーズ「アオイ!!なんでだ!!」

ラーズが遠くから叫んでる


ごめんねラーズ

こんなに一生懸命に生きようとさせてくれたのに

僕の力はただ巻き戻るだけで過去は変えられないみたいだ

死ぬさだめの人間は生かせないらしい


もう諦めるから次は!

またもう一度巻き戻ったら

一緒に忘れられないような思い出を作ってよ!


僕と君が生きた証を世界に刻みこもう


アオイ「次は…青春を過ごそうね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『女になる』

新帯 繭
青春
わたしはLGBTQ+の女子……と名乗りたいけれど、わたしは周囲から見れば「男子」。生きていくためには「男」にならないといけない。……親の望む「ぼく」にならなくてはならない。だけど、本当にそれでいいのだろうか?いつか過ちとなるまでの物語。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺を気に入らないで!!

木苺
青春
ゾンビがいる世界の主人公達の日常の物語。前置きだけ書いときました。 投票期間は終了いたしました。作品内で書いておきました。これから短い話を投稿していきます。

処理中です...