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27 僕ってやっぱり子供扱いだったらしい
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「ハイエルフの国は確か東の大陸にかつてあったと聞いたぞ。俺が生まれる少し前だ」
そう言うラヴァに驚く。
その国って、もしかしなくても『ウィステリア国』だよね? 亡国ってあったし・・・・・・。
しかしそんな数百年も前の国なんだ、ウィステリア国って。そんな国と僕が関わり合いがあるらしいって信じられないけどなぁ・・・・・・。
───で、そんな国の話を割と最近のように話すラヴァは一体何歳なんだろう?
「あの、ラヴァって、今いくつなの?」
「あ? 俺は三五〇をとうに過ぎたな。数えるのも億劫で、冒険者ギルドのタグでたまに確認してるが」
「へ? 三五〇・・・・・・? ええと、鬼人族ってどのくらい長生きなの?」
僕は想像以上に桁の違う年齢に唖然としてそう聞いたら、ラヴァは当たり前のように応えてくれた。
「鬼人族は大体一〇〇〇年くらいかな。エルフだと三〇〇〇年、ハイエルフは五〇〇〇年以上と聞くが」
「───マジ!?」
この世界、皆、長生きしすぎてない? そんなに生きてどうするんだ?
「ちなみに一番短命な人族は二〇〇から三〇〇くらいだぞ」
「ええ? それでも十分長生きだよ。じゃあまだ二〇歳の僕って子供みたいなもんじゃん」
「え、まだ二〇歳なのか!? そりゃあ俺達からしたら十分子供って言えるな」
うわあ、見た目だけじゃなくてナハト達からしたらマジで赤ちゃん扱いの年齢なんだ。
一応成人扱いだけど、この世界の常識に合わせればそりゃあ心配にもなるかぁ。
───あれ? てことは、僕は最低でも五〇〇〇年は生きるってこと?
それをもし今後独りで生きることになんかなったら───。
「───独りでそんなに生きてたら気が狂いそう」
僕はどんよりした気持ちになってしまって、食べる手を止めてしまった。
「ユラ、俺がいるだろう? ずっと側にいるって言っただろう?」
「───でも、ナハトがどんな種族か、どれくらい生きるのか、僕は知らない。聞いてない」
もし僕が置いていかれる方だったら?
考えるだけで胸が締め付けられる、この感情は───。
僕はどれほど酷い顔をしていたんだろう?
ナハトが僕の頭をぽんと撫ぜた。顔をあげると、微笑むナハトがいた。
「俺がいる」
「大丈夫だ、ユラ。ナハトならユラとずっと一緒にいられる。それだけは保障するよ」
「・・・・・・ラヴァ」
ナハトの言葉を頷いて肯定するラヴァに、僕はいつの間にか止めていた息を吐き出す。
「まぁ、それも含めて帰ったら教えるから心配するな。ほら、冷めないうちに食べてしまえ」
「ぅ、ん」
理由は分からないけどナハトの古い友人っぽいラヴァも笑ってそう言うし、ナハトもあとで教えてくれるっていうなら、そのときに纏めて全部聞こう。
そう思って食事を再開した。うん、気が軽くなったからかちゃんと美味しく感じられた。
「ご馳走様でした。美味しかった!」
「お粗末様。今日はアレだったが、今度は夜の営業時間中にでもナハトと呑みにおいで」
「ありがとう。来られたらまた来るね」
「世話になった」
そう言ってナハトがギルドタグをタッチ決済用の魔導具にかざして料金を支払っていた。
「おお、コレが例の支払いの仕方なんだ」
「見たの初めてか?」
ラヴァが興味津々の僕に簡単に説明してくれる。地球の機械みたいにかざすだけでタグを識別してギルドの銀行に情報送信されるんだって。
店側は月末に纏めて売り上げが銀行経由で口座に振り込まれるそうだ。
「こういう店は基本的に月末一括払いだが、店側や客の都合で即時支払いも選べる」
「ふむふむ」
「あとは口座に残金がないと当然引き落とし出来ない。金額によっては借金奴隷になるから気を付けろよ。残金も自分ならタグで確認できるからな」
「うええ・・・・・・借金・・・・・・うん。そもそも使う云々の前に無一文だから出来ないんだけどね」
苦笑してそう言うと、頑張って稼げよと言われた。
「まぁ、ナハトが養ってくれるから別に頑張らなくてもいいと思うけどな」
「いや、『働かざる者食うべからず』という言葉があるんで!」
タダより高いものはナシ。
「ふーん。いい心がけだ(ナハトがそうさせてくれるかは分からないが)」
そう言って僕の頭をポンポンと撫ぜるラヴァの手を叩き落とすナハト。あれ、似たようなやり取りを冒険者ギルドでもやったような・・・・・・?
仲良しグループあるある?
「邪魔したな」
「お邪魔しました」
「おう、またな」
手をひらひらと振るラヴァと別れて、今度は食材と調理道具を買いに行く。そして安定の縦抱っこ移動。
行く先々で僕の紹介をし、睨んでくる老若男女───主に若い女や可愛い男の視線を交わし、三時のおやつの頃にようやくナハトの家に戻ったのだった。
いやあ、疲れたー。主に精神的に。
そう言うラヴァに驚く。
その国って、もしかしなくても『ウィステリア国』だよね? 亡国ってあったし・・・・・・。
しかしそんな数百年も前の国なんだ、ウィステリア国って。そんな国と僕が関わり合いがあるらしいって信じられないけどなぁ・・・・・・。
───で、そんな国の話を割と最近のように話すラヴァは一体何歳なんだろう?
「あの、ラヴァって、今いくつなの?」
「あ? 俺は三五〇をとうに過ぎたな。数えるのも億劫で、冒険者ギルドのタグでたまに確認してるが」
「へ? 三五〇・・・・・・? ええと、鬼人族ってどのくらい長生きなの?」
僕は想像以上に桁の違う年齢に唖然としてそう聞いたら、ラヴァは当たり前のように応えてくれた。
「鬼人族は大体一〇〇〇年くらいかな。エルフだと三〇〇〇年、ハイエルフは五〇〇〇年以上と聞くが」
「───マジ!?」
この世界、皆、長生きしすぎてない? そんなに生きてどうするんだ?
「ちなみに一番短命な人族は二〇〇から三〇〇くらいだぞ」
「ええ? それでも十分長生きだよ。じゃあまだ二〇歳の僕って子供みたいなもんじゃん」
「え、まだ二〇歳なのか!? そりゃあ俺達からしたら十分子供って言えるな」
うわあ、見た目だけじゃなくてナハト達からしたらマジで赤ちゃん扱いの年齢なんだ。
一応成人扱いだけど、この世界の常識に合わせればそりゃあ心配にもなるかぁ。
───あれ? てことは、僕は最低でも五〇〇〇年は生きるってこと?
それをもし今後独りで生きることになんかなったら───。
「───独りでそんなに生きてたら気が狂いそう」
僕はどんよりした気持ちになってしまって、食べる手を止めてしまった。
「ユラ、俺がいるだろう? ずっと側にいるって言っただろう?」
「───でも、ナハトがどんな種族か、どれくらい生きるのか、僕は知らない。聞いてない」
もし僕が置いていかれる方だったら?
考えるだけで胸が締め付けられる、この感情は───。
僕はどれほど酷い顔をしていたんだろう?
ナハトが僕の頭をぽんと撫ぜた。顔をあげると、微笑むナハトがいた。
「俺がいる」
「大丈夫だ、ユラ。ナハトならユラとずっと一緒にいられる。それだけは保障するよ」
「・・・・・・ラヴァ」
ナハトの言葉を頷いて肯定するラヴァに、僕はいつの間にか止めていた息を吐き出す。
「まぁ、それも含めて帰ったら教えるから心配するな。ほら、冷めないうちに食べてしまえ」
「ぅ、ん」
理由は分からないけどナハトの古い友人っぽいラヴァも笑ってそう言うし、ナハトもあとで教えてくれるっていうなら、そのときに纏めて全部聞こう。
そう思って食事を再開した。うん、気が軽くなったからかちゃんと美味しく感じられた。
「ご馳走様でした。美味しかった!」
「お粗末様。今日はアレだったが、今度は夜の営業時間中にでもナハトと呑みにおいで」
「ありがとう。来られたらまた来るね」
「世話になった」
そう言ってナハトがギルドタグをタッチ決済用の魔導具にかざして料金を支払っていた。
「おお、コレが例の支払いの仕方なんだ」
「見たの初めてか?」
ラヴァが興味津々の僕に簡単に説明してくれる。地球の機械みたいにかざすだけでタグを識別してギルドの銀行に情報送信されるんだって。
店側は月末に纏めて売り上げが銀行経由で口座に振り込まれるそうだ。
「こういう店は基本的に月末一括払いだが、店側や客の都合で即時支払いも選べる」
「ふむふむ」
「あとは口座に残金がないと当然引き落とし出来ない。金額によっては借金奴隷になるから気を付けろよ。残金も自分ならタグで確認できるからな」
「うええ・・・・・・借金・・・・・・うん。そもそも使う云々の前に無一文だから出来ないんだけどね」
苦笑してそう言うと、頑張って稼げよと言われた。
「まぁ、ナハトが養ってくれるから別に頑張らなくてもいいと思うけどな」
「いや、『働かざる者食うべからず』という言葉があるんで!」
タダより高いものはナシ。
「ふーん。いい心がけだ(ナハトがそうさせてくれるかは分からないが)」
そう言って僕の頭をポンポンと撫ぜるラヴァの手を叩き落とすナハト。あれ、似たようなやり取りを冒険者ギルドでもやったような・・・・・・?
仲良しグループあるある?
「邪魔したな」
「お邪魔しました」
「おう、またな」
手をひらひらと振るラヴァと別れて、今度は食材と調理道具を買いに行く。そして安定の縦抱っこ移動。
行く先々で僕の紹介をし、睨んでくる老若男女───主に若い女や可愛い男の視線を交わし、三時のおやつの頃にようやくナハトの家に戻ったのだった。
いやあ、疲れたー。主に精神的に。
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