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62 衝撃の門衛達(side北門門衛サムス)
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「さっきのアレ、凄い衝撃的でしたね」
「・・・・・・そうだね」
つい先ほど北門を通っていったナハトさんとユラ君。
驚くことに番いだというからオジサン、ビックリだよ。
あ、俺は北門の門衛の一番隊隊長で本日の担当サムス。もう一人の若いヤツはエレミィと言う。
「エレミィはこの前、夜番のときにナハトさんが子供を連れ帰ったのに行き当たったんだよね?」
そのときの報告書に目を通したときはさほど気にもしなかったけど。
「そうなんですよ! 明け方に人を抱えて走ってきてビックリしました。身分証がないからって、犯罪の有無だけチェックして入街料貰ったんです」
「まさか合法ショタでナハトさんの番いだなんてねー」
サラッと告げられた上にユラ君が他人事みたいに『そうみたいです』なんて軽く言うから、本当かと疑っちゃったけど・・・・・・。
オジサン、見つけちゃったんだよね。
ユラ君の左の首筋に、くっきり吸血鬼の咬み痕が───。
襟で見えづらくなってたけど、ユラ君の背が低いから上から見えちゃったんだよね。
そういえばナハトさんって吸血鬼だったっけ。昼日中にも活動してるから普通の人と勘違いしちゃうけど、実は凄い吸血鬼なんだった。
吸血鬼の場合、あの咬み痕が獣人達でいうところのうなじを咬む行為にあたるんだろうか。
そもそも吸血鬼に番いという存在がいるのかも分からないけど。
そういえば結界で上手く隠されてたがガッツリマーキングもされてたな。
オジサン、熊獣人だから隠してても何となく分かるよ。アレ、めちゃくちゃ濃厚すぎて気弱な獣人は避けるよ。隠すのは妙案だと思う。
まぁユラ君が恥ずかしかったのかもしれない。純粋で初心っぽいよね。
───そんな感じでのんびり当番を熟していたとき、北のエクシズの森の方で凄い土煙が上がって、少し遅れて轟音が鳴り響いた。
「───っ! 何事だ!?」
「っ急に、大量の木が薙ぎ倒されました! 原因は不明!」
門の上部にある櫓の当番の門衛に叫ぶと、そんな応えが帰ってきた。
「アッチってさっきナハトさん達が向かった方角でしょ!? 大丈夫かな!?」
「ナハトさんが付いてるし大丈夫とは思うが、まさかスタンピードとかか?」
「起こりそうな予兆はありませんでしたよ!」
他の門衛達もワラワラと出て来て大騒ぎの中、今度は急に空が翳った。
「───今度は何だ!?」
「き、急に木が! にょきっと大量に生えましたー! しかもどんどん伸びていきます!」
「はぁ!?」
見れば地上の俺達でも十分見える高さになっている。
しかし次の瞬間───。
「───ああっ!? こ、今度は縮みました! なんか分からないけど、急激に小さくなって、周りの木々と大して変わらない背丈になったもよう!」
「・・・・・・・・・・・・」
オイ、いったいなんなんだ?
俺達が右往左往して櫓の門衛からの報告に唖然としているうちに事態は収束したようだ。
「えーと・・・・・・?」
「・・・・・・意味が分からない」
でも俺の勘が告げる。
アレはナハトさん達が関係していると・・・・・・。
「領主様に報告は、どう、します?」
「・・・・・・もう少し様子見で」
そう告げると、あわてふためいていた門衛達も落ち着きを取り戻し、それぞれ持ち場へ戻っていった。
それから数十分ののち、戻ってきたナハトさん達によってコトの顛末が分かる。
「ごめんなさい」
へにょりと落ち込んだ様子のユラ君に苦笑するしかなかったが、まぁ無事だからいいだろう。
街中へ帰っていく後ろ姿を見送りながら、今日の報告は書くことが多いな、と溜め息を吐くのだった。
「・・・・・・そうだね」
つい先ほど北門を通っていったナハトさんとユラ君。
驚くことに番いだというからオジサン、ビックリだよ。
あ、俺は北門の門衛の一番隊隊長で本日の担当サムス。もう一人の若いヤツはエレミィと言う。
「エレミィはこの前、夜番のときにナハトさんが子供を連れ帰ったのに行き当たったんだよね?」
そのときの報告書に目を通したときはさほど気にもしなかったけど。
「そうなんですよ! 明け方に人を抱えて走ってきてビックリしました。身分証がないからって、犯罪の有無だけチェックして入街料貰ったんです」
「まさか合法ショタでナハトさんの番いだなんてねー」
サラッと告げられた上にユラ君が他人事みたいに『そうみたいです』なんて軽く言うから、本当かと疑っちゃったけど・・・・・・。
オジサン、見つけちゃったんだよね。
ユラ君の左の首筋に、くっきり吸血鬼の咬み痕が───。
襟で見えづらくなってたけど、ユラ君の背が低いから上から見えちゃったんだよね。
そういえばナハトさんって吸血鬼だったっけ。昼日中にも活動してるから普通の人と勘違いしちゃうけど、実は凄い吸血鬼なんだった。
吸血鬼の場合、あの咬み痕が獣人達でいうところのうなじを咬む行為にあたるんだろうか。
そもそも吸血鬼に番いという存在がいるのかも分からないけど。
そういえば結界で上手く隠されてたがガッツリマーキングもされてたな。
オジサン、熊獣人だから隠してても何となく分かるよ。アレ、めちゃくちゃ濃厚すぎて気弱な獣人は避けるよ。隠すのは妙案だと思う。
まぁユラ君が恥ずかしかったのかもしれない。純粋で初心っぽいよね。
───そんな感じでのんびり当番を熟していたとき、北のエクシズの森の方で凄い土煙が上がって、少し遅れて轟音が鳴り響いた。
「───っ! 何事だ!?」
「っ急に、大量の木が薙ぎ倒されました! 原因は不明!」
門の上部にある櫓の当番の門衛に叫ぶと、そんな応えが帰ってきた。
「アッチってさっきナハトさん達が向かった方角でしょ!? 大丈夫かな!?」
「ナハトさんが付いてるし大丈夫とは思うが、まさかスタンピードとかか?」
「起こりそうな予兆はありませんでしたよ!」
他の門衛達もワラワラと出て来て大騒ぎの中、今度は急に空が翳った。
「───今度は何だ!?」
「き、急に木が! にょきっと大量に生えましたー! しかもどんどん伸びていきます!」
「はぁ!?」
見れば地上の俺達でも十分見える高さになっている。
しかし次の瞬間───。
「───ああっ!? こ、今度は縮みました! なんか分からないけど、急激に小さくなって、周りの木々と大して変わらない背丈になったもよう!」
「・・・・・・・・・・・・」
オイ、いったいなんなんだ?
俺達が右往左往して櫓の門衛からの報告に唖然としているうちに事態は収束したようだ。
「えーと・・・・・・?」
「・・・・・・意味が分からない」
でも俺の勘が告げる。
アレはナハトさん達が関係していると・・・・・・。
「領主様に報告は、どう、します?」
「・・・・・・もう少し様子見で」
そう告げると、あわてふためいていた門衛達も落ち着きを取り戻し、それぞれ持ち場へ戻っていった。
それから数十分ののち、戻ってきたナハトさん達によってコトの顛末が分かる。
「ごめんなさい」
へにょりと落ち込んだ様子のユラ君に苦笑するしかなかったが、まぁ無事だからいいだろう。
街中へ帰っていく後ろ姿を見送りながら、今日の報告は書くことが多いな、と溜め息を吐くのだった。
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