優しい庭師の見る夢は

エウラ

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70 ナンかまたキター!!

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結局シュルツに抱き上げられたままテーブルに着く。

案内された椅子は二人が余裕で座れるサイズのベンチタイプ。

向かいにも同じ椅子があるので、あちらはアハト兄様とミアが座るのだろう。

・・・そう思って大人しくしていると、シュルツが樹希を抱っこしたまま腰掛けて、自身の膝の上に横向きのまま座らせた。

向かいを見ると、ミアも同じ体勢・・・。

・・・なるほど、その為のベンチタイプ!

お互い、散々されて慣れたのか、人前で膝上に座らされることに何の疑問も持たなくなっていた。

樹希達が抱えてきた子ウサギのぬいぐるみはベンチの端に座らせる。

少し離れた場所のテーブルにはゼクスとノイン、そして竜帝陛下アウルが座った。

使用人さんがお茶を淹れてくれて、こうしてようやく、和やかにお茶会が始まった。


「---え、ミアは9歳なの?」
「うん」
「え? え? だってだって、僕と身長、そんな変わんないよね?!」
「・・・うん。でも、たぶん、僕は平均?」

コテンと疑問形でそう言うミアが可愛い・・・じゃなくて!!

「・・・・・・シュルツ、僕・・・19歳・・・」
「そうだな」
「・・・・・・成人・・・・・・15歳・・・?」
「・・・・・・そうだな」
「・・・・・・もう、成長しない?」
「・・・・・・そう・・・・・・かも?」
「---ガーン・・・・・・!!」

頬を押さえてショックだという態度だけでなく口でも思わず言っていた樹希。

まだまだコレからも少しは伸びしろが・・・・・・って思っていたが、4年経った今も髪は伸びても背は変わらないから、もしかしたら・・・とは感じていたけど。

『イツキ、諦めろ』
『お前はもう大きくならん』
『『『『打ち止め!!』』』』
「いやああああ---!! いきなり来てなんてこと言ってくれてんの、ルキア達ってば---!!」

急に現れてガッツリとトドメを刺す精霊王達に樹希が叫んだ。

そこに追い撃ちをかけるように何時もの精霊達も現れて・・・。

『ごめんねぇ・・・イツキが可哀想で・・・』
『・・・僕たちも言えなかった』
『せいちょうき、とっくにおわってる』
『イツキ、ずっと、ゴーホーショタ?』
「にゃああああ---!! 酷い!! 君達まで---!!」
「・・・・・・イツキ、落ち着け・・・」

えぐえぐと泣き出した樹希を、頭や顔に口付けを落としながら宥めるシュルツ。

その周りでは泣かせた精霊王達張本人がのほほんとしている。
ゼクスは精霊王達に声をかけた。

「精霊王様方、席をご用意致しますのでこちらでお寛ぎ下さい」
「---お初にお目にかかります。竜帝国のアウトクラトルと申します」

呆気にとられていたアウルもサッと立ち上がり、お辞儀をする。

『よいよい。勝手に押しかけて悪かったの』
『我等もイツキのお茶会が気になってな』
『で、来てみたらナンか言ってるからさ』
『こういうのは早めに現実を教えてあげないと・・・』
『傷は浅いうちが良い』
『・・・うん。後になる方が怖い』

・・・どうやら親切心から出た言葉だったようだ。
確かに先のない希望に縋っていては、ダメだと分かったときの落差が酷くて立ち直れないだろう。
それにしても・・・。

「イツキはやはり今までの生活環境が原因でしょうか」
『だと思うぞ。エルフの中でもとりわけ小さい。・・・コレばかりは今更もうどうしようも出来ぬ。---まあ、可愛いから我等は良いのだがな!』

そう言ってカラカラと笑う精霊王達だった。

樹希はいまだにべそべそ泣いているが、シュルツにあやされて幾分落ち着いてきたようだ。
お菓子を給餌されてもぐもぐしていると涙が止まった。


精霊王達のテーブルの準備を進めている使用人達は『なにこのカオス』と戸惑いながらもテキパキと仕事を熟していくのだった。





※遅くなりました。



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