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37 地下鍛錬場での確認作業 3
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僕達の視界の先にはボコボコの地面と壁。
コレってどうすれば・・・・・・?
「あのー、修理? って・・・・・・」
僕が小さい声でエアリアルに尋ねると、彼は苦笑しながら応えた。
「ひとまずこのまま、かな? どうせこのあとまだ確認作業あるんでしょ?」
「あ、うん。魔法自体使ったことなくて。ハンドガンはまあ、魔力込めれば撃てるからいいんだけど、飛距離とか威力も確認したい」
「───魔法、使ったことないのか?」
「うん。使う環境じゃなかったし使い方知らないし、大抵はハンドガンと体術で事足りるし?」
使う環境というか、魔法なんてない世界だったもんな。
そう思って言ったんだけど、ナハト達は何やら深刻な顔で黙ってしまった。
うーん、空気がちょっと重いぞ。
「───ねえ、魔法の基礎、教えてくれる? あっそうだ! 洗浄魔法とか生活必需品な魔法教えて欲しいな。凄く便利そう!」
「え、ああ、そうだな。まずは基本中の基本か。えと、ハンドガンは魔力で撃てるんだよな?」
空気を変えるために思い付きで言ったけど、実際、ちゃんと教わりたかったからちょうどいいや。
そう思って言ったらナハト達が食いついたので内心ホッとする。
「うん、ハンドガンは弾を込めるイメージで魔力を撃ち出す感じかな?」
「じゃあ魔力操作は大丈夫そうだな。そうすると、魔法の方はやはりエアリアルが一番得意だな。特にエルフ系は精霊魔法が主だから」
「・・・・・・精霊、魔法? ソレって普通の魔法とは違うの?」
そういえば小説とかでもエルフ系は精霊の力を借りる魔法がどうとかっていう設定があったかも。
そうすると僕はハイエルフってことだから通常はその精霊魔法を使うってことなのかな?
「そうだね、まずはソコから教えようか。この世界には基本的に魔法の素となる魔力が大気中に存在していて、ソレを主に生み出す存在が精霊なんだよ」
そうエアリアルが教えてくれる。なるほど。
「その、精霊って見えるの?」
「普通は視えないよ。ただ私みたいな精霊族やユラ君みたいなエルフ系は大概の者が視ることが出来る。稀に視えない者もいるけどね」
「あと、龍人族である私も視えるよー」
エアリアルに続いてまさかのダオラの視える発言に、ナハトも張り合うように告げた。
「ちなみに俺も視られる。・・・・・・ちょっと特殊な存在だからな」
別にナハトが見えなくても僕はガッカリしないけど、ふふんという感じのドヤ顔にちょっと笑った。エアリアル達も苦笑している。
───うん? あれ? エアリアル達の言葉を聞いていると、ニュアンス的に『見る』じゃなくて『視る』方が正しいのかな?
何か目に映るというよりしっかり視るって感じ?
「ユラ君はハイエルフと自覚したのが昨日だから慣れていないだけで、ちょっと注視すれば視えるはずだよ」
やっぱりそうなんだ。
そして急きょ始まった魔法講座。講師は三人。
「魔力って、基本的に大気中のを身体に取り入れたり食べ物で補ったり、あとは自分の体内に魔力を生み出す魔臓器があって自力で作ったりしてる」
そう教えてくれたのはエアリアル先生。
「でも取り入れたり生み出す量は個人で違うし、魔法の得手不得手もあるんだよねぇ」
コレはダオラ先生。
「何種類も使えたり、逆に一つも使えない人もいる」
そしてナハト先生。勝手に先生って呼んでる。
「精霊魔法は魔法とは違う括りで、精霊族やエルフ系の種族の固有スキルなんだよ。そのスキルがないと使えないんだ」
へー、固有スキルなんだ。
エアリアル達が教えてくれるってことは僕もたぶんそのスキルを持ってるんだよね? じゃないと使えないんだよね?
「まあ精霊との相性もあるけど、大なり小なり精霊の力を借りて発動するモノを精霊魔法と呼ぶわけ」
「通常の魔法に輪をかけて威力が増したり、魔法単体では使えない属性の魔法も使えたりするんだ」
ほー。威力マシマシ以外に普通なら使えない属性の魔法も使えるの? ソレってかなりのチートじゃねえ?
「例えば、私は火の魔法は苦手で生活魔法として使えるくらいの小さいモノなんだけど───視ててごらん?」
そう言うとエアリアルはおもむろに詠唱を始めた。
「『源なる炎の精霊よ、我に力を貸したまえ。ファイアボール』」
そう言うとバスケットボールくらいの火の玉がエアリアルの差し出した右手の掌の上に浮かび上がった。
「これは炎の精霊にブーストして貰ったファイアボールね。ただの魔法だけだと指先に炎が灯るくらいだよ。ちなみにコツを掴めば無詠唱で使える」
今のは見本で唱えたけどね、とそう言って魔法をキャンセルして消した。ほうほう、無詠唱に魔法のキャンセルね。
厨二病くさくて無詠唱でやろうと誓っていたからちょうどいいや。
それにしても───。
「・・・・・・凄い、凄いね! 僕も出来るようになる!?」
年甲斐もなく───っていうほど歳はとってないけど、ワクワクしてはしゃいでしまった。
え? 最初に聖域で確認しただろうって?
アレは属性を確認するのにちょこっとやっただけだから! そもそもエアリアルの言う精霊魔法じゃなくてただの魔法だったし、こんな大きな魔法だって使わなかったし。
「出来るはずだよ。まあ、まずは精霊の姿を視ることからだけどね。視えたら色々教えてあげるね」
魔法を習いたての幼子を見守るような眼差しで微笑まれたが、そんなこと気にならないくらい浮かれてた。
「───っ頑張る!」
そう意気込んで何となく目に力を込めるようにして視たら───。
・・・・・・何か、目の前に八頭身美人がたくさんいるのが視えるんだけど───!?
コレってどうすれば・・・・・・?
「あのー、修理? って・・・・・・」
僕が小さい声でエアリアルに尋ねると、彼は苦笑しながら応えた。
「ひとまずこのまま、かな? どうせこのあとまだ確認作業あるんでしょ?」
「あ、うん。魔法自体使ったことなくて。ハンドガンはまあ、魔力込めれば撃てるからいいんだけど、飛距離とか威力も確認したい」
「───魔法、使ったことないのか?」
「うん。使う環境じゃなかったし使い方知らないし、大抵はハンドガンと体術で事足りるし?」
使う環境というか、魔法なんてない世界だったもんな。
そう思って言ったんだけど、ナハト達は何やら深刻な顔で黙ってしまった。
うーん、空気がちょっと重いぞ。
「───ねえ、魔法の基礎、教えてくれる? あっそうだ! 洗浄魔法とか生活必需品な魔法教えて欲しいな。凄く便利そう!」
「え、ああ、そうだな。まずは基本中の基本か。えと、ハンドガンは魔力で撃てるんだよな?」
空気を変えるために思い付きで言ったけど、実際、ちゃんと教わりたかったからちょうどいいや。
そう思って言ったらナハト達が食いついたので内心ホッとする。
「うん、ハンドガンは弾を込めるイメージで魔力を撃ち出す感じかな?」
「じゃあ魔力操作は大丈夫そうだな。そうすると、魔法の方はやはりエアリアルが一番得意だな。特にエルフ系は精霊魔法が主だから」
「・・・・・・精霊、魔法? ソレって普通の魔法とは違うの?」
そういえば小説とかでもエルフ系は精霊の力を借りる魔法がどうとかっていう設定があったかも。
そうすると僕はハイエルフってことだから通常はその精霊魔法を使うってことなのかな?
「そうだね、まずはソコから教えようか。この世界には基本的に魔法の素となる魔力が大気中に存在していて、ソレを主に生み出す存在が精霊なんだよ」
そうエアリアルが教えてくれる。なるほど。
「その、精霊って見えるの?」
「普通は視えないよ。ただ私みたいな精霊族やユラ君みたいなエルフ系は大概の者が視ることが出来る。稀に視えない者もいるけどね」
「あと、龍人族である私も視えるよー」
エアリアルに続いてまさかのダオラの視える発言に、ナハトも張り合うように告げた。
「ちなみに俺も視られる。・・・・・・ちょっと特殊な存在だからな」
別にナハトが見えなくても僕はガッカリしないけど、ふふんという感じのドヤ顔にちょっと笑った。エアリアル達も苦笑している。
───うん? あれ? エアリアル達の言葉を聞いていると、ニュアンス的に『見る』じゃなくて『視る』方が正しいのかな?
何か目に映るというよりしっかり視るって感じ?
「ユラ君はハイエルフと自覚したのが昨日だから慣れていないだけで、ちょっと注視すれば視えるはずだよ」
やっぱりそうなんだ。
そして急きょ始まった魔法講座。講師は三人。
「魔力って、基本的に大気中のを身体に取り入れたり食べ物で補ったり、あとは自分の体内に魔力を生み出す魔臓器があって自力で作ったりしてる」
そう教えてくれたのはエアリアル先生。
「でも取り入れたり生み出す量は個人で違うし、魔法の得手不得手もあるんだよねぇ」
コレはダオラ先生。
「何種類も使えたり、逆に一つも使えない人もいる」
そしてナハト先生。勝手に先生って呼んでる。
「精霊魔法は魔法とは違う括りで、精霊族やエルフ系の種族の固有スキルなんだよ。そのスキルがないと使えないんだ」
へー、固有スキルなんだ。
エアリアル達が教えてくれるってことは僕もたぶんそのスキルを持ってるんだよね? じゃないと使えないんだよね?
「まあ精霊との相性もあるけど、大なり小なり精霊の力を借りて発動するモノを精霊魔法と呼ぶわけ」
「通常の魔法に輪をかけて威力が増したり、魔法単体では使えない属性の魔法も使えたりするんだ」
ほー。威力マシマシ以外に普通なら使えない属性の魔法も使えるの? ソレってかなりのチートじゃねえ?
「例えば、私は火の魔法は苦手で生活魔法として使えるくらいの小さいモノなんだけど───視ててごらん?」
そう言うとエアリアルはおもむろに詠唱を始めた。
「『源なる炎の精霊よ、我に力を貸したまえ。ファイアボール』」
そう言うとバスケットボールくらいの火の玉がエアリアルの差し出した右手の掌の上に浮かび上がった。
「これは炎の精霊にブーストして貰ったファイアボールね。ただの魔法だけだと指先に炎が灯るくらいだよ。ちなみにコツを掴めば無詠唱で使える」
今のは見本で唱えたけどね、とそう言って魔法をキャンセルして消した。ほうほう、無詠唱に魔法のキャンセルね。
厨二病くさくて無詠唱でやろうと誓っていたからちょうどいいや。
それにしても───。
「・・・・・・凄い、凄いね! 僕も出来るようになる!?」
年甲斐もなく───っていうほど歳はとってないけど、ワクワクしてはしゃいでしまった。
え? 最初に聖域で確認しただろうって?
アレは属性を確認するのにちょこっとやっただけだから! そもそもエアリアルの言う精霊魔法じゃなくてただの魔法だったし、こんな大きな魔法だって使わなかったし。
「出来るはずだよ。まあ、まずは精霊の姿を視ることからだけどね。視えたら色々教えてあげるね」
魔法を習いたての幼子を見守るような眼差しで微笑まれたが、そんなこと気にならないくらい浮かれてた。
「───っ頑張る!」
そう意気込んで何となく目に力を込めるようにして視たら───。
・・・・・・何か、目の前に八頭身美人がたくさんいるのが視えるんだけど───!?
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