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11 ブランシュの中の人
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※本日投稿二回目です。読んでない方は一つ前(10話)からお読み下さい。
※前半、無理矢理な行為の末の死の表現有り。流血描写有り。苦手な方は自衛をお願いします。
レイヴンが定宿を後にして上機嫌で鍛冶屋のおやっさんのところに向かっている頃・・・。
レイヴンに抱き潰されたブランシュは深い眠りの中で夢を見ていた。
---そこは今いる世界とは違う、なんか緑の少ない、冷たい場所。
名前も思い出せない僕が寒空のもと、誰かに手酷く抱かれて打ち捨てられていた。
恋人だと思っていた人。
自分が初めて好きになった男の人。
子供の頃、ネグレクトの親から施設に引き取られ、親からの愛情は無く、施設でも可愛げの無い子だとあまり構われなかった少年時代。
施設を出た後、何とかアルバイトをしながら独り暮らしだした矢先に親切にしてくれた人に好意を持ってしまって・・・。
しかしソレは体の良いセフレで、僕は初めてを半ば無理矢理奪われて。
たいして慣らしもせずにツッコまれて、裂けて痛くて泣き叫べば、布で口を塞がれて。
好き勝手に貪って、後はおざなりにズボンを履かせて人気の無い公園のベンチに捨て置かれた。
お尻の裂けた傷がじくじくと痛んで血が流れ、寒さに身動きできずに、降り出した雪に埋もれて凍死した・・・。
---その後、僕は異世界の神様に拾われたんだっけ。
魂の僕に、自分の世界においでと、今度は好きな人と結ばれて、エッチも気持ち良くなれるようにしてあげるよと言われて。
僕は一度で良いから愛されたいと思って、頷いたんだ。
---ソレで、僕は・・・私は・・・・・・。
ぼんやりと目を開けると、何か抱き締めているのに気付いた。
『・・・・・・?』
ぁ、コレ、レイヴンの上着だ。
・・・・・・何で?
そうっと周りを見れば、そこは見覚えのあるレイヴンの泊まってる部屋で、でもレイヴンはいなかった。
テーブルには何やら置いてあって、メモには『食いモン買ってくる。後、寄るところがあるから少し遅くなる。待ってろ』と書いてある。
・・・この世界の言語が読めたことにほっとして・・・。
もう一つは・・・・・・何だろう?
楕円形・・・卵形?の丸い道具。
持ち上げてくるくる回してみるがよく分からない。
上にボタンみたいな出っ張りを見つけて思わず押してみると・・・・・・。
「『出かけてくるが心配するな。待ってろ』」
『ぴえっ?!』
ビックリして放り投げると、扉の方に飛んでいってしまい、あっと思ったらレイヴンがいてキャッチしていた。
「おう、間一髪。まあ、これくらいじゃ壊れねえけどな」
『・・・・・・お、お帰りなさい?』
「---おう、ただいま」
思わず帰宅時の挨拶をしたら、一瞬、間があって、その後、照れくさそうに返してくれたレイヴン。
「・・・・・・もう起きても大丈夫なのか? まだ数時間だろう?」
『え? そうなんです? ・・・・・・身体は大丈夫そうです・・・け・・・ど・・・』
レイヴンに聞かれて普通に応えた後、つい数時間前までの行為を思い出してカアーッと赤くなり、しどろもどろになって目を泳がせる僕にレイヴンも気付き、近付いてくる。
「---本当に大丈夫なのか? 幾ら腹が減ってる精霊といっても、さすがにアレはヤリ過ぎたか?」
『っ?! ああああアレって、ややややヤリ過ぎって・・・・・・っ!!』
うああ---っ!!と顔を覆って掛布に突っ伏したブランシュに、さすがにオカシイと思ったのかレイヴンがそろっとブランシュの頭に大きな手をのせて撫ぜた。
「・・・・・・どうした? ブランシュは俺の伴侶になったんだ。何かあるなら言ってくれ。なるべく・・・その・・・俺に出来ることはするから」
『・・・・・・レイヴン・・・』
ブランシュが顔をあげると、眉を下げて困った顔のレイヴンがいて。
---彼なら、きっと、大丈夫。
何故かそう思った僕は、さっき思い出した前世をレイヴンに打ち明けようと決めたのだった。
※前半、無理矢理な行為の末の死の表現有り。流血描写有り。苦手な方は自衛をお願いします。
レイヴンが定宿を後にして上機嫌で鍛冶屋のおやっさんのところに向かっている頃・・・。
レイヴンに抱き潰されたブランシュは深い眠りの中で夢を見ていた。
---そこは今いる世界とは違う、なんか緑の少ない、冷たい場所。
名前も思い出せない僕が寒空のもと、誰かに手酷く抱かれて打ち捨てられていた。
恋人だと思っていた人。
自分が初めて好きになった男の人。
子供の頃、ネグレクトの親から施設に引き取られ、親からの愛情は無く、施設でも可愛げの無い子だとあまり構われなかった少年時代。
施設を出た後、何とかアルバイトをしながら独り暮らしだした矢先に親切にしてくれた人に好意を持ってしまって・・・。
しかしソレは体の良いセフレで、僕は初めてを半ば無理矢理奪われて。
たいして慣らしもせずにツッコまれて、裂けて痛くて泣き叫べば、布で口を塞がれて。
好き勝手に貪って、後はおざなりにズボンを履かせて人気の無い公園のベンチに捨て置かれた。
お尻の裂けた傷がじくじくと痛んで血が流れ、寒さに身動きできずに、降り出した雪に埋もれて凍死した・・・。
---その後、僕は異世界の神様に拾われたんだっけ。
魂の僕に、自分の世界においでと、今度は好きな人と結ばれて、エッチも気持ち良くなれるようにしてあげるよと言われて。
僕は一度で良いから愛されたいと思って、頷いたんだ。
---ソレで、僕は・・・私は・・・・・・。
ぼんやりと目を開けると、何か抱き締めているのに気付いた。
『・・・・・・?』
ぁ、コレ、レイヴンの上着だ。
・・・・・・何で?
そうっと周りを見れば、そこは見覚えのあるレイヴンの泊まってる部屋で、でもレイヴンはいなかった。
テーブルには何やら置いてあって、メモには『食いモン買ってくる。後、寄るところがあるから少し遅くなる。待ってろ』と書いてある。
・・・この世界の言語が読めたことにほっとして・・・。
もう一つは・・・・・・何だろう?
楕円形・・・卵形?の丸い道具。
持ち上げてくるくる回してみるがよく分からない。
上にボタンみたいな出っ張りを見つけて思わず押してみると・・・・・・。
「『出かけてくるが心配するな。待ってろ』」
『ぴえっ?!』
ビックリして放り投げると、扉の方に飛んでいってしまい、あっと思ったらレイヴンがいてキャッチしていた。
「おう、間一髪。まあ、これくらいじゃ壊れねえけどな」
『・・・・・・お、お帰りなさい?』
「---おう、ただいま」
思わず帰宅時の挨拶をしたら、一瞬、間があって、その後、照れくさそうに返してくれたレイヴン。
「・・・・・・もう起きても大丈夫なのか? まだ数時間だろう?」
『え? そうなんです? ・・・・・・身体は大丈夫そうです・・・け・・・ど・・・』
レイヴンに聞かれて普通に応えた後、つい数時間前までの行為を思い出してカアーッと赤くなり、しどろもどろになって目を泳がせる僕にレイヴンも気付き、近付いてくる。
「---本当に大丈夫なのか? 幾ら腹が減ってる精霊といっても、さすがにアレはヤリ過ぎたか?」
『っ?! ああああアレって、ややややヤリ過ぎって・・・・・・っ!!』
うああ---っ!!と顔を覆って掛布に突っ伏したブランシュに、さすがにオカシイと思ったのかレイヴンがそろっとブランシュの頭に大きな手をのせて撫ぜた。
「・・・・・・どうした? ブランシュは俺の伴侶になったんだ。何かあるなら言ってくれ。なるべく・・・その・・・俺に出来ることはするから」
『・・・・・・レイヴン・・・』
ブランシュが顔をあげると、眉を下げて困った顔のレイヴンがいて。
---彼なら、きっと、大丈夫。
何故かそう思った僕は、さっき思い出した前世をレイヴンに打ち明けようと決めたのだった。
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