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2 あの日森の中、子猫に出逢った
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それは唐突に頭の中に響いた。
俺には〈天啓〉スキルがある。
だからと言って頻繁に神のお告げがある訳ではない。
生まれてからはや25年。その中でも片手で収まるくらいの数だ。
・・・・・・いや、けっこう多いのか?
まあ、そんな訳で突然お告げが降ってくる訳だが、俺は聖職者ではない。
ただの冒険者の一人だ。
そもそも天啓持ちだからと言って聖職者にならなきゃいけない訳じゃないからな。俺には冒険者が合っていただけだ。
そんな俺に今回降りてきたお告げがこれだ。
『ルチルの森の奥、小さな泉に居る子猫を保護せよ。その子猫は我の愛し子なり。そのままお主はその子猫と過ごすように。良いな、誰にも渡すでないぞ』
「はあ?!」
思わず大きな声が出てしまい、ちょうどギルドに討伐完了の手続きをしに来ていた為、何故か受付をしていた副ギルド長が怪訝な顔をした。
「何です? 急に」
「・・・・・・いや、〈天啓〉が・・・」
「え?! 本当ですか?! 長くここに勤めてますけど初めてです目の前で降りたのを見たのは! それで何と?!」
サブマスの興奮具合を見て、俺は落ち着いた。
周りがパニクると逆に冷静になるんだな。
「ちょっとここじゃ話せない。ギルド長の部屋へ行けるか?」
コソッと言うと無言で頷くサブギルマス。
手続きを終わらせて早速部屋へ向かった。
「ギルマス、火急の用事が出来ました。今よろしいでしょうか?」
と言いながら、返事を待たずにドアを開ける。
それにギルマスが苦笑していた。
「確認取ってねえじゃねえか」
「火急ですので!」
「---で、何だ? 〈天啓〉でも降りたか」
サブギルマスの後ろの俺をチラッと見やって聞いてくる。ギルマスも知っているからな。
「はい。たった今降りました」
「---で? 俺達が聞いても大丈夫なんだろうな?」
「むしろ聞いて貰いたいです。おそらくこれから色々と世話になると思うので」
促されてソファに座り、さっきの事を話す。
二人共、難しい顔をした。
当然だ。
要するに愛し子を俺が世話しろって事だ。
保護しろって事は身内など居なくて独りなんだろう。
森に独りきりできっと寂しい思いをしているに違いない。
それにもう陽が傾き始めている。
「とにかく、今から急いでルチルの森に入ります。早くしないと暗くなってしまう。独りで啼いているでしょう。今後の事は連れ帰ってからでも遅くはないでしょう」
「そうだな。急いで保護してくれ。危険は少ないだろうが気を付けろよ」
「では、行って来ます」
「頼みましたよ」
そうしてルチルの森の奥、小さな泉の方に近付くにつれ、か細い啼き声が聞こえてきた。
俺は焦って先を急いだが、少ししてその声がほとんど聞こえなくなった。
「マズい! 無事でいてくれ!」
そうして辿り着いた俺が見たのは、泉の端に小さく丸くなってぐったりしているアッシュグレーの毛色の猫又の子猫だった。
耳はぺしょんと倒れ、根元から二つに分かれた尻尾も力なく垂れている。
慌ててそっと抱き上げると、微かに身じろいだが目を覚ますことはなかった。
おそらくずっと啼いていたんだろう。
こんな小さな体では啼くのも体力を消耗する。
啼き疲れたか。
俺は異空間収納庫から大きめの布を出すと子猫を包み、体に固定した。
「これで落ちることはないだろう」
両手も空くから魔物のにも対処出来る。
森の奥は木々が深い。あっという間に暗くなる。
俺は黒豹の獣人だから夜目が効く。
静かに速く森を駆けてギルドに戻った。
陽はすっかり沈み、星が瞬きだしていた。
*まだ誰の名前も出ていないw*
俺には〈天啓〉スキルがある。
だからと言って頻繁に神のお告げがある訳ではない。
生まれてからはや25年。その中でも片手で収まるくらいの数だ。
・・・・・・いや、けっこう多いのか?
まあ、そんな訳で突然お告げが降ってくる訳だが、俺は聖職者ではない。
ただの冒険者の一人だ。
そもそも天啓持ちだからと言って聖職者にならなきゃいけない訳じゃないからな。俺には冒険者が合っていただけだ。
そんな俺に今回降りてきたお告げがこれだ。
『ルチルの森の奥、小さな泉に居る子猫を保護せよ。その子猫は我の愛し子なり。そのままお主はその子猫と過ごすように。良いな、誰にも渡すでないぞ』
「はあ?!」
思わず大きな声が出てしまい、ちょうどギルドに討伐完了の手続きをしに来ていた為、何故か受付をしていた副ギルド長が怪訝な顔をした。
「何です? 急に」
「・・・・・・いや、〈天啓〉が・・・」
「え?! 本当ですか?! 長くここに勤めてますけど初めてです目の前で降りたのを見たのは! それで何と?!」
サブマスの興奮具合を見て、俺は落ち着いた。
周りがパニクると逆に冷静になるんだな。
「ちょっとここじゃ話せない。ギルド長の部屋へ行けるか?」
コソッと言うと無言で頷くサブギルマス。
手続きを終わらせて早速部屋へ向かった。
「ギルマス、火急の用事が出来ました。今よろしいでしょうか?」
と言いながら、返事を待たずにドアを開ける。
それにギルマスが苦笑していた。
「確認取ってねえじゃねえか」
「火急ですので!」
「---で、何だ? 〈天啓〉でも降りたか」
サブギルマスの後ろの俺をチラッと見やって聞いてくる。ギルマスも知っているからな。
「はい。たった今降りました」
「---で? 俺達が聞いても大丈夫なんだろうな?」
「むしろ聞いて貰いたいです。おそらくこれから色々と世話になると思うので」
促されてソファに座り、さっきの事を話す。
二人共、難しい顔をした。
当然だ。
要するに愛し子を俺が世話しろって事だ。
保護しろって事は身内など居なくて独りなんだろう。
森に独りきりできっと寂しい思いをしているに違いない。
それにもう陽が傾き始めている。
「とにかく、今から急いでルチルの森に入ります。早くしないと暗くなってしまう。独りで啼いているでしょう。今後の事は連れ帰ってからでも遅くはないでしょう」
「そうだな。急いで保護してくれ。危険は少ないだろうが気を付けろよ」
「では、行って来ます」
「頼みましたよ」
そうしてルチルの森の奥、小さな泉の方に近付くにつれ、か細い啼き声が聞こえてきた。
俺は焦って先を急いだが、少ししてその声がほとんど聞こえなくなった。
「マズい! 無事でいてくれ!」
そうして辿り着いた俺が見たのは、泉の端に小さく丸くなってぐったりしているアッシュグレーの毛色の猫又の子猫だった。
耳はぺしょんと倒れ、根元から二つに分かれた尻尾も力なく垂れている。
慌ててそっと抱き上げると、微かに身じろいだが目を覚ますことはなかった。
おそらくずっと啼いていたんだろう。
こんな小さな体では啼くのも体力を消耗する。
啼き疲れたか。
俺は異空間収納庫から大きめの布を出すと子猫を包み、体に固定した。
「これで落ちることはないだろう」
両手も空くから魔物のにも対処出来る。
森の奥は木々が深い。あっという間に暗くなる。
俺は黒豹の獣人だから夜目が効く。
静かに速く森を駆けてギルドに戻った。
陽はすっかり沈み、星が瞬きだしていた。
*まだ誰の名前も出ていないw*
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