22 / 89
21 続続・軟禁生活
しおりを挟むシュルツに軟禁生活を言い渡されてから三日。
トイレ以外のほとんどを介助されて、お風呂も寝るのも一緒の生活を送っていた。
それで、今はお風呂あがり。
二人ともさっぱりしてほこほこしてる。
最初こそ一緒のお風呂は恥ずかしいと拒否したんだけど、溺れた後だし心配だと押し切られてからは、もう諦めた。
どうせ男同士だし?
・・・大人になって初めて見た他人のナニが大きいのだって、体格を考えれば当然だし?
べっ、別に自分のが小さいとか、思って無いったら無い!!
もともと薄かった性欲も、ハイエルフに転生してからめっきり無くなって、4年経った今でもそういった欲求が無い。
・・・・・・んん? アレ?
そういえば、この体になってから一度も出したこと無いような・・・。
・・・夢精も無い。
・・・・・・僕ってそもそも精通してるの?
どうしよう、めちゃくちゃ気になってきた。
え、もしかして僕っておかしいの?
病気とか?!
ユトピアの神様、15歳が成人って言ってたよね?
だったら、とっくに精通してても良いよね?
せ、精霊に聞いても分かんないだろうし・・・シュルツに聞いてみる?
でもでも、それでやっぱりおかしいってなったらどうしよう・・・。
僕はおそらく悲痛な顔をしていたんだと思う。
シュルツが湯上がりの後の水分補給にと果実水を渡して来たときに声をかけてきた。
「どうしたんだ、イツキ。青い顔で死にそうだぞ?」
「・・・・・・シュルツ・・・僕、気が付いたんだけど」
「・・・うん?」
おもむろに顔をあげてシュルツを見つめると、シュルツは怪訝そうな顔をした。
「僕・・・僕・・・・・・ここから白いの出したこと無いんだけど・・・!!」
「ブッ!!? ごふっ!!」
シャツを捲り、パンツを引っ張って僕の小さなボクを見えるようにしてそう言うと、シュルツは口を片手で押さえて咳き込んだ。
「シュ、シュルツッ、大丈夫?!」
「しっ・・・出しっ・・・・・・無い?! あ、いや、大丈夫・・・・・・っ」
は───っと息を吐くシュルツに、ごめんなさいと謝った。
シュルツは気にするなと言ってくれたが・・・。
「何で急にそんなこと・・・」
戸惑ったようにそう言うシュルツに、いきなり過ぎたかと、説明をしてみた。
「え? ああうん・・・ほら、今、シュルツと一緒にお風呂に入ってるじゃない? それでシュルツのアレ、普段も大っきいなあって思って・・・。(興奮したら)もっと大きくなるのかなって。そうしたら白いの?出るんだよね? そういえば僕は出した記憶が無いなあって・・・思って・・・あの、僕、何処か体・・・・・・おかしい?」
一生懸命説明したけど、シュルツの顔がどんどん険しくなっていって、僕の声も尻すぼみになっていった。
・・・・・・やっぱりおかしいの?
どうしよう、別に性欲無いから良いんだけど、体がおかしいっていうなら困る。
この世界で末永く、この森と精霊達と、幸せにまったり過ごしたいのに、出来なくなったら・・・。
「───僕、死んじゃう?」
思わず涙が零れた。
シュルツがハッとして抱き締めてくれる。
「死なない! 何処も悪くない! たぶん体が小さいから・・・それにハイエルフだから成長が遅いのかもしれない」
「・・・・・・そ、かな?」
「そうだ、俺の父に聞いてみよう。長く生きているからエルフの事も俺より詳しいと思うんだ。それに、イツキに会いたがってるし」
え? シュルツのお父さん?
思わず目をぱちくりとさせた。
「お父さん? シュルツの?」
「・・・ああ。上に兄もいる」
「・・・・・・そっか、家族・・・いるよね、そりゃあ・・・ねえ、それなら家に帰らないと。ウチに住んでて良いの?」
「良いに決まってる。とっくに成人して独り立ちしているんだから、たまに顔を出せば良い」
「それなら良いんだけど・・・あ、じゃあ、この森に来て貰うの? 僕・・・ここから出るの怖いんだよね・・・」
外には奴隷狩りとかいるんでしょ?
一人じゃ絶対、無理。
「ああ、それで精霊王様達に確認しようと思って・・・安全のために手練れを数人、イツキに付けたいし」
「? よく分かんないけど、精霊王達に話せば大丈夫だと思う。悪いヒトは入れないけど、シュルツの家族なら大丈夫だよね?」
「そうして貰えると助かる。取りあえず、今日はもう眠ろう」
「はーい、お休みなさい」
「お休み」
先ほどのやり取りも忘れて布団に潜ったイツキを抱き締めてシュルツも横になると、キュッと抱きしめ返された。
「えへへ、暖かくて、安心する・・・」
そう言ってシュルツの胸に額を擦り付けるとあっと言う間に寝入った。
「・・・・・・お休み、イツキ」
485
お気に入りに追加
2,657
あなたにおすすめの小説
セカンドライフは魔皇の花嫁
仁蕾
BL
星呂康泰、十八歳。
ある日の夕方、家に帰れば知らない男がそこに居た。
黒を纏った男。さらりとした黒髪。血のように赤い双眸。雪のように白い肌。
黒髪をかき分けて存在を主張するのは、後方に捻れて伸びるムフロンのような一対の角。
本来なら白いはずの目玉は黒い。
「お帰りなさいませ、皇妃閣下」
男は美しく微笑んだ。
----------------------------------------
▽なろうさんでもこっそり公開中▽
https://ncode.syosetu.com/n3184fb/
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
【本編完結】再び巡り合う時 ~転生オメガバース~
一ノ瀬麻紀
BL
僕は、些細な喧嘩で事故にあい、恋人を失ってしまった。
後を追うことも許されない中、偶然女の子を助け僕もこの世を去った。
目を覚ますとそこは、ファンタジーの物語に出てくるような部屋だった。
気付いたら僕は、前世の記憶を持ったまま、双子の兄に転生していた。
街で迷子になった僕たちは、とある少年に助けられた。
僕は、初めて会ったのに、初めてではない不思議な感覚に包まれていた。
そこから交流が始まり、前世の恋人に思いを馳せつつも、少年に心惹かれていく自分に戸惑う。
それでも、前世では味わえなかった平和な日々に、幸せを感じていた。
けれど、その幸せは長くは続かなかった。
前世でオメガだった僕は、転生後の世界でも、オメガだと判明した。
そこから、僕の人生は大きく変化していく。
オメガという性に振り回されながらも、前を向いて懸命に人生を歩んでいく。転生後も、再会を信じる僕たちの物語。
✤✤✤
ハピエンです。Rシーンなしの全年齢BLです。
11/23(土)19:30に完結しました。
番外編も追加しました。
第12回BL大賞 参加作品です。
よろしくお願いします。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる