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72 お茶会当日の朝のシュヴァルツ公爵家 2(side使用人)
しおりを挟む庭園のセッティングが済んで、後は主賓の方々をお待ちするだけとなったので、使用人一同、お茶会会場へ向かう。
少しして先に現れたのは、ご当主様と奥方様・・・すでにノンノンはノイン様で奥方様という認識になっております。
そこから少し遅れてアハト様と番い様。
---すでに可愛いのですがっ?!
使用人一同、悶えを堪えながら、本日の主賓をお迎え致します!
庭園へと続く大きなガラス張りの扉を開けてこちらへ足を踏み入れたシュルツ様に抱き上げられているのは、ハイエルフのイツキ様。
想像していなかった人数にビックリなさっております。スミマセン。
シュルツ様に宥められてキョロキョロしたあと、新人エリンと目が合いましたね!
---ふわわわっ!!
にこっと・・・・・・にこっと微笑みましたよ!!
見知った顔を見てホッとしましたよね?!
羨まけしからん!!
使用人一同、一瞬ざわっとしてしまいました。
プロ失格ですね。
それぞれ挨拶を交わして、ギルミア様がアハト様の抱っこから下りて、ぬいぐるみをぎゅっとしながらイツキ様と挨拶を交わしました。
そのイツキ様もぬいぐるみをぎゅっと抱き締めながら、奥方様の発言でギルミア様とご自分の衣装がお揃いなことに気付き、奥方様にお礼を---。
「ありがとうございます、母様。手作りしてくれたんですよね? 嬉しいです」
『・・・母様、って・・・・・・呼んでくれるの?』
---これには涙こそ堪えましたが、我々だけでなく公爵家の方々も全員、ジーンときましたね!!
それなのに・・・・・・。
何ですか、あのやり取り?!
ギルミア様が愛称呼びを希望され、イツキ様もご自分の名前を愛称で呼んで欲しくて、むりくり捻り出したのが『ツッキー』って・・・・・・。
思わずシュルツ様方は噴き出し、奥方様は興奮して暴れているし。
大人なギルミア様は普通に対応してますけど!
そんなこんなでやっと席に着こうかというときに、忘れていました。
竜帝陛下・・・いらしてましたね。
やいのやいのと奥方様と絶賛口戦中のところにゼクス様の恐ろしい笑みが・・・。
普段怒らない温厚な方が怒ると凄いんですって。
気を付けて下さいませ。
こうしてやっと始まったお茶会ですが和やかに時間が流れて、ほのぼのとしてきた頃、イツキ様がギルミア様の年齢を聞いた辺りから不穏な空気が・・・。
ギルミア様が9歳なことは、まあ良いんです。
ですが先ほど側に立ってみた様子では、ギルミア様とイツキ様の身長差が・・・アレ?!
イツキ様、確か19歳って聞いたんですけど?!
9歳の間違いじゃ・・・・・・ないですよね?
さすがに成人済みデスヨネ?
---じゃあ、もうこれは合法ショタ・・・。
なんてこったい?!
可愛いが過ぎるってば!!
我等を萌え死にさせる気かっ?!
・・・コホン。
あまりにも衝撃的過ぎて言葉が乱れました・・・。
イツキ様がシュルツ様に呆然としながら確認していると・・・。
『諦めろ、イツキ』
などと言って急に人外な御方様達が現れてイツキ様にトドメを刺しました!
どうやら麗しい人型の六名様は精霊王様方のようです。
その後はほわんと光る精霊達。
やはりイツキ様に追い撃ちをかけてイツキ様を泣かせてました。
---ウン、泣いてるイツキ様をあやすシュルツ様のこのシチュエーションも良い・・・!!
---じゃなくて、公爵様に言われて精霊王様方のテーブルのセッティングですって。
その後、シュルツ様に給餌されて涙の止まったイツキ様にホッとした一同。
しかし、使用人達は心の中で思っていた。
---なにこのカオス。
ただの顔合わせ的なお茶会だったはずなのに、後から後から湧いて出てくるエラい御方達に困惑しっぱなしなのでした。
まだお茶会は始まったばかり・・・。
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