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61 初報酬の前に 2
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「あのー、つかぬ事をお伺いしますが・・・・・・」
「何だ急に改まって。敬語なんか使うな」
眉にシワを寄せて不機嫌に言うナハトに、僕もハッとした。
いやあ、向こうの世界のときみたく、相手に何かを聞くのに機嫌を損ねないように下に出るように話しちゃった。
ナハトには逆効果だった。
「あ、つい。・・・・・・いや、緑の魔法って何? ハイエルフってことと関係あるの?」
「・・・・・・そうか、ユラはまだそういうの分からないんだよな」
そう聞けば眉にシワを寄せつつも応えてくれた。
「ハイエルフというかエルフ全般、あとは精霊族特有の精霊魔法の一種だ。単にハイエルフはエルフよりも力が強いというくらいの違いだと思うが」
ナハトの知識で教えて貰うと、地の精霊魔法の一つでその名が表すとおり植物に関連するモノだそうだ。ようするに植物を生やしたり成長速度を変えたりすることが出来る。
ちなみに普通の魔法にはこの緑の魔法はないそうで、エルフや精霊族のスキルの精霊魔法で使う以外にないそうだ。つまりは稀少な魔法ということだな。
コレを使えば枯れた土地でも植物を育てられることから、過去にはとある国で隷属化されたエルフがこの精霊魔法を何度も魔力枯渇寸前まで酷使させられ、他国に救い出されるまで何百年も死んだほうがマシなくらいの苦痛を味わったという事例もあったらしい。
───こわっ!
僕は絶対にそんな目に合いたくない。
五十嵐家で飼い殺されるように生きてきた状況と何ら変わりなく、いやそれよりも自由がない分酷いかも。
そうでなくとも今は不死になっているのだから、未来永劫苦しむことになりそうだ。
「そんな目には合わせないさ。絶対に」
そう言いきるナハトが愛おしい。頼りにしてます、旦那様!
それはともかく。
「───ということは、地の精霊に力を貸して貰わないといけないわけだね───」
『やあやあ! お喚びかなー!?』
「・・・・・・出た」
喚んでないのに地の精霊王モノリスがぬるっと目の前に湧いてきた。しかもよく視ると他の精霊王全員集合してるし。
『我らは付き添い』
『そうそう、見学!』
『気にするな』
「気にするわ! めっちゃ気になるわ! 暇なのかあんたらは!」
「・・・・・・はぁ───」
適当なことを言いながら僕に抱き付いてきてはナハトにベリッ、ポイッとされる精霊王達に苦笑しかない。
でもまぁ、とりあえず。
「モノリス、アレどうにかしたいんだけど出来そう?」
僕がそう言うと、モノリスはキランとした目で僕と更地になった元林を交互に見た。
『おう、全く問題ない。ユラの力なら一瞬で元通りかそれ以上───』
「あー、了解。じゃあパパッと直しちゃおう! えーと、木や植物が生えるイメージで使えばいい?」
『おう、それに俺が力をのせるからな!』
言うが早いか、僕がイメージすると同時に張り切ったモノリスが精霊の力を上乗せした。
「───あ」
僕は身体からごっそり魔力が抜ける感じがして、ふらっと倒れそうになった。
咄嗟に踏ん張ったが見かねたナハトが支えてくれてホッとする・・・・・・が。
『・・・・・・あ』
『あちゃー・・・・・・』
『モノリス? 力を込めすぎ!』
『あーあ』
「・・・・・・・・・・・・」
「ユラも魔力込めすぎだ」
ふと、目の前の更地だった場所を見ると───。
「・・・・・・うわぁ・・・・・・ト○ロの森、もしくは屋○島・・・・・・」
見上げても天辺が見えないような太くて高い木々やジャングルのような背の高い植物が一直線に生い茂っていた。
「凄い違和感」
「周りから見ると異質過ぎる」
『あは、あははー・・・・・・。ごめんな?』
二人してテンション高く発動したらしく、結果、周りとちぐはぐな森が出来上がった。
最終的に、僕が小説の中で出て来る魔力を吸収するイメージの魔法『ドレイン』を作って上手いこと魔力を回収し、木々や植物も一般的なサイズにまで縮ませて事なきを得た・・・・・・たぶん。
「・・・・・・いや、コレも北門の門衛達にバッチリ見られてたと思うぞ」
「・・・・・・だよねぇ・・・・・・」
ははは、と乾いた笑いが溢れるのだった。
うん。普通の魔法も精霊魔法も迂闊に使えないことが分かったよ。
僕はハンドガンと身体強化系で頑張る!
「何だ急に改まって。敬語なんか使うな」
眉にシワを寄せて不機嫌に言うナハトに、僕もハッとした。
いやあ、向こうの世界のときみたく、相手に何かを聞くのに機嫌を損ねないように下に出るように話しちゃった。
ナハトには逆効果だった。
「あ、つい。・・・・・・いや、緑の魔法って何? ハイエルフってことと関係あるの?」
「・・・・・・そうか、ユラはまだそういうの分からないんだよな」
そう聞けば眉にシワを寄せつつも応えてくれた。
「ハイエルフというかエルフ全般、あとは精霊族特有の精霊魔法の一種だ。単にハイエルフはエルフよりも力が強いというくらいの違いだと思うが」
ナハトの知識で教えて貰うと、地の精霊魔法の一つでその名が表すとおり植物に関連するモノだそうだ。ようするに植物を生やしたり成長速度を変えたりすることが出来る。
ちなみに普通の魔法にはこの緑の魔法はないそうで、エルフや精霊族のスキルの精霊魔法で使う以外にないそうだ。つまりは稀少な魔法ということだな。
コレを使えば枯れた土地でも植物を育てられることから、過去にはとある国で隷属化されたエルフがこの精霊魔法を何度も魔力枯渇寸前まで酷使させられ、他国に救い出されるまで何百年も死んだほうがマシなくらいの苦痛を味わったという事例もあったらしい。
───こわっ!
僕は絶対にそんな目に合いたくない。
五十嵐家で飼い殺されるように生きてきた状況と何ら変わりなく、いやそれよりも自由がない分酷いかも。
そうでなくとも今は不死になっているのだから、未来永劫苦しむことになりそうだ。
「そんな目には合わせないさ。絶対に」
そう言いきるナハトが愛おしい。頼りにしてます、旦那様!
それはともかく。
「───ということは、地の精霊に力を貸して貰わないといけないわけだね───」
『やあやあ! お喚びかなー!?』
「・・・・・・出た」
喚んでないのに地の精霊王モノリスがぬるっと目の前に湧いてきた。しかもよく視ると他の精霊王全員集合してるし。
『我らは付き添い』
『そうそう、見学!』
『気にするな』
「気にするわ! めっちゃ気になるわ! 暇なのかあんたらは!」
「・・・・・・はぁ───」
適当なことを言いながら僕に抱き付いてきてはナハトにベリッ、ポイッとされる精霊王達に苦笑しかない。
でもまぁ、とりあえず。
「モノリス、アレどうにかしたいんだけど出来そう?」
僕がそう言うと、モノリスはキランとした目で僕と更地になった元林を交互に見た。
『おう、全く問題ない。ユラの力なら一瞬で元通りかそれ以上───』
「あー、了解。じゃあパパッと直しちゃおう! えーと、木や植物が生えるイメージで使えばいい?」
『おう、それに俺が力をのせるからな!』
言うが早いか、僕がイメージすると同時に張り切ったモノリスが精霊の力を上乗せした。
「───あ」
僕は身体からごっそり魔力が抜ける感じがして、ふらっと倒れそうになった。
咄嗟に踏ん張ったが見かねたナハトが支えてくれてホッとする・・・・・・が。
『・・・・・・あ』
『あちゃー・・・・・・』
『モノリス? 力を込めすぎ!』
『あーあ』
「・・・・・・・・・・・・」
「ユラも魔力込めすぎだ」
ふと、目の前の更地だった場所を見ると───。
「・・・・・・うわぁ・・・・・・ト○ロの森、もしくは屋○島・・・・・・」
見上げても天辺が見えないような太くて高い木々やジャングルのような背の高い植物が一直線に生い茂っていた。
「凄い違和感」
「周りから見ると異質過ぎる」
『あは、あははー・・・・・・。ごめんな?』
二人してテンション高く発動したらしく、結果、周りとちぐはぐな森が出来上がった。
最終的に、僕が小説の中で出て来る魔力を吸収するイメージの魔法『ドレイン』を作って上手いこと魔力を回収し、木々や植物も一般的なサイズにまで縮ませて事なきを得た・・・・・・たぶん。
「・・・・・・いや、コレも北門の門衛達にバッチリ見られてたと思うぞ」
「・・・・・・だよねぇ・・・・・・」
ははは、と乾いた笑いが溢れるのだった。
うん。普通の魔法も精霊魔法も迂闊に使えないことが分かったよ。
僕はハンドガンと身体強化系で頑張る!
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