【完結】ねこネコ狂想曲

22 番外編 愛妻弁当 その１

ヒョウガと無事に番いになった僕は、番って安心したけどそれでも過保護で仕事に行きたがらないヒョウガ旦那様の為に、日々、愛妻弁当を作る。

あ、番いになったんだからお互い呼び捨てなって言われて、まだ照れるけどヒョウガって呼んでる。

それで、お弁当を渡せばそれを食べるために仕事に行くと思ったんだ。
ヒョウガは優しいから『仕事先で食べてね』って渡せば、ちゃんと仕事して、そこで食べてくれる。

くふふ･･･。

保護されて大きくなってからは家事は僕がやりたくてやってたから、最初は見慣れない食材でどうすれば良いのか戸惑っていたけど、今はそれなりに上手に作れるんだ。

でもご近所の奥さんや御飯屋さんに教えて貰いながら、まだまだレパートリーを増やしてるところ。

今日も今日とて、大きなお弁当箱･･･僕には重箱に見えるサイズに黙々と詰めていく。

一段目は俵結びのおにぎり。
この世界、普通に元の世界の調味料とか、何よりお米！があった。

どうやら神様、気に入ったモノをコッチの世界で流行らせていたようです。
時々、お供えしてにゃ･･･と天啓が降りるらしい･･･ヒョウガのスキルに。

神様、仕事中は止めてあげて。
最近結構な頻度で来るらしくて、討伐中とかビクッとなって危ないらしいんで！

切にお願いします！！

と念じてたら、スマンにゃ、気を付けるにゃと天啓があったらしい(笑)。

「神様の謝罪で天啓って、さすがにびっくりしたなあ」

そう苦笑してヒョウガが言ってた。

そして二段目にはおかずをぎっしりたっぷり。
特に唐揚げが好きみたいで、良くリクエストされるんだ。

夜御飯用に大量に作って、お弁当には味変で照り焼き風にしたり、甘酢でタルタルソースのっけたり。

もちろん野菜もたっぷり入れるよ。
肉だけなんて体に悪いよ！

そうして、アツアツス－プを大きな水筒にたっぷり注いで、出来上がり。

「ヒョウガ－！　お弁当出来たよ！」
「ああ、ありがとう。いつも悪いな」

そう言いながらインベントリにしまう。

「ううん、僕がやりたくてやってるの。それに、美味しいっていつも綺麗に食べて貰えて、嬉しいんだ」
「･･･ああっ、行きたくない！　可愛過ぎる！」

ヒョウガがギュッと抱きしめてそんなことを言う。
毎日のルーティンになってるな、これ･･･。

クスクス笑ってヒョウガをギュッとする。
お互いをギューッとしあって、ようやく出かけていくヒョウガ。

尻尾が左右にゆらゆら揺れていた。
御機嫌は良さそうだ。

ヒョウガを見送ったあと、部屋に戻って食器洗いを済ませる。

さあ、これから洗濯掃除、お昼はあるモノを食べるから、夜御飯の為に買い出しと･･･。

頭の中でやることをリストアップしていると、カタンと音が聞こえた。

「？　ヒョウガ、何か忘れ物でもした･･･」

お勝手口で聞こえた物音に足を運ぶと、不意に後頭部を鈍い痛みが襲って･･･。


僕はそのまま意識を失った。





※この話を読んで下さってる読者様、明けましておめでとう御座います。今年もよろしくお願いいたします。
番外編にお付き合い下さいませ。