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40 ブランシュのスキル 2

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『あー! ネコ耳と尻尾だー。カワイイけど・・・・・・そんなのあったっけ?』
《あー、うん。普段は隠してて・・・・・・動揺すると思わず出ちゃう───って、そんなことはいいんだよ》

御神木の元、ほのぼのと話す緩い二人にレイヴンが呆れつつも和んでいると、神気を察したようでカンアもやって来た。
そういえばレイヴンの家の裏手だった。

「・・・・・・何やってんの、レイヴン?」

呆れたように声をかけるカンアに僕は笑って応えた。

『ごめんなさい、兄様。レイヴンに神様の名前を教えて貰ってたら、来ちゃって・・・・・・』
「あーうん。オニャメ神、軽いもんねー」
《つい来ちゃっただけで軽くはない!》
「はいはい。で、何がどうしたの?」

カンアが軽く流してオニャメ神はむきーっと毛を逆立てた。その拍子に、何故か本当のネコになってしまった。え!? 本物の猫神様!?

「あ、本体」
「ケット・シー」
『にゃんこ!?』

カンアに続きレイヴンがそう呟くが、僕にはネコにしか見えなかった。さ、触りたい!

《うにゃー!! しまったにゃ! 見られたにゃ! ぼ、僕の威厳が・・・・・・!!》
「あったか?」
「あったんだ?」
『にゃんこー!!』

僕の胸の高さくらいの、二足歩行しているにゃんこ。わたわたしているにゃんこ。
思わず抱き付いた。

《にゃんこじゃにゃいの! ケット・シーが神格化したやつにゃの!》
『もふもふー』
《止めんか! おいお前ら、ブランシュを止めんか!!》
「・・・・・・ちょっとくらいいいんじゃない?」
「・・・・・・イラッとするが、ブランシュが喜んでるし」

オニャメ神がジタバタしているがお構いなしにわしわしと滑らかな毛皮を撫でまくる。あぁ、気持ちいい。

オニャメ神に助けを求められた二人はブランシュ優先でスルーした。

ソレから十数分後、漸くブランシュの腕から抜け出たオニャメ神はぐったりしていた。

『・・・・・・ごめんなさい』
《・・・・・・いや、僕も悪かったし。他の神からしたらまだまだ新米神だから、動揺しちゃうとどうも・・・・・・》
「へえ、新米なんだ」
「どうりで頼りないと・・・・・・」
《そこ煩いよ!》

人の姿に戻って耳も尻尾もなくなったオニャメ神に若干しょんもりする僕だったが、レイヴンの言葉にハッと本来の目的を思い出した。

「ところでブランシュ、オニャメ神に何か言うことあったんだろう?」
『はっ、そうだった! あの、転生させてくれてありがとうございました。おかげで僕、今、とっても幸せなんです。そのお礼を言いたくて・・・・・・』
《───っこちらこそ嬉しいよ! ブランシュは好きに生きていいんだからね。もっと幸せになれるよ、きっと》
『はい』

嬉しくて幸せで、僕はたぶんドライアドの精霊のスキルを無意識に解放したみたいだった。

僕の足元からぶわっと放射状に魔力が放出されて、里を覆っていった。
辺り一面が緑に覆われて、蕾だった花は咲き乱れ、畑や果樹があっと言う間に成長したのが分かった。

「───これがドライアドの、精霊の・・・・・・」
「植物の生長を促したのか。凄いな」
《豊作だねえ。ずっと眠ってたスキル、やっと解放できたんだね》

皆がそんなことを話していたのをぼんやり聞きながら、僕は心がぽかぽかして、でももの凄くお腹が空いてきて、そのあとすぐに気を失ったらしい。

暖かな腕の中で穏やかに眠るように・・・・・・。





※本来はこうなんです。えっちスキルだけじゃないよ(笑)
投稿してから誤字脱字に気付いてちょっと直しております。すみません。
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