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27 レイヴンの一族 4

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結界の境目辺りからカンアのあとに続いて里の中心に移動していくレイヴン達。

徐々に家並みが増えてくるのに従い、里の住人も増えてきてブランシュはハッとしてフードを被ろうとした。

---あまり他の人に顔を見せるなって言われてたっけ。
ということを思い出したので。

だがソレをレイヴンが止めた。
不思議に思ったブランシュはレイヴンを見つめる。

『・・・レイヴン?』
「・・・・・・被らなくて良い。ココはブランシュの故郷にもなるんだから、皆に顔を知っておいて貰いたい。・・・・・・もの凄く不本意だが・・・」

渋い顔でそう言うレイヴンにキョトンとしたブランシュ。
カンアは訳知り顔でレイヴンを揶揄うように言った。

「おーおー、狭量な男は嫌われるよ、レイヴン。でも顔を知って貰うのは良いことだ。何かあってもすぐに手を貸せるからね」
「・・・煩い」
『えと? ありがとう?』

今イチ飲み込めていないブランシュに苦笑しつつ、その頭をポンポンと撫ぜる。
その手をはにかんで受け入れるブランシュに里の住人もほっこりしていたのだが、気付いていないのはブランシュだけだ。

「・・・可愛いねえ。素直で何でも信じちゃいそう。・・・この里にはまずいない人種だねえ」
「だから良い反面、悪いんだ。絶対、ブランシュが構われる未来しか見えない。・・・俺のブランシュなのに・・・!」

思わずといった具合のカンアに歯軋りするレイヴン。
自分達とはのブランシュ。
まさしく真っ白い心の精霊・・・元人間だという、異世界からの転生者。

鴉一族の闇を照らし救ってくれるような『創造神の愛し子』を称号に持つ、まさしく愛おしい精霊

---コレは必然だったのかもねえ・・・。

カンアは次期頭領として鴉一族の闇を引き継いでいく。
過去も現在も未来も、鴉一族の進む道は変わらない。

闇を味方にして主に暗殺を生業とする。
あらゆる情報を集め、ソレを元に情報操作をして一国を滅ぼすことも出来る。

もちろん無差別な殺略を好むわけではない。
雇い主があまりにも人道に反するような場合は例え雇い主であろうと首を斬る。
・・・もちろん言葉通りの意味で。

鴉一族の里は、そんな一族の隠里なのだ。

ソレをこの純粋でいとけない精霊が知ったら、一体どんな反応をするのだろう。

カンアはソレを想像して、苦笑するのだった。

「さあさあ、広場に皆、集まって!! レイヴンの可愛いお嫁さんのお披露目をするよ!」

カンアが大きな声でそう告げると、ワッと言う声があちらこちらから聞こえてきた。

足音もさせずに大勢の気配だけ感じられる。

『・・・・・・なんか、みたい』
「シノビ?」

レイヴンが不思議そうに聞き返してきたので、ブランシュは分かる範囲で説明した。

『ああ、うん。僕の前世で昔、実際にいた人達なんだけど、足音も立てずに闇に紛れて行動する人達でね。えーと、ご主人様に仕えてて敵をこっそり倒したり隠密行動をする人。普段は人の生活に普通に紛れてて正体不明なんだ。カッコいいよねえ』

ブランシュがそう言いながらちょっとうっとりしたので若干イラッとするレイヴン。
だが気になるところがあったので聞いてみた。

「・・・昔って事はブランシュが以前いたときは、もういなくなってたって事か?」
『うん。とっくに平和な世の中になってて、必要無くなっちゃったのかな? 子孫はいるらしかったけど。僕も話でしか聞いたこと無いの。でも凄く速く走れたり、高いところもピョンピョンと跳んで渡ったり出来るんだって。武器も投げたり戦ったり出来たんだって。凄いよねぇ。レイヴンみたい!』

---レイヴンみたい!

聞けば聞くほど鴉一族のようだな、と思っていたが、最後に言ったブランシュの一言に思わずグッときたレイヴンだった。

ソレを面白そうにカンアが見ていて、コレは後で絶対に揶揄われるなと思ったが、それ以上にブランシュが愛おしくて、思わず口吻をするレイヴン。

『---ッレイヴン! 人前は、はっ恥ずかしい・・・』
「すまん。だがブランシュが可愛いのが悪い」
『えええ・・・』
「はっはっは!」

何だか納得いかないという顔でむくれたブランシュを宥めつつ、朗らかに笑うカンアの後を追うレイヴンだった。







※遅くなりました。
まだお披露目出来てない・・・。








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