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18 寂しい森人と初心な竜人
しおりを挟むふと、頭が重くて苦しくて目が覚めた。
息がし辛い。
何か熱い・・・。
周りを巡らすけど目がぼやけて良く見えない。
どうしたんだっけ、僕・・・。
柔らかいお布団・・・ベッド?
ああ喉が渇いた・・・・・・お水・・・ほしい。
誰か───ああそうだ・・・誰もいないんだっけ・・・。
そう思ったら、涙が零れた。
ぼやけてたのは、僕の涙のせい・・・・・・。
諦めて目を閉じて、無理やり眠ろうとしたら、誰かに体を起こされた。
目元をそっと拭う暖かい優しい手・・・誰?
精霊達は実体が無いから触れないし、精霊王達は実体はあるけど体温なんて無いから暖かくなんて無いし・・・?
誰か、いたっけ?
そんなことを目を瞑ったままぼんやりと考えていると、口に何か柔らかいモノが触れた。
何だろう・・・。
苦しくて薄く開いた口に何か差し入れられて・・・その後、冷たいモノが口に入った。
───みず・・・。
僕は欲しかったモノが与えられて、嬉しくて必死に飲み込んだ。
最後はちょっとぬるくなってたけど。
でも足りない。
「・・・もっ・・・・・・と」
掠れた声が届いたのか、誰かさんは再び水を飲ませてくれた。
何度か飲んで満足した僕は、今度は自然と目蓋が重くなってきて、そのまま眠りについた。
───僕の傍らで顔を真っ赤に染めるシュルツに気付きもしないで・・・。
───あれからイツキは案の定、熱を出した。
普段は熱を出すことも無いと聞いたが、崖から転げ落ちた上に水の中で溺れて、体が驚いたのだろう。
・・・お子様か。
意識はまだ戻らない。
呼吸が浅く、速くなって、寒いのかガタガタと震えだしてきた。
熱が出た症状だった。
俺は氷を浮かべた桶に布を浸してイツキの額に乗せる。
ホッとしたのか、少し体の強ばりが緩んだ。
しかし体は震えたまま。
まだ熱が上がりきっていないのだろう。
俺は少し考えて、楽なシャツとズボンに着替えてイツキのベッドに潜り込むと、震えるイツキを抱き込んだ。
「・・・・・・だれか・・・さむいよ・・・」
「大丈夫だ、俺がいる」
「・・・・・・ひとり・・・・・・やだよぅ・・・」
「俺がずっといるよ」
「・・・・・・だれ・・・?」
「お前の番いのシュルツだ」
「つ・・・が・・・なに・・・・・・」
「一生、側にいる、唯一無二の愛する者だよ」
魘されるように無意識に呟いたイツキに大丈夫、独りじゃ無いと、俺の番いだと返せば、安心したのか体の力が抜けた。
「・・・・・・快復して、もし今のことを覚えて無くても・・・俺は、何度でも君に愛を乞おう」
だから早く良くなって、笑ってくれ。
シュルツはイツキを抱えたまま、暫く横になった。
今度こそ穏やかな顔になったイツキは、熱は高いものの、苦しくは無さそうだった。
「・・・・・・お休み」
そう言ってシュルツも目を閉じた。
そうして暫く、熱が上がりきって熱くなり、喉が渇いたらしいイツキが目を覚ましたが、ぼんやりしていて俺に気付いていない。
先ほどのやり取りも忘れているようだった。
また目を閉じてしまったが、水分を摂らせねばと口に水を含み、イツキの唇に舌を差し入れて開けさせると、ゆっくりと流し込んだ。
イツキは水だと分かった途端、コクコクと飲み出した。
その後、何度か求められて口移しで飲ませていると、満足したのか眠ってしまった。
その頃になって、これがファーストキスで、しかもちょっとディープなキスだったという事に思い至って、真っ赤になったシュルツだった。
当然、イツキにとっても前世合わせて初めてだったということを付け加えておこう。
そして案の定、熱が下がったイツキは記憶が曖昧で良く覚えていなかったそうな・・・。
まあ、アレは看護のためと割り切って、次こそはイツキがしっかり意識した状態でのリベンジを目指すぞ、と気合いを入れ直すシュルツだった。
『竜の人、不憫』
『ねー』
『僕知ってる。ああいうの生殺しって言うんだよ?』
『イツキ、天然過ぎて、竜の人、可哀想』
精霊達はこっそり覗き見して、そう囁きながらシュルツを憐れんでいたのだった。
※明日は所用のため、遅れるか更新出来ないかもしれません。
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