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33 過保護なラヴァのお宅訪問
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食事を終え、食器を片付けていると玄関の扉をコンコンとノックする音がした。
「この気配は昨日の、ラヴァだよね?」
「ああ。こんな朝から何の用だ?」
怪訝そうに玄関に向かうナハトに苦笑しながら思う。
───たぶん魔力回復行為の件で心配したんじゃないかなぁ?
昨日のラヴァとの会話を思い出す。
ヤった今なら分かるが、魔力不足の解消にはヤるのが一番手っ取り早いんだろう。
僕は知らなかったが、ソレがココでの常識なら番いだという僕の魔力回復にナハトがヤりまくることは想像に難くない。
更に僕はハイエルフでひょろいし、ココでは子供並みに小柄だから心配したんだろうな。ラヴァは普通にいい人っぽかったし。
それに実際、僕じゃなかったら体力的にも精神的にも壊れてヤバかったと思う。
マジ、アレはヤバかった。
つくづく今までの環境に感謝するよ。めちゃくちゃ不本意だけど。
「よう、おはよう」
「おはよう、ラヴァ。どうしたんだ、こんな朝から」
「あー、いやその・・・・・・ユラは大丈夫か?」
片付けを終えて玄関に向かうとそんな会話が聞こえてきて、ああやっぱり、と思った。
「大丈夫だよ、一応生きてる」
「! ユラ! よかった。ナハトに抱き潰されてるかと───」
「あー、まあ、ソレに近い状態にはなったかな。でも僕、こう見えて鍛えてるんで」
ひょこっと顔を見せてそう言って、袖を捲って細いけど筋肉質な腕を見せた。最初、割れた腹筋を見せようかと思ったけど、ソレはアカンと第六感が告げたので止めた。
「・・・・・・へえ、意外」
「うん、そう? 一応、昨日冒険者登録してCランクスタートしてるから心配ないよ」
「───え!? スタート時にCランクって、エアリアルの許可がいるやつ・・・・・・。ユラって何者?」
「え? ・・・・・・うーん・・・・・・昨日自分の種族
を知ったばかりのハイエルフ初心者?」
「・・・・・・はぁ?」
他に言いようがないよね? まさか裏家業の暗部の仕事してました、とは言えないし。
そういうわけで真実で一番無難なことを言っておこう。
「・・・・・・まあ、そんなところだ」
ヨシ、ナハトも口裏を合わせてくれたのでソレで押し通そう。うん。
「何か訳ありっぽいとは思ったが・・・・・・まあいい。エアリアル達にも様子を見てきてくれって言われたから来ただけだ。無事ならいいんだ。邪魔したな」
「ううん、ありがとう。仕事明けでしょ? おやすみラヴァ」
「おお、おやすみ。じゃあなユラ、ナハト」
「ああ、おやすみ」
どうやらエアリアル達にも気を使われたみたいだ。このあと冒険者ギルドに行こうと思ってたから顔を見せておこう。
「ねえ、ナハト。昨日決闘に使った冒険者ギルドの地下の鍛錬場って、いつでも使えるの?」
「ん? ああ、基本的には一日中開いてて使える。たまに昨日みたいに貸切になることもあるが、そのときは普通は事前に予約がある」
「そっか。じゃあちょっと色々と確認したいから、コレから一緒に行ってくれる?」
ハンドガンもそうだし組み手もやりたいし、魔法もちょっと使ってみたい。街の外でもいいけど、加減とか間違えると環境破壊しそうな予感がするんだよねぇ。
「そうだな。俺もユラがどれくらい動けるのか確認したいからちょうどいい」
「そうと決まれば善は急げ! サッサと支度してさあ行こうもう行こう!」
「ふはっ、元気だな、ユラ」
だって昨日は全然動かなかったしこっちに来てからの力加減がよく分からないから、限界値を把握しておかないと特に咄嗟のときに困る。
向こうよりもコッチの世界の方が死と隣り合わせだと思うから。
───決闘のことをふと思い出し、そういえばアイツらって今どうしてるんだろうって思ったけど、知ったことじゃないなと思考のスミに追いやった。
もう顔を会わせなくていいなら、それでいい。
僕とナハトを脅かさなければ構わない。
「この気配は昨日の、ラヴァだよね?」
「ああ。こんな朝から何の用だ?」
怪訝そうに玄関に向かうナハトに苦笑しながら思う。
───たぶん魔力回復行為の件で心配したんじゃないかなぁ?
昨日のラヴァとの会話を思い出す。
ヤった今なら分かるが、魔力不足の解消にはヤるのが一番手っ取り早いんだろう。
僕は知らなかったが、ソレがココでの常識なら番いだという僕の魔力回復にナハトがヤりまくることは想像に難くない。
更に僕はハイエルフでひょろいし、ココでは子供並みに小柄だから心配したんだろうな。ラヴァは普通にいい人っぽかったし。
それに実際、僕じゃなかったら体力的にも精神的にも壊れてヤバかったと思う。
マジ、アレはヤバかった。
つくづく今までの環境に感謝するよ。めちゃくちゃ不本意だけど。
「よう、おはよう」
「おはよう、ラヴァ。どうしたんだ、こんな朝から」
「あー、いやその・・・・・・ユラは大丈夫か?」
片付けを終えて玄関に向かうとそんな会話が聞こえてきて、ああやっぱり、と思った。
「大丈夫だよ、一応生きてる」
「! ユラ! よかった。ナハトに抱き潰されてるかと───」
「あー、まあ、ソレに近い状態にはなったかな。でも僕、こう見えて鍛えてるんで」
ひょこっと顔を見せてそう言って、袖を捲って細いけど筋肉質な腕を見せた。最初、割れた腹筋を見せようかと思ったけど、ソレはアカンと第六感が告げたので止めた。
「・・・・・・へえ、意外」
「うん、そう? 一応、昨日冒険者登録してCランクスタートしてるから心配ないよ」
「───え!? スタート時にCランクって、エアリアルの許可がいるやつ・・・・・・。ユラって何者?」
「え? ・・・・・・うーん・・・・・・昨日自分の種族
を知ったばかりのハイエルフ初心者?」
「・・・・・・はぁ?」
他に言いようがないよね? まさか裏家業の暗部の仕事してました、とは言えないし。
そういうわけで真実で一番無難なことを言っておこう。
「・・・・・・まあ、そんなところだ」
ヨシ、ナハトも口裏を合わせてくれたのでソレで押し通そう。うん。
「何か訳ありっぽいとは思ったが・・・・・・まあいい。エアリアル達にも様子を見てきてくれって言われたから来ただけだ。無事ならいいんだ。邪魔したな」
「ううん、ありがとう。仕事明けでしょ? おやすみラヴァ」
「おお、おやすみ。じゃあなユラ、ナハト」
「ああ、おやすみ」
どうやらエアリアル達にも気を使われたみたいだ。このあと冒険者ギルドに行こうと思ってたから顔を見せておこう。
「ねえ、ナハト。昨日決闘に使った冒険者ギルドの地下の鍛錬場って、いつでも使えるの?」
「ん? ああ、基本的には一日中開いてて使える。たまに昨日みたいに貸切になることもあるが、そのときは普通は事前に予約がある」
「そっか。じゃあちょっと色々と確認したいから、コレから一緒に行ってくれる?」
ハンドガンもそうだし組み手もやりたいし、魔法もちょっと使ってみたい。街の外でもいいけど、加減とか間違えると環境破壊しそうな予感がするんだよねぇ。
「そうだな。俺もユラがどれくらい動けるのか確認したいからちょうどいい」
「そうと決まれば善は急げ! サッサと支度してさあ行こうもう行こう!」
「ふはっ、元気だな、ユラ」
だって昨日は全然動かなかったしこっちに来てからの力加減がよく分からないから、限界値を把握しておかないと特に咄嗟のときに困る。
向こうよりもコッチの世界の方が死と隣り合わせだと思うから。
───決闘のことをふと思い出し、そういえばアイツらって今どうしてるんだろうって思ったけど、知ったことじゃないなと思考のスミに追いやった。
もう顔を会わせなくていいなら、それでいい。
僕とナハトを脅かさなければ構わない。
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