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後日譚 めでたし愛でたし
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僕は今、アッシュの実家にいる。
番報告のためだ。アッシュに、家族に紹介したいと言われて、一も二もなく了承したんだけど・・・。
聞いてないよ! 龍人国の、王族なんてっ!!
着いた先がデッカイお城だったよ。
何ていうの?
確かドイツの方にあったノイバン何ちゃらってお城みたいな。
そんなのが目の前にあって。
さすがの僕も表情筋が仕事しました。
口を開けてポカン。
アッシュがソッと顎に手を添えて閉じてくれました。
「え、と。アッシュ王族なんだ?」
「言ってなかったか? 父は前龍王で兄は現龍王、俺は王弟だな」
「・・・そういえばファミリーネームにドラゴニアって。・・・ああ、そういう・・・」
あの時はいっぱいいっぱいで、そんな事、気にもとめなかった。
戸惑っているうちに、王宮内の家族だけが入れるプライベートな場所に案内されて。
待つ間に出されたお茶の味何て分からなかったよ。
そういえば、僕、首輪が取れて初めて口にしたのがコーヒーだったな。
召喚されて奴隷になって以来、何も口にしてなかったから、アッシュが、僕がコーヒー好きなのを憶えていて、煎れてくれたんだっけ。
周りの空気がぱあっとなって、無表情なのに花が舞っていたって言ってたな。
思わずゴクゴク飲んで、ラインハイトに
「コーヒーって一気飲みするモンだっけ?!」
って笑われて、この世界で初めて口にした食べ物?飲み物? だからつい、って言ったら、アッシュがもの凄いいい笑顔で、
「あいつら、許さねえ」
って切れてたなあ。
・・・て、現実逃避でした。はい。
御家族総出で、部屋の圧が凄いです!
なんか全員にハグされてます。
それをアッシュに回収されたところ。
あの、まだ自己紹介してないんですけど?
「寄るな触るな見るな俺の嫁だ!」
いや、アッシュ何言ってるの。
無理でしょ。
嫁はそうなんだけど・・・!
自覚したら、顔が熱くなった。
絶対赤くなってる!
無表情だろうけど。
「可愛いねえ! いい嫁だねえ! よかったな、アッシュ」
と、お兄さん。
「思ったよりも早く見つかってよかったな」
と、お父さん。
「話は聞いてるわよ。よく頑張ったわね。もう独りじゃないのよ。私たちは家族になったのだから」
そう言って優しく抱きしめて頭を撫でてくれるお母さん。
どうしよう。嬉しくて胸がいっぱいで、涙が溢れた。
天涯孤独の僕にこんなにすてきな家族が出来た。
「リッカです。よろしくお願いします」
何とかそれだけ言って、アッシュの胸に飛び込んでぎゅっとして。
「アッシュ、ありがとう。大好き」
アッシュはそれは見事にデレた顔で
「俺も愛してる」
そう言って口付けをした。
番報告のためだ。アッシュに、家族に紹介したいと言われて、一も二もなく了承したんだけど・・・。
聞いてないよ! 龍人国の、王族なんてっ!!
着いた先がデッカイお城だったよ。
何ていうの?
確かドイツの方にあったノイバン何ちゃらってお城みたいな。
そんなのが目の前にあって。
さすがの僕も表情筋が仕事しました。
口を開けてポカン。
アッシュがソッと顎に手を添えて閉じてくれました。
「え、と。アッシュ王族なんだ?」
「言ってなかったか? 父は前龍王で兄は現龍王、俺は王弟だな」
「・・・そういえばファミリーネームにドラゴニアって。・・・ああ、そういう・・・」
あの時はいっぱいいっぱいで、そんな事、気にもとめなかった。
戸惑っているうちに、王宮内の家族だけが入れるプライベートな場所に案内されて。
待つ間に出されたお茶の味何て分からなかったよ。
そういえば、僕、首輪が取れて初めて口にしたのがコーヒーだったな。
召喚されて奴隷になって以来、何も口にしてなかったから、アッシュが、僕がコーヒー好きなのを憶えていて、煎れてくれたんだっけ。
周りの空気がぱあっとなって、無表情なのに花が舞っていたって言ってたな。
思わずゴクゴク飲んで、ラインハイトに
「コーヒーって一気飲みするモンだっけ?!」
って笑われて、この世界で初めて口にした食べ物?飲み物? だからつい、って言ったら、アッシュがもの凄いいい笑顔で、
「あいつら、許さねえ」
って切れてたなあ。
・・・て、現実逃避でした。はい。
御家族総出で、部屋の圧が凄いです!
なんか全員にハグされてます。
それをアッシュに回収されたところ。
あの、まだ自己紹介してないんですけど?
「寄るな触るな見るな俺の嫁だ!」
いや、アッシュ何言ってるの。
無理でしょ。
嫁はそうなんだけど・・・!
自覚したら、顔が熱くなった。
絶対赤くなってる!
無表情だろうけど。
「可愛いねえ! いい嫁だねえ! よかったな、アッシュ」
と、お兄さん。
「思ったよりも早く見つかってよかったな」
と、お父さん。
「話は聞いてるわよ。よく頑張ったわね。もう独りじゃないのよ。私たちは家族になったのだから」
そう言って優しく抱きしめて頭を撫でてくれるお母さん。
どうしよう。嬉しくて胸がいっぱいで、涙が溢れた。
天涯孤独の僕にこんなにすてきな家族が出来た。
「リッカです。よろしくお願いします」
何とかそれだけ言って、アッシュの胸に飛び込んでぎゅっとして。
「アッシュ、ありがとう。大好き」
アッシュはそれは見事にデレた顔で
「俺も愛してる」
そう言って口付けをした。
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