24 / 43
23 ブランシュのステータス 1
しおりを挟む翌日、着の身着のままでレイヴンとベッドに寝ていたブランシュは頭に?を浮かべていた。
---僕、何時寝たんだろう?
冒険者ギルドでギルマス達とあったのは覚えてるんだけど・・・まさかソコで寝ちゃって、そのまま?!
だが、衣服がお互い昨日のままで、着崩れてるというよりかは、寝るために緩めた感じだったので普通に眠っていたんだろう。
・・・・・・ブランシュはスキルのおかげなのか、身体に違和感が残らないみたいなので何とも言えないが・・・。
そんなことを考えていたらレイヴンが目を覚ましたようで、いつの間にかブランシュを見ていた。
『・・・おはよう』
「ああ、おはよう。調子はどうだ?」
『え? あ、どこも悪くないです。・・・昨日、ずっと寝ちゃってたみたいで・・・ごめんなさい』
「大丈夫だ。・・・疲れさせた自覚はある」
朝の挨拶の後にそう言われて、ブランシュは思わず頬を染めた。
レイヴンが微かに笑って頬に口吻を贈るとますます赤くなるブランシュにニヤリとしながら起き上がる。
「そうだ、ブランシュ。昨日、ウチの里から連絡があってな。急遽里帰りする事になった」
『・・・レイヴンの故郷って事? あの、じゃあ・・・僕はお留守番・・・』
「違う、留守番じゃないから。お前を連れて来いって話だからな。そもそも俺は離さないって言ったろ? 置いていくわけが無い」
『---あ、うん・・・ありがとう。一緒・・・嬉しい・・・ふふっ』
レイヴンが今日の予定を告げると、勘違いしたブランシュがシュンとしてしまい、慌てて言い直すレイヴン。
ソレを聞いてホッと安心して笑うブランシュが可愛過ぎると思わず押し倒しそうになったが、グッと堪えた。
「まあ、そういうわけで、今日は長時間翔ぶ事になるが、ブランシュ、大丈夫か?」
『えっ?! この前みたいに? レイヴンが翔ぶの?! はいはい!! 大丈夫です!!』
「・・・結構な高度になるし、かなり速度も出すが・・・もちろん風圧などかからないようにするけど」
『たぶん、大丈夫? まあ、高いところに行ったことがないから分からないけど・・・。この前は平気だった』
「うーん。翔ばないと分からないか。まあ、怖かったら目を瞑って寝てても良いし。とにかく落とすことはないから安心しろ」
『はーい!! うわあ、楽しみー!』
この会話の合間に、ウキウキし出したブランシュの服を脱がせて新しい服に着替えさせるレイヴン。
そして自分もサクッと着替えを済ませる。
ブランシュはお出かけに気がいってて、されるがまま。
着替えさせられたことにも気付いていなかった。
「俺は部屋で手持ちの飯を適当に食べるから、ブランシュはその間、昨日確認し損ねたギルドタグのスキルとか見てくれるか? ああ、俺にも見えるように頼む」
『了解です! ほいっ』
相変わらず気の抜けたかけ声で映し出されたタグの内容に、レイヴンは一瞬噴きかけたが、根性で堪えた。
『・・・・・・レイヴン・・・・・・ええと・・・・・・?』
「・・・・・・」
ブランシュも戸惑う内容にレイヴンは無言になる。
ブランシュのタグのスキルももちろんだが、称号の欄に、最初には無かった称号が付いていた。
【称号:創造神の愛し子、前世持ち、憐れな仔羊、空気清浄精霊】
レイヴンも頭を抱えるしか無かった。
---何だよ、空気清浄精霊って・・・。
他はまあ、分かるが・・・アレか、瘴気を吸収してたらしいってヤツのせいか・・・・・・?
『レイヴン?』
「---いや、後でゆっくり確認しよう。今は時間が無い」
『はぁい』
---里に着いてから要相談案件だな・・・。
あのクソ兄貴に相談とかもの凄く嫌なんだけどな・・・。
苦虫をかみつぶしたような顔で黙々と食べ物を口に運ぶレイヴンを、ちょっと羨ましそうに見つめているブランシュ。
それに気付いたレイヴンは、少し考えてから果実水をコップに注ぐとブランシュの手に持たせた。
『?』
「・・・飲んでみるか? 前世で人だったんだろう? 食事も摂っていたんだろう? 気になって当然だ。口にしても精霊だから腹は壊さんだろう・・・たぶん」
『---うん! ありがとう』
疑問符を浮かべたブランシュにレイヴンがそう言って、ブランシュはハッとした。
そして嬉しそうにコクコクと口に付けて、ほうっと一息。
『・・・美味しい。栄養にならないのは分かるんだけど、記憶がね、あると、どうしても飲食したくなっちゃう・・・ありがとう、レイヴン』
「なら、コレからも気にせず、俺と一緒に食べれば良い。俺も・・・独りじゃなくブランシュとなら食べたい」
『---っありがとう、旦那様』
そう言ってレイヴンの隣に座って、一緒に摘まむブランシュに心の中でほっこりするレイヴンだった。
こうして朝ご飯を済ませ、宿主に数日留守にすることを告げて街の外に出ると、ブランシュを抱き上げて翼を広げた。
目指すは鴉一族の里。
当面の問題には暫く目を瞑り、里に向けて一路、翔び立つレイヴンだった---。
※ブランシュのステータス2は別の時に。
次はレイヴンの一族2の予定です。
ややこしくてスミマセン。
87
お気に入りに追加
459
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。
婚約破棄してくれてありがとう、王子様
霧乃ふー 短編
BL
「ジュエル・ノルデンソン!貴様とは婚約破棄させてもらう!!」
そう、僕の婚約者の第一王子のアンジェ様はパーティー最中に宣言した。
勝ち誇った顔の男爵令嬢を隣につれて。
僕は喜んでいることを隠しつつ婚約破棄を受け入れ平民になり、ギルドで受付係をしながら毎日を楽しく過ごしてた。
ある日、アンジェ様が僕の元に来て……
婚約破棄署名したらどうでも良くなった僕の話
黄金
BL
婚約破棄を言い渡され、署名をしたら前世を思い出した。
恋も恋愛もどうでもいい。
そう考えたノジュエール・セディエルトは、騎士団で魔法使いとして生きていくことにする。
二万字程度の短い話です。
6話完結。+おまけフィーリオルのを1話追加します。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる