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26 御対面からの圧迫面接 1
しおりを挟むそして今日は、シュルツの御家族がロッジに来る日。
移動は転移で時間がかからないが、如何せん、国の宰相を務めている父とその補佐を務める兄という二人が同時に時間を空けるのはそう簡単ではなく・・・。
とにかく仕事量の調整が大変だったらしい。
国の仕事に加えて公爵家の仕事もしているそうだ。
うわあ・・・そんなの僕じゃ絶対出来ないな。
しかも今回の訪問は国には極秘で、ただ単にシュルツの家族として会うということだったから、理由をあげて大っぴらに休みを取ることも仕事を減らす事も出来ないんだって。
故に3日ほど睡眠時間を削って時間を捻出したそうだ。
うわあ・・・なんかスミマセン・・・・・・。
それを聞いて思わず心の中で謝ったよ。
そんなこんなで本日、午後3時にお茶会を兼ねて我がロッジに転移してくる。
でも取れた時間が3時間ポッキリなんだって。
いやいや、3日頑張って3時間って、ブラック過ぎない?!
「シュルツ・・・そんな貴重な時間・・・僕に使って良いの?」
心配になってそう聞けば笑って返された。
「二人とも、イツキの為に空けた時間だ。寧ろ張り切って時間を捻出してたぞ」
だから気にするな、そう言ってくれた。
うん、それなら笑顔で出迎えなくちゃね。
それからすぐに、時間ちょうどに転移用の部屋に現れた7人。
たぶんシュルツ似のちょっと歳のいったイケオジがお父さんでシュルツより少し歳が上っぽい青年がお兄さんかな?
残り5人は、今は顔出ししてるけど、服装が忍者っぽい!
語彙力ないけど、全身黒尽くめの動きやすそうな服。
ということは、シュルツのお家の忍びさん的な感じ?!
凄ーい!! カッコいい!!
たぶん相当きらきらした目で見てたんだと思う。
彼等が若干引いている気がした。
ヤバい、落ち着け僕!!
『イツキ、コーフンし過ぎ』
『シノビっぽいから気持ちは分かるけどさー』
『竜の人、困ってるよ?』
『アッチの竜の人達も困ってるよ』
「───スミマセン」
「・・・シノビ?」
精霊の言葉にシュルツが反応したがイツキは曖昧に笑った。
たぶんこの世界にそんな言葉は無いだろう。
聞かれても説明に困る。
「ええと、ようこそいらっしゃいました。イツキと申します」
仕切り直しだと、樹希はそう挨拶をした。
シュルツもハッとして声をかけた。
「ここが精霊の森のロッジの一室です。彼が【管理者】のイツキです。イツキ、こちらが父のゼクスと兄のアハト、それとイツキの護衛をする家の影警護の者達だ」
「シュルツの父のゼクスです。よろしくお願い致します」
「同じく兄のアハトです。どうぞよろしくお願い致します」
「代表して私が・・・。我等もよろしくお願い致します」
シュルツの紹介でそれぞれが軽く挨拶をする。
影の人は名前は内緒なのかな?
後でシュルツに聞いてみよう。
「ひとまず、リビングに移動しましょう」
シュルツが家主のように振る舞っているが誰もツッコまない。
そして樹希も気にしていない。
その事にゼクス達は密かに笑うのだった。
───相当頼られているのだな、シュルツは。
───そうですね。安心しました。
「・・・あ、リビングにも精霊達がいっぱいいるんですけど・・・気にしないで下さい」
不意に樹希が振り返ってそう言った。
「・・・それは、どういう・・・・・・?」
やや困惑顔のゼクス一行は、リビングに着いてその意味を知った。
「「・・・・・・」」
『やあ、待ってたよ』
『どれ、其方らが竜の子の身内か』
『おう、なかなか強そうだな!』
『ほうほう、良い面構えだな』
『まずまずだの』
『・・・・・・うん、良いんじゃない?』
しっかりと人型をとりこちらを値踏みする精霊6人。
光・闇・風・水・火・地の精霊王(発言順)が揃い踏み。
その周りにはふよふよと浮かぶたくさんの精霊達がみっちり集まっていた。
「ごめんなさい、なんか皆集まって来ちゃって・・・・・・シュルツの家族を見たかったみたいで、入りきらないんですけど、空気みたいなモノだから、気にしないで・・・・・・」
申し訳なさそうに言う樹希に、固まっていたゼクス一行は心の中で叫んだ。
───空気みたいに無視できるか───っ!!
『さあ、楽しい茶会を始めようかの』
───圧迫面接(物理)の始まりだ。
ニヤリと笑う闇の精霊王の心の声が聞こえるようだ。
ゼクスの目の端には、頭が痛いとばかりに額を押さえるシュルツと、何も分かっていなさそうにニコニコ笑う樹希が見えていたのだった。
・・・・・・マジか・・・・・・。
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