優しい庭師の見る夢は

エウラ

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65 お茶会前日のシュヴァルツ公爵家からの 1

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シュルツの番いであるイツキがお茶会で初めて公爵家を訪れるという前日。

ここ公爵家では迎え入れる準備とお茶会の準備で大忙しだった。

ゼクスは休暇申請時の直談判で今日から5日間の休暇をもぎ取った。

たった5日と言うなかれ。
宰相職が連休を、ソレも5日も取れること自体稀なのだ。

そしてアハトは言わずもがな。
ギルミアを得てから城には出仕していない。

一応、ギルミアを側に置いて公爵家に持ち込んだ書類などを捌いてはいるが、今のアハトの優先度は第一が番いであるギルミアの世話、第二が公爵家の執務、そして宰相補佐が最後なのだ。

何故公爵家の執務が二番目なのかというと、単にギルミアと一緒の時間が取れるから・・・という至極単純な理由なのだが。

いずれにせよ、番い最優先なのは竜人ならではなので、苦笑はされども苦言は言われない。

そしてアハトも父である宰相と同じく、イツキとの茶会の為に5日、仕事を空けてある。
その分、だいぶ先までの急ぎの仕事を終わらせてあるが。


「アハト、僕は、準備・・・何すればいい?」

着替えをさせられて朝ご飯をアハトの膝の上で給餌されたギルミアが、明日のお茶会の事を聞いた。

アハトに助けられてからずっと、何をするにもアハトが世話を焼いてくれるため、公爵家のことは元より、お茶会なんて事も分からない。

なので何をするにしてもギルミアはアハトに聞くのが当たり前になっていた。

アハトに聞けば間違いない。

ギルミアはアハトに絶対の信頼を寄せていた。

---依存しているとも言えるだろう・・・。

しかしソレも仕方のないこと。
自分を絶望の淵から掬い上げてくれた、しかもだという竜人。

幼かったギルミアは、両親からの愛情を絶たれた上に、首輪で長い年月、感情を抑えつけられていた。

そこに自分だけに愛情を注いでくれる存在を得て、ギルミアの心はアハトへと一気に傾いた。

こうしてギルミアにとってもアハトにとってもWinWinな関係になったのである。

番いに重い愛情を向け、番いがソレを当たり前のように受ける。
まさに竜人にとっては最高の相手である。

---まあ、シュルツとイツキも似たようなモノ同士だが。

「ギルミアが出来る準備は、体調を整えて明日の衣装を試着することかな?」

にっこり笑ってそう言うアハトに、何の疑いも持たずに頷くギルミア。
アハトは食休みの後、ギルミアに明日着る予定の衣装を着せ付けた。

「・・・・・・可愛い」

奇しくもシュルツと同じ感想だった。

ギルミアの衣装もノインの手作りで、しかもイツキとお揃いだった。

故に、膝小僧の見えるハーフパンツでこちらは完全なるショタッ子なのだが。

もちろんアハトはお触りはである。
・・・何処まで、とは聞かないで欲しい。


アハトは可愛いギルミアの姿を自分が真っ先に見られたことに大満足して、いそいそと衣装を脱がせて違う服に着替えさせると、使用人の邪魔にならないところから準備の様子をギルミアに見せてやる。

「明日は朝のウチにシュルツがイツキを連れて公爵家に転移してくるから、お互い、支度が済んでから顔合わせをしよう」
「・・・うん、楽しみ」

アハトに明日の予定を聞かされて、ウキウキ気分のギルミア。

夜、わくわくして眠れないかと思ったが、昼間の準備で疲れたのか、ベッドに入るとストンと眠りに落ちた。


---翌朝、シュルツが眠ったままのイツキを連れて転移してきたらしい、と聞いたのは、起きてすっかり支度の済んだ後であった。











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