天然美人魔性植物と強面冒険者のアレコレ(仮)

エウラ

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23 ブランシュのステータス 1

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翌日、着の身着のままでレイヴンとベッドに寝ていたブランシュは頭に?を浮かべていた。

---僕、何時寝たんだろう?

冒険者ギルドでギルマス達とあったのは覚えてるんだけど・・・まさかソコで寝ちゃって、そのまま?!

だが、衣服がお互い昨日のままで、着崩れてるというよりかは、寝るために緩めた感じだったので普通に眠っていたんだろう。

・・・・・・ブランシュはスキルのおかげせいなのか、身体に違和感が残らないみたいなので何とも言えないが・・・。

そんなことを考えていたらレイヴンが目を覚ましたようで、いつの間にかブランシュを見ていた。

『・・・おはよう』
「ああ、おはよう。調子はどうだ?」
『え? あ、どこも悪くないです。・・・昨日、ずっと寝ちゃってたみたいで・・・ごめんなさい』
「大丈夫だ。・・・疲れさせた自覚はある」

朝の挨拶の後にそう言われて、ブランシュは思わず頬を染めた。
レイヴンが微かに笑って頬に口吻を贈るとますます赤くなるブランシュにニヤリとしながら起き上がる。

「そうだ、ブランシュ。昨日、ウチの里から連絡があってな。急遽里帰りする事になった」
『・・・レイヴンの故郷って事? あの、じゃあ・・・僕はお留守番・・・』
「違う、留守番じゃないから。お前を連れて来いって話だからな。そもそも俺は離さないって言ったろ? 置いていくわけが無い」
『---あ、うん・・・ありがとう。一緒・・・嬉しい・・・ふふっ』

レイヴンが今日の予定を告げると、勘違いしたブランシュがシュンとしてしまい、慌てて言い直すレイヴン。
ソレを聞いてホッと安心して笑うブランシュが可愛過ぎると思わず押し倒しそうになったが、グッと堪えた。

「まあ、そういうわけで、今日は長時間翔ぶ事になるが、ブランシュ、大丈夫か?」
『えっ?! この前みたいに? レイヴンが翔ぶの?! はいはい!! 大丈夫です!!』
「・・・結構な高度になるし、かなり速度も出すが・・・もちろん風圧などかからないようにするけど」
『たぶん、大丈夫? まあ、高いところに行ったことがないから分からないけど・・・。この前は平気だった』
「うーん。翔ばないと分からないか。まあ、怖かったら目を瞑って寝てても良いし。とにかく落とすことはないから安心しろ」
『はーい!! うわあ、楽しみー!』

この会話の合間に、ウキウキし出したブランシュの服を脱がせて新しい服に着替えさせるレイヴン。
そして自分もサクッと着替えを済ませる。

ブランシュはお出かけに気がいってて、されるがまま。
着替えさせられたことにも気付いていなかった。

「俺は部屋で手持ちの飯を適当に食べるから、ブランシュはその間、昨日確認し損ねたギルドタグのスキルとか見てくれるか? ああ、俺にも見えるように頼む」
『了解です! ほいっ』

相変わらず気の抜けたかけ声で映し出されたタグの内容に、レイヴンは一瞬噴きかけたが、根性で堪えた。

『・・・・・・レイヴン・・・・・・ええと・・・・・・?』
「・・・・・・」

ブランシュも戸惑う内容にレイヴンは無言になる。

ブランシュのタグのスキルももちろんだが、称号の欄に、最初には無かった称号が付いていた。

【称号:創造神の愛し子、前世持ち、憐れな仔羊、空気清浄精霊】

レイヴンも頭を抱えるしか無かった。

---何だよ、って・・・。

他はまあ、分かるが・・・アレか、瘴気を吸収してたらしいってヤツのせいか・・・・・・?

『レイヴン?』
「---いや、後でゆっくり確認しよう。今は時間が無い」
『はぁい』

---里に着いてから要相談案件だな・・・。

あのクソ兄貴に相談とかもの凄く嫌なんだけどな・・・。

苦虫をかみつぶしたような顔で黙々と食べ物を口に運ぶレイヴンを、ちょっと羨ましそうに見つめているブランシュ。
それに気付いたレイヴンは、少し考えてから果実水をコップに注ぐとブランシュの手に持たせた。

『?』
「・・・飲んでみるか? 前世で人だったんだろう? 食事も摂っていたんだろう? 気になって当然だ。口にしても精霊だから腹は壊さんだろう・・・たぶん」
『---うん! ありがとう』

疑問符を浮かべたブランシュにレイヴンがそう言って、ブランシュはハッとした。

そして嬉しそうにコクコクと口に付けて、ほうっと一息。

『・・・美味しい。栄養にならないのは分かるんだけど、記憶がね、あると、どうしても飲食したくなっちゃう・・・ありがとう、レイヴン』
「なら、コレからも気にせず、俺と一緒に食べれば良い。俺も・・・独りじゃなくブランシュとなら食べたい」
『---っありがとう、旦那様』

そう言ってレイヴンの隣に座って、一緒に摘まむブランシュに心の中でほっこりするレイヴンだった。


こうして朝ご飯を済ませ、宿主に数日留守にすることを告げて街の外に出ると、ブランシュを抱き上げて翼を広げた。

目指すはクロウ一族の里。

当面の問題ブランシュの称号には暫く目を瞑り、里に向けて一路、翔び立つレイヴンだった---。






※ブランシュのステータス2は別の時に。
次はレイヴンの一族2の予定です。
ややこしくてスミマセン。



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