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23 腹を括って王都ヘ行こう
しおりを挟む桜雅とベオウルフが無事に番った翌日の昼。
ユールングとファティマがベオウルフの部屋にやって来た。
「で? ちゃんと番えたね?」
「桜雅、うなじ見せて。・・・・・・うん、ちゃんと咬み痕付いてる。しかし・・・・・・うわあ、マーキングが凄いね」
ユールングとファティマに確認をされた俺は、めちゃくちゃ恥ずかしくて両手で顔を覆った。
だってそれって、つまり、ベオウルフと致したってバレバレってことでしょ!?
「うん、人族はそういうの疎いけど他の種族にはガッツリバレバレだね。いい牽制になるよ」
ユールングはほのほの笑ってそう言った。
ファティマもうんうん頷く。
「これであのバカ王様も手が出せないだろう。でもまあ、それでもたぶん一定期間は城に留め置かれるね」
「・・・・・・それってやっぱり飽きるまでってこと? ベオウルフと離れて暮らすの?」
せっかく番ったのに? そもそも俺の御飯が・・・・・・。いや言い方が悪いが・・・・・・。
「いや、期間は短縮されると思うし一緒に住まわせてくれるだろう。番い同士を引き離さないはず。ユールングも進言するよね? す・る・よ・ね?」
「もちろん。同じ部屋にして貰って、呼ばれたら二人一緒で行動できるようにするよ」
ファティマがそう言ってユールングにも脅すように言った。
ユールングは相変わらず胡散臭い笑顔で応えていたが。
「・・・・・・でも、俺、基本吸血鬼だから昼間はたぶん寝てるし、お日様があると出歩けないよ? 何か王様の役に立つの?」
今の俺は死ににくいだけでとっても非力ですが?
「まあアレはお子ちゃまだから。新しい玩具を手に入れたくて騒いで、手に入れたら満足して飽きるタイプなんで役に立つとかいうのは問題じゃない」
「・・・・・・うっわ、大人なのにソレって、この国、大丈夫なの?」
ファティマの言葉に俺は引いた。
ナニソレ、トップが嫌すぎる!
「周りが優秀だから。・・・・・・ま、アレでも陛下も優秀なんだよ」
「・・・・・・酷い言い草ですね」
「事実だから」
そしてユールングも歯に衣着せぬ言葉でサラッと毒を吐く。
いくら甥っ子といっても不敬じゃないのか?
まあ、俺には政治のことはわからないけど。
「ともかく、明日の朝イチで出発しようか。荷物は最低限で大丈夫。向こうで必要なものは全部陛下のポケットマネーで揃えるから」
「・・・・・・うわお・・・・・・でもまあ、個人的なことに国民の血税を使っちゃダメだよね。そこは常識的でよかった」
「そう言う桜雅も常識的で助かるよ。中には『自分は選ばれた凄いヤツだ!』って傍若無人に振る舞う輩も多いから」
「───ああ。いるんだ、そういう人・・・・・・」
まあ、急に王様に引き立てられたらそうなるよね。王様、絶対にそういうの考えてないよね? ファティマの言うことがよく分かるわ。
「じゃあベオウルフは引き継ぎとかやって来て。桜雅も食堂の厨房に挨拶しに行く?」
「うん、しばらく帰れなさそうなら挨拶していこう。せっかく仕事見つけたのに・・・・・・」
「またすぐに戻れるよ」
「だといいんだけどね」
そうしてわたわたと準備を進めて、翌朝、ユールングの背中に乗って王都へ向かった。
大事なことなのでもう一度言う。
ユールングの背中に乗って行った。
竜人は本物の西洋型の竜になれるんだそうだ。
マジ、ビビりました。
目の前に10メートルくらいのサイズの綺麗なドラゴンがいて、ユールングの声で(というか念話?で)話しかけられたから、えっ!? ってなった。
ちなみに俺は朝日が昇る前にしっかりとローブで全身を覆って日の光を避けてます。
真っ昼間の陽光じゃなければチリチリするくらいで済むので、問題ない。
ソレに竜だと馬車で一日かかる王都まで僅か三時間・・・・・・。
どんだけ速いの、と戦々恐々とした。
こんな感じであっという間に王都の王城の拓けた場所に到着したのだった。
※お待たせ致しております。
亀更新でぼちぼち。たまに更新します。
でも忙しいので、のんびりお待ち下さいませ。
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