(仮)攫われて異世界

エウラ

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38 地下鍛錬場での確認作業 4

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───精霊を視ようと気合いを入れたら、目の前にめちゃくちゃ美人な八頭身の人達が鎮座してるんだけど・・・・・・?

僕はたぶん間抜けな顔でポカンとしていたと思う。
でも許して欲しい。
だって急に眼前に人外レベルのスラッとした美人がひぃふぅみぃ・・・・・・総勢七人並んで立ってるんだよ?

「───っユラ!? おい、離れろー!」
「ユラ君!」
「おーい、しっかりしてぇ!」

ナハト達が慌てて声をかけてくるが僕は応えるどころじゃない。
だって、どうすればいいの、コレ?

ぽけっとした一瞬のうちに、その七人にぎゅむっと抱き付かれて、たぶん窒息はしないと思うけどとにかく背の低い僕がガッツリ隠れるような密着度。

・・・・・・でもハタから見たら精霊って視えないらしいから、独りで何してんだアイツ? って状況だと思うんだよね?
幸い他の三人は視えるからよかったけど、コレじゃただのアブナイ人になるところだったよ。

───そう、僕が思った通り、彼ら? は人型の精霊だった。しかも───。

『やっと会えたよー、ユーリディス』

そう言うのは水の精霊王ティア。
波打つ水色の長い髪と二重ぱっちりの水色の瞳の綺麗なお姉さん。
か弱そうな見た目に反してめちゃくちゃ力強い。ギチギチに抱きしめられて正直苦しい。

『おお、我ら精霊王の可愛い愛し子!』

彼は地の精霊王モノリス。
僕より頭一つ分背が高くて、焦げ茶色のくるくる天然パーマのショートの髪と大きな金茶色のクリッとした瞳で僕よりも童顔に見える。
そんな精霊が僕を可愛いって何だ! ソッチのが可愛いだろ、僕は可愛くないだろ!

『ようやく俺らを視てくれた! 嬉しいよ!』

そういう彼は風の精霊王ミストラルで、新緑のような明るい緑色のボブカットの髪と同じ色の切れ長の瞳。
興奮するとつむじ風を周囲に撒き散らす、ちょっとはた迷惑な性質らしい。

『いやあ、心配していたが元気そうでよかったよかった!』

がははは、と笑いながら僕の背中をバシバシ叩く彼は火の精霊王フレイア。
腰まである燃えるような赤髪をポニーテールにしている。瞳は赤みがかった金色だ。ちょっと猫みたいな吊り目で強面っぽいが、だいぶ気さくな印象だ。

『ティアリスティアとともに行方知れずになったと聞いたときは気が気じゃなかったですぅ』

嬉し涙? を溢す彼女は光の精霊王シャイン。
眩しいくらいのストレートで膝くらいまでの長さの金髪を結わずに垂らしている。瞳も蜂蜜色の濃い金色でおっとりとした性格のようだ。性格に見合ったような人の良さそうな垂れ目をしてる。

『全くだ。ちっとも気配を追えなくなってしまって、もう、儚くなってしまったのかも、と・・・・・・』

そう言ってやはりうるうるするのは時の精霊王クロノス。
銀色のストレートの髪を緩く束ねて左前に垂らしている。瞳は薄い金色で大きい。中性的な見た目で、涙脆いのか涙が溢れそうなほど溜まっている。

『クロノスでも追えなくなってすでに四百年。正直もう諦めていたが・・・・・・』

最後に困ったように笑って言ったのは闇の精霊王ブレン。
鴉のような青みがかった黒い髪をうなじ辺りできっちり三つ編みしている。瞳の色も髪と同系色のキリッとした顔のイケメンだ。

口々にそう言いながらついでとばかりに自己紹介もしてくれた精霊王達だったので各々を把握できたが───。

・・・・・・精霊っていうくらいだから精霊のトップってコトだよね? 会社で例えたら社長とか会長クラス? この世界でいったら一国の王様くらい?

そんな偉そうな精霊達がこんなとこでこんなことしてていいの?

何とかナハト達を見れば唖然としていたから、コレは大丈夫な案件じゃないんだな。普通じゃないんだなと悟った。

そんな七人に押し合いへし合いされた僕は、我に返ったナハトに救出されるまでのほんの数分ほどでキャパオーバーになった。
元々パーソナルスペース狭いからね。ストレスもあると思う。

そのあと気を失って、鍛錬場の隅に設置されている休憩所のベンチでナハトに膝枕されて横になって休んでいたらしかった。

うん。
目が覚めたらそういう体勢だったので察したよね?

まあ、ともかく。
これで精霊魔法とか普通の魔法とか色々使えるようになるのかなぁ?

───ところで・・・・・・。

さっき、精霊王達から色々と気になる言葉が聞こえたような気がしたんだけど、どういうことかな?

自分の能力の確認よりもソッチの確認が必要っぽくない?









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