23 / 25
23 腹を括って王都ヘ行こう
しおりを挟む桜雅とベオウルフが無事に番った翌日の昼。
ユールングとファティマがベオウルフの部屋にやって来た。
「で? ちゃんと番えたね?」
「桜雅、うなじ見せて。・・・・・・うん、ちゃんと咬み痕付いてる。しかし・・・・・・うわあ、マーキングが凄いね」
ユールングとファティマに確認をされた俺は、めちゃくちゃ恥ずかしくて両手で顔を覆った。
だってそれって、つまり、ベオウルフと致したってバレバレってことでしょ!?
「うん、人族はそういうの疎いけど他の種族にはガッツリバレバレだね。いい牽制になるよ」
ユールングはほのほの笑ってそう言った。
ファティマもうんうん頷く。
「これであのバカ王様も手が出せないだろう。でもまあ、それでもたぶん一定期間は城に留め置かれるね」
「・・・・・・それってやっぱり飽きるまでってこと? ベオウルフと離れて暮らすの?」
せっかく番ったのに? そもそも俺の御飯が・・・・・・。いや言い方が悪いが・・・・・・。
「いや、期間は短縮されると思うし一緒に住まわせてくれるだろう。番い同士を引き離さないはず。ユールングも進言するよね? す・る・よ・ね?」
「もちろん。同じ部屋にして貰って、呼ばれたら二人一緒で行動できるようにするよ」
ファティマがそう言ってユールングにも脅すように言った。
ユールングは相変わらず胡散臭い笑顔で応えていたが。
「・・・・・・でも、俺、基本吸血鬼だから昼間はたぶん寝てるし、お日様があると出歩けないよ? 何か王様の役に立つの?」
今の俺は死ににくいだけでとっても非力ですが?
「まあアレはお子ちゃまだから。新しい玩具を手に入れたくて騒いで、手に入れたら満足して飽きるタイプなんで役に立つとかいうのは問題じゃない」
「・・・・・・うっわ、大人なのにソレって、この国、大丈夫なの?」
ファティマの言葉に俺は引いた。
ナニソレ、トップが嫌すぎる!
「周りが優秀だから。・・・・・・ま、アレでも陛下も優秀なんだよ」
「・・・・・・酷い言い草ですね」
「事実だから」
そしてユールングも歯に衣着せぬ言葉でサラッと毒を吐く。
いくら甥っ子といっても不敬じゃないのか?
まあ、俺には政治のことはわからないけど。
「ともかく、明日の朝イチで出発しようか。荷物は最低限で大丈夫。向こうで必要なものは全部陛下のポケットマネーで揃えるから」
「・・・・・・うわお・・・・・・でもまあ、個人的なことに国民の血税を使っちゃダメだよね。そこは常識的でよかった」
「そう言う桜雅も常識的で助かるよ。中には『自分は選ばれた凄いヤツだ!』って傍若無人に振る舞う輩も多いから」
「───ああ。いるんだ、そういう人・・・・・・」
まあ、急に王様に引き立てられたらそうなるよね。王様、絶対にそういうの考えてないよね? ファティマの言うことがよく分かるわ。
「じゃあベオウルフは引き継ぎとかやって来て。桜雅も食堂の厨房に挨拶しに行く?」
「うん、しばらく帰れなさそうなら挨拶していこう。せっかく仕事見つけたのに・・・・・・」
「またすぐに戻れるよ」
「だといいんだけどね」
そうしてわたわたと準備を進めて、翌朝、ユールングの背中に乗って王都へ向かった。
大事なことなのでもう一度言う。
ユールングの背中に乗って行った。
竜人は本物の西洋型の竜になれるんだそうだ。
マジ、ビビりました。
目の前に10メートルくらいのサイズの綺麗なドラゴンがいて、ユールングの声で(というか念話?で)話しかけられたから、えっ!? ってなった。
ちなみに俺は朝日が昇る前にしっかりとローブで全身を覆って日の光を避けてます。
真っ昼間の陽光じゃなければチリチリするくらいで済むので、問題ない。
ソレに竜だと馬車で一日かかる王都まで僅か三時間・・・・・・。
どんだけ速いの、と戦々恐々とした。
こんな感じであっという間に王都の王城の拓けた場所に到着したのだった。
※お待たせ致しております。
亀更新でぼちぼち。たまに更新します。
でも忙しいので、のんびりお待ち下さいませ。
435
お気に入りに追加
551
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!

王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる