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21 王都に行くのは決定事項らしい
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※久しぶり過ぎて人物名間違えてました。医療部長トーイをトーマと誤字ってました。正しくはトーイです。スミマセン。修正しました。
「───悪かったな」
ユールングとファティマが舌戦を繰り広げるのを横目にベオウルフが桜雅に謝罪してきた。
「え? なにが?」
「いや・・・保護したことを一応規則に則って上に報告してたから、面倒な事に・・・」
「ええ? いやそれは大事な事でしょ? 俺だってそうするよ。明らかに俺、怪しいもんね」
だから国の一番偉い人が警戒するのは当然でしょ?
「・・・・・・いや・・・ソッチの心配じゃなくてだな」
「?」
「・・・あのね桜雅、国王陛下はね綺麗なモノに目がないんだよ」
分かっていない桜雅にトーイが補足してくれた。
彼が言うには、この国の現在の王様はユールングと同じ竜人なのだという。
同じというか、ユールングは現王の甥っ子なんだとか。
長命種なのでもう数百年も王様やってるそうだ。
「それでね、長生きしてると刺激が欲しくなるわけ。分かる?」
「・・・うーん、平和な世の中が続いたら飽きてはくるかも?」
「うんまあ、そんな感じで、彼の国王陛下は時々、美術品を鑑賞するように綺麗なモノを求めるわけ。それこそ人でもモノでも関係なく、気に入った綺麗なモノは暫く手元に置きたがるんだ。竜人は元々、そういうモノが好きらしいんだよね」
「───ええ、ソレって求められたら拒否できないヤツ・・・一番偉い人が権力使うわけでしょ」
最初から俺に拒否権無いじゃん。
「そうなんだよ。人族なら寿命も短いし、早い段階で褒美を与えて解放するけど、長命種だとそうもいかない」
「───俺、気に入られたらずっと、その、王都に住まないとなのか?」
どんなところだろうとそれはイヤだ。
「王都っていうか、王城の中に一部屋あてがわれて、呼ばれたらすぐに顔を出す感じ? 愛玩動物みたいな。自由なんて無いと思うよ」
「───そんなのイヤだ、行きたくない。ベオウルフのところにいるっ!! ねっ?!」
「俺も離れたくないに決まってる!」
「じゃあさ、サッサと番っちゃってよ」
「───えっ?」
トーイの言葉を想像したら震えが来て、思わずベオウルフに縋り付いたらベオウルフもぎゅっとしてくれた。
ソコにファティマが不意に舌戦を止めてこちらの会話に入ってきた。
「そうだよ。どうせ餌契約してるんだし、ベオウルフも桜雅君の事、番い認定してるんでしょ?」
ついでとばかりにユールングも言ってきた。
「・・・・・・番い?」
とはなんぞや?
「要は、一生に一度の唯一愛する人って事。見つけちゃったら他の人は目に入らなくなるんだよね」
ユールングが分かりやすく教えながら意味深にファティマを見つめた。
ファティマは気まずげにふいっと目をそらす。
「ふふっ」
その様子にユールングが思わず噴き出した。
・・・・・・え? 本当にこの二人ってどういう関係なんだ?
───まあ、とりあえず・・・。
「───えーと、ベオウルフが俺の事好きって言ってたのはそういう意味?」
「・・・・・・まあ、そうだな。桜雅は待ってくれって言ったけど、正直俺には桜雅以外の選択肢は無い。振られても離れないだけだ」
ソレって、一生、俺のことだけって事?
・・・待って、そもそも俺は無意識にベオウルフを契約で縛るほどベオウルフを気に入ってるって事だよね?
血が欲しいだけじゃ無くて・・・。
「大体、僕は桜雅に幸せになって貰いたくてココに連れて来たんだよ? その辺の適当なヤツに預けるわけ無いじゃん。桜雅とぴったりの相性を持つヤツを探してココに連れて来たんだし」
───まあ、桜雅がゆっくり自覚して結ばれれば良いなとは思ってたけど。
「何処ぞの誰かさんのせいで早まったけど、自覚したら後はやることやって番いになって。幾ら王様だって、番いを引き離すような真似はしないだろう? 竜人こそ番いに思い入れが強いんだし?」
そう言って今度はファティマがユールングを意味深に見た。
ユールングは胡散臭い笑顔でにっこり笑っただけだったが。
「そうと決まれば、俺は客間に今夜は泊まるから。明日、良い返事を聞かせてくれることを祈ってるよ」
「僕はコイツを見張ってるから、遠慮なく番え!」
ユールングはこれでお終い、とばかりに食堂を後にして、ファティマも後にくっ付いて行ってしまった。
残された桜雅達や食事中だった騎士達はポカンとしていたが、我に返ってそれぞれ動き出した。
「───あー、桜雅。今夜の仕事は休みで良いぞ。オルヴァ団長と仲良くな!!」
「団長も明日の朝は遅くて良いですよ!」
「そうそう、団長はガッツリしっぽり頑張って下さい!!」
「───ガッツリしっぽりって・・・」
「仲良く・・・」
こうして困惑顔の二人は、トーイや食堂の料理人、他の騎士達によってベオウルフの部屋に押し込められたのであった。
「───悪かったな」
ユールングとファティマが舌戦を繰り広げるのを横目にベオウルフが桜雅に謝罪してきた。
「え? なにが?」
「いや・・・保護したことを一応規則に則って上に報告してたから、面倒な事に・・・」
「ええ? いやそれは大事な事でしょ? 俺だってそうするよ。明らかに俺、怪しいもんね」
だから国の一番偉い人が警戒するのは当然でしょ?
「・・・・・・いや・・・ソッチの心配じゃなくてだな」
「?」
「・・・あのね桜雅、国王陛下はね綺麗なモノに目がないんだよ」
分かっていない桜雅にトーイが補足してくれた。
彼が言うには、この国の現在の王様はユールングと同じ竜人なのだという。
同じというか、ユールングは現王の甥っ子なんだとか。
長命種なのでもう数百年も王様やってるそうだ。
「それでね、長生きしてると刺激が欲しくなるわけ。分かる?」
「・・・うーん、平和な世の中が続いたら飽きてはくるかも?」
「うんまあ、そんな感じで、彼の国王陛下は時々、美術品を鑑賞するように綺麗なモノを求めるわけ。それこそ人でもモノでも関係なく、気に入った綺麗なモノは暫く手元に置きたがるんだ。竜人は元々、そういうモノが好きらしいんだよね」
「───ええ、ソレって求められたら拒否できないヤツ・・・一番偉い人が権力使うわけでしょ」
最初から俺に拒否権無いじゃん。
「そうなんだよ。人族なら寿命も短いし、早い段階で褒美を与えて解放するけど、長命種だとそうもいかない」
「───俺、気に入られたらずっと、その、王都に住まないとなのか?」
どんなところだろうとそれはイヤだ。
「王都っていうか、王城の中に一部屋あてがわれて、呼ばれたらすぐに顔を出す感じ? 愛玩動物みたいな。自由なんて無いと思うよ」
「───そんなのイヤだ、行きたくない。ベオウルフのところにいるっ!! ねっ?!」
「俺も離れたくないに決まってる!」
「じゃあさ、サッサと番っちゃってよ」
「───えっ?」
トーイの言葉を想像したら震えが来て、思わずベオウルフに縋り付いたらベオウルフもぎゅっとしてくれた。
ソコにファティマが不意に舌戦を止めてこちらの会話に入ってきた。
「そうだよ。どうせ餌契約してるんだし、ベオウルフも桜雅君の事、番い認定してるんでしょ?」
ついでとばかりにユールングも言ってきた。
「・・・・・・番い?」
とはなんぞや?
「要は、一生に一度の唯一愛する人って事。見つけちゃったら他の人は目に入らなくなるんだよね」
ユールングが分かりやすく教えながら意味深にファティマを見つめた。
ファティマは気まずげにふいっと目をそらす。
「ふふっ」
その様子にユールングが思わず噴き出した。
・・・・・・え? 本当にこの二人ってどういう関係なんだ?
───まあ、とりあえず・・・。
「───えーと、ベオウルフが俺の事好きって言ってたのはそういう意味?」
「・・・・・・まあ、そうだな。桜雅は待ってくれって言ったけど、正直俺には桜雅以外の選択肢は無い。振られても離れないだけだ」
ソレって、一生、俺のことだけって事?
・・・待って、そもそも俺は無意識にベオウルフを契約で縛るほどベオウルフを気に入ってるって事だよね?
血が欲しいだけじゃ無くて・・・。
「大体、僕は桜雅に幸せになって貰いたくてココに連れて来たんだよ? その辺の適当なヤツに預けるわけ無いじゃん。桜雅とぴったりの相性を持つヤツを探してココに連れて来たんだし」
───まあ、桜雅がゆっくり自覚して結ばれれば良いなとは思ってたけど。
「何処ぞの誰かさんのせいで早まったけど、自覚したら後はやることやって番いになって。幾ら王様だって、番いを引き離すような真似はしないだろう? 竜人こそ番いに思い入れが強いんだし?」
そう言って今度はファティマがユールングを意味深に見た。
ユールングは胡散臭い笑顔でにっこり笑っただけだったが。
「そうと決まれば、俺は客間に今夜は泊まるから。明日、良い返事を聞かせてくれることを祈ってるよ」
「僕はコイツを見張ってるから、遠慮なく番え!」
ユールングはこれでお終い、とばかりに食堂を後にして、ファティマも後にくっ付いて行ってしまった。
残された桜雅達や食事中だった騎士達はポカンとしていたが、我に返ってそれぞれ動き出した。
「───あー、桜雅。今夜の仕事は休みで良いぞ。オルヴァ団長と仲良くな!!」
「団長も明日の朝は遅くて良いですよ!」
「そうそう、団長はガッツリしっぽり頑張って下さい!!」
「───ガッツリしっぽりって・・・」
「仲良く・・・」
こうして困惑顔の二人は、トーイや食堂の料理人、他の騎士達によってベオウルフの部屋に押し込められたのであった。
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