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32 そこのところkwsk!! 2

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「---ブランシュちゃん?」

カンアが思わず声をかけると、ブランシュはキラキラした瞳をカンアに向けた。

『カッコいいです、兄様! ソレってもう、まるっきり忍びじゃないですか!! 僕、憧れてたんです。木とか壁とか屋根の上とかヒョイと行けるんですか? もしかして目の前でドロンと消えたり・・・?!』
「え? いつの間にか兄様呼び!! 嬉しい、じゃなくて、え? まあ、ひょいひょい行けるかな? ドロン?は分からないけど、実際、魔法で消えたり、素早く動いて移動するから普通の人には消えたように見えるかも?」
『あとあと、仕込んでいる暗器で敵を倒したりとか?!』
「・・・・・・うん、まあ、仕事だからねぇ、そういうこともいっぱいあるよ。・・・てか、なんでそんなこと知ってるの? 詳しすぎるよ」
『小さい時にご年配の施設長がテレビで見てたのを覗き見してました! 糸で倒す人とか細い針でこう、首をブスッと刺してやっつける人とか---』
「うん、よく分からない言葉が端々にあったけど、見たことあるんだね?」
『えーと、間接的に?』
「・・・・・・怖くない?」
『うーん・・・・・・自分が襲われたら怖いけど、兄様達や旦那様は怖くないよ? ・・・だって兄様達は僕を捨てないでしょ? ・・・・・・ソレともやっぱり要らないって捨てる?』

---あの、凍える寒さの中、僕を打ち捨てたあの人のように、見捨てられる?

前世を思い出して無意識にだろう、ブランシュの瞳が昏い色に染まる。

---そんなことになったら、僕は、もう・・・。

「---っ捨てるわけないだろう! ずっと、死ぬまで一緒だと言ったろう! 俺がいるだろう!! あんな男、忘れちまえ!!」

昏い思考に陥りそうなブランシュをレイヴンがぎゅっと抱き締めてそう叫んだ。
ブランシュは目を瞠って、ソレからぼろぼろと大粒の涙を流した。

『---ふえっ・・・だって・・・・・・レイヴン・・・』
「不安なら何時でも何度でも言ってやるから。本当はあんな男、行けるならみじん切りにしてやりたいが、無理だから・・・、だから言葉と行動で何度でも安心させてやるから」
『・・・・・・うん・・・ありがとう・・・・・・ひっく・・・』

ブランシュの背中を摩って宥めていたが、やがて泣き疲れたのか、眠ってしまった。

その間、カンア達親子は黙って見守っていた。

「---寝ちゃった?」
「・・・・・・ああ。移動の疲れもあっただろうし、まだまだ本調子じゃ無いからな」
「・・・何やら問題だらけの発言が多かったが」
「ああ、うん。今現在の事もだが、前世持ちと言ったろう? ・・・・・・その前世を軽く教えて貰ったんだが、ソレだけでも酷いモンだった」

そう言ってレイヴンはブランシュの赤くなった目尻を撫ぜた。

「後で詳しく聞こうと思ったが、思い出させるのも酷なくらい不憫だったんで・・・」
「夜に時間を取ろうと言ったけど、今、聞いちゃうか?」

カンアが里に着いてすぐにそう言ったのを思い出してレイヴンに聞いた。

「・・・俺達が聞いても?」

両親も祖父母も心配そうに聞いた。
レイヴンは頷く。

「ああ。寧ろ聞いておいて欲しい。ブランシュの為に」

そう言ってレイヴンは、ブランシュから聞いた話をそのままカンア達に伝えた。

当然、皆が憤った。
その中でも前世の死因となった出来事には一同怒髪衝天だったが。

「なにそれ、最低な男ね!!」
「有り得ん!!」
「ほんっと、その場に行って八つ裂きにしたい!!」
「ブランシュちゃんが可哀想過ぎるわ!」
「・・・どれ、創造神を脅してその異世界とやらに呪いを・・・!!」
《イヤ---ッ!! 止めてえ!! アッチの神様に怒られるから---っ!!》
「「「「「「---は?」」」」」」

両親、カンア、祖母ときて最後の祖父の発言に被せ気味に何処からか叫び声が聞こえた。

《勘弁してよ!! コワイよクロウ一族!! 前世の世界は私の管轄じゃ無いんだよ!!》

そう言ってその場に姿を現したのは、この世界の創造神---オニャメ神だった。





※神様の名前、オニャンコポンって西アフリカ・ガーナの方で精霊を生み出した神様らしいのですが、ニャメという別名もあるらしく。(ウィキで検索w)
可愛いがまんまじゃちょっと・・・と合体させました。
スミマセン、無類の猫好きなので猫を連想させる言葉につい反応しちゃいます。



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