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42 ここまで来たら一蓮托生
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「えーと、僕はとりあえずそんなところかな? あとはエアリアル達が話すといいよ」
「え? 他にないの? せっかく両親のこととか知れたのに」
ダオラが意外そうに聞いてきたので僕は首を振った。
「別にないよ。聞いたところで実感ないし、感慨深くもない。僕にとって親は赤の他人と同義で、関わり合いのない存在だから」
「───っそれは、そうかもだけど・・・・・・」
「血が繋がっただけの他人より繋がりのない友人の方がよっぽど大切だよ。今の僕にはね」
だから皆、そんな辛そうな顔をしないで?
僕は平気だから。
何か精霊王達も哀しそうなんだけど、本当に平気だから。
「ナハト達がいてくれるから、今は独りじゃないし。───あ、ブレン、本当の父親っていう王様に僕のこともう教えちゃった?」
『ああ、いやまだ。こちらに先に急いで来たし、確認を取ってからと思って・・・・・・』
それならよかった。
「じゃあ僕のこと言わないでおいてくれる? 会いたいとか言われても困るし、今は正直どうしたらいいのか分からないから」
もしかしたら諸々の感情を噛み砕いて飲み干せる日が来るかもしれないけど、今は無理だから。
『・・・・・・ユーリディスがそう言うなら』
『うん。俺らに否やはないよ』
「あ、そうだ。僕のことはユラって呼んでね。ユーリディスなんて呼ばれても反応できないからさ」
『───そっか。分かった』
『じゃあこれからよろしくな、ユラ!』
若干不服そうなブレンだったけど、モノリスやフレイア達がニカッと笑ってそう言ったのでひとまず言葉を呑み込んだようだ。
───それに知られたら絶対に面倒事しかないだろう。血筋的には王子ってヤツらしいから周りが騒ぎそうで絶対にイヤだ。
「というわけで、エアリアル達も僕の出自は秘密にしてね!」
「何が『というわけで』かは何となく想像できるが、そうだね。これは私達の中で秘めておこう。揉め事のタネになるから」
「あ、でもナハト達がこの人ならっていう相手なら教えてもいいけど。もちろん極秘情報だって釘を刺してね?」
「・・・・・・俺達を信用しているのだろうが、警戒心をもう少しだな」
「警戒心はちゃんとあるから大丈夫。ナハト達は僕の味方だって思ってるから。それにすでに一蓮托生だよね?」
ここまで秘密を知ったら抜け出せないよね?
「───・・・・・・はぁ。全くユラは・・・・・・。そうだな、こんな話、漏らしたら命が幾つあっても足りないな」
「まあ、私達だからこそユラ君を護れると思っているからね」
「精霊王様達も一蓮托生ですよねぇ」
『そうだな』
ナハトを始め、ここにいる人達は僕にとって大切な人達になってるから、僕も皆を護るよ。
「じゃあそういうことで、あとはエアリアル達にお任せします」
そう言ったらエアリアル達は苦笑しつつ精霊王達に声をかけた。
「まあ、私達の聞きたいことはユラ君があらかた聞いてしまったのでさほどないんですけど」
───と、前置きしてからエアリアルがナハトに目配せをした、ように見えた。
何だろう? 僕が聞いてちゃ拙いことかな?
「ナハト? 僕がいなくてもいい話ならもう一度地下鍛錬場に行ってもいい? 魔法はともかく銃とか確認したい」
空気を読んでそう言えばナハトも乗っかってきた。
「ああ、途中で戻ってきたからな。じゃあ俺も付き合うよ。あとはエアリアル達で話をしていてくれ」
「そうですね、ユラ君をお願いします」
「あー、ボコった地面とか、適当に均しておいてくれるかなぁ?」
「・・・・・・ッチ」
最後にダオラが気まずそうにそう言ったのをナハトが舌打ちしていた。
均すって、どうやって?
「ナハト、アレ、平らに出来るの?」
「・・・・・・地魔法の応用だな」
「おお! ソレって僕も出来る? やってみたい!」
「・・・・・・そうか? じゃあ戻ったらやり方を教えよう」
「やった! 楽しみー!」
僕は執務室の中に流れる微妙な空気も忘れて普通にわくわくし、ナハトも機嫌がよくなったので、ナハトの手を引っ張っていそいそと執務室の扉に向かった。
「じゃあまたあとでね!」
振り向きながらそう言って、エアリアル達の返事も待たずに執務室をあとにしたのだった。
───このあとエアリアルとダオラが精霊王達に僕の奴隷やら暗殺者やらの職業とか、今までの生い立ちとかを話して聞かせているとも知らずに、呑気にナハトから魔法のレクチャーを受けてニッコニコだったんだけど。
ソレを知った精霊王達がブチ切れていたとか、そんなこと欠片も知らないで喜んで魔法を使っていたのだった。
「え? 他にないの? せっかく両親のこととか知れたのに」
ダオラが意外そうに聞いてきたので僕は首を振った。
「別にないよ。聞いたところで実感ないし、感慨深くもない。僕にとって親は赤の他人と同義で、関わり合いのない存在だから」
「───っそれは、そうかもだけど・・・・・・」
「血が繋がっただけの他人より繋がりのない友人の方がよっぽど大切だよ。今の僕にはね」
だから皆、そんな辛そうな顔をしないで?
僕は平気だから。
何か精霊王達も哀しそうなんだけど、本当に平気だから。
「ナハト達がいてくれるから、今は独りじゃないし。───あ、ブレン、本当の父親っていう王様に僕のこともう教えちゃった?」
『ああ、いやまだ。こちらに先に急いで来たし、確認を取ってからと思って・・・・・・』
それならよかった。
「じゃあ僕のこと言わないでおいてくれる? 会いたいとか言われても困るし、今は正直どうしたらいいのか分からないから」
もしかしたら諸々の感情を噛み砕いて飲み干せる日が来るかもしれないけど、今は無理だから。
『・・・・・・ユーリディスがそう言うなら』
『うん。俺らに否やはないよ』
「あ、そうだ。僕のことはユラって呼んでね。ユーリディスなんて呼ばれても反応できないからさ」
『───そっか。分かった』
『じゃあこれからよろしくな、ユラ!』
若干不服そうなブレンだったけど、モノリスやフレイア達がニカッと笑ってそう言ったのでひとまず言葉を呑み込んだようだ。
───それに知られたら絶対に面倒事しかないだろう。血筋的には王子ってヤツらしいから周りが騒ぎそうで絶対にイヤだ。
「というわけで、エアリアル達も僕の出自は秘密にしてね!」
「何が『というわけで』かは何となく想像できるが、そうだね。これは私達の中で秘めておこう。揉め事のタネになるから」
「あ、でもナハト達がこの人ならっていう相手なら教えてもいいけど。もちろん極秘情報だって釘を刺してね?」
「・・・・・・俺達を信用しているのだろうが、警戒心をもう少しだな」
「警戒心はちゃんとあるから大丈夫。ナハト達は僕の味方だって思ってるから。それにすでに一蓮托生だよね?」
ここまで秘密を知ったら抜け出せないよね?
「───・・・・・・はぁ。全くユラは・・・・・・。そうだな、こんな話、漏らしたら命が幾つあっても足りないな」
「まあ、私達だからこそユラ君を護れると思っているからね」
「精霊王様達も一蓮托生ですよねぇ」
『そうだな』
ナハトを始め、ここにいる人達は僕にとって大切な人達になってるから、僕も皆を護るよ。
「じゃあそういうことで、あとはエアリアル達にお任せします」
そう言ったらエアリアル達は苦笑しつつ精霊王達に声をかけた。
「まあ、私達の聞きたいことはユラ君があらかた聞いてしまったのでさほどないんですけど」
───と、前置きしてからエアリアルがナハトに目配せをした、ように見えた。
何だろう? 僕が聞いてちゃ拙いことかな?
「ナハト? 僕がいなくてもいい話ならもう一度地下鍛錬場に行ってもいい? 魔法はともかく銃とか確認したい」
空気を読んでそう言えばナハトも乗っかってきた。
「ああ、途中で戻ってきたからな。じゃあ俺も付き合うよ。あとはエアリアル達で話をしていてくれ」
「そうですね、ユラ君をお願いします」
「あー、ボコった地面とか、適当に均しておいてくれるかなぁ?」
「・・・・・・ッチ」
最後にダオラが気まずそうにそう言ったのをナハトが舌打ちしていた。
均すって、どうやって?
「ナハト、アレ、平らに出来るの?」
「・・・・・・地魔法の応用だな」
「おお! ソレって僕も出来る? やってみたい!」
「・・・・・・そうか? じゃあ戻ったらやり方を教えよう」
「やった! 楽しみー!」
僕は執務室の中に流れる微妙な空気も忘れて普通にわくわくし、ナハトも機嫌がよくなったので、ナハトの手を引っ張っていそいそと執務室の扉に向かった。
「じゃあまたあとでね!」
振り向きながらそう言って、エアリアル達の返事も待たずに執務室をあとにしたのだった。
───このあとエアリアルとダオラが精霊王達に僕の奴隷やら暗殺者やらの職業とか、今までの生い立ちとかを話して聞かせているとも知らずに、呑気にナハトから魔法のレクチャーを受けてニッコニコだったんだけど。
ソレを知った精霊王達がブチ切れていたとか、そんなこと欠片も知らないで喜んで魔法を使っていたのだった。
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