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君に迫る日々

君を理解したい【残り30日】

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昨日アオイと公園で分かれた

本当は家まで送って行きたかったが
我慢した

公園からは私たちは別方向に家がある


恋人でもないのに送っていこうなんて変に思われるだろう


私は  アオイが好きだ


しかし アオイは…

恋愛を好まない


今までもアオイに好意を寄せる人は多かった

けど、アオイはそれが恋愛感情だとわかるとそっと離れていく


きっと私でも同じ事になる

それが 怖い


この世界(ペディオン)では誰もが平等だ

男型と女型と中性型と見た目が分かれることはあるが自分の好きな型になることができる

すぐにではないが、時間をかけゆっくり体の型は変化できる

誰もが恋愛対象になる

1人でも子供を作ることもでき性的行為をすると2人の子供ができる

アオイは性とはかけ離れた型をしているような気がする

そういったことに興味はないのかもしれない


それでも私は

アオイを愛してやまない



私は家に帰るとすぐにこれからのことを考えた


どうしたらアオイは死なない?

どうしてアオイは死ぬのか?


考えると手が震える

しかし絶対に逃げはしない



1度目は意味もわからない内にアオイが死んだ

地震だった

ライブ会場で歌のセッティング中、アオイに機材が倒れた


私は客席で

気づいたときには…


アオイが歌う直前の出来事だった


…神様

アオイは何かしましたか?

あんまりの仕打ちに私は泣きながらアオイを抱きしめ 祈った


きっと人だと1度、いや何度も考えたことがあるだろうこと


時間を巻き戻して下さい


私がアオイを救います

あの時こうしていれば

時間が戻ったなら回避できたはず


そんな叶うはずのない願いは

魔法という形で叶うことになる


ラーズ「な、んだ!?」

目の前に不可思議な模様の魔方陣が現れる


それがアオイと私の顔の間で眩しく輝き出す


その光に目が開けられず

ギュッと目を閉じる


そして

ゆっくりと目を開くと

1ヶ月前のあの公園に戻っていたのだ!


2度目の巻き戻りは理解するまでに時間がかかったが

これは私の魔法能力なのだろうと理解した


巻き戻し能力

かなり最強に近い能力


しかしもしかしたら、人生で1度だけしか使えないかもしれない


ならばと、2度目の日々はあの地震の日を何とか無事に生き延びる

ありとあらゆる方法を試した!


しかし…アオイは

1ヶ月後に死んだ


己で命を絶ったのだ


その日も一緒にいた


しかし目の前でアオイは海へと飛び込んだ

最後に口元が何かを言っていた気がするが波の音で書き消された


そして追いかけて飛び込んだ私の先にあったのは魔方陣だ!

そして3度目の日々が始まった


ラーズ「どうしてだ…アオイ」


なぜそこまで追い込まれた?

私が追い込んだのか?


2度目の私の態度はどう見てもおかしかった

どうにかしようと必死だったのだ!


君を生かしたくて

そのことばかり考えて

アオイのことをしっかり見ていなかった

君のちょっとした変化や仕草

悩みをこまめに聞いていたら


そんな後悔ばかりが脳裏を支配する


今度は焦らない

ちゃんと理解しよう

君をもっと知ろう


だけど君の近くにいるために良い友人を続けよう

決して君を裏切らないように

ラーズ「君と一緒に生きたいんだ」

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