14 / 89
13 圧迫面接からの恥ずかしい暴露
しおりを挟む
※時系列がおかしいと御指摘がありまして、確かにおかしかったので修正・追加をしました。4話5話8話を直してます。ありがとうございます。
(イツキが過去の話を言いたくないと発言したのをシュルツと初めて会った時の発言に修正・追加しました)
「あっさごっはん! あっさごっはん!」
『ご機嫌だね、イツキ』
「だって昨日のお昼御飯、めちゃくちゃ美味しかったから、朝御飯も絶対美味しいでしょう? 凄いよね、シュルツ。僕は何にも出来ないのに」
ルンルン気分で階段を降りると、やっぱり良い匂いが・・・。
途端にグーとお腹が鳴る。
それにいち早く気付いたシュルツがササッと近寄って、座らせてくれる。
・・・・・・うん、シュルツのお膝の上だね。
───何で?
「あの」
「ほら、冷めるぞ。あーんは?」
「え、あ、あーん?」
思わずつられてあーんをしてしまった。
そこにすかさずスープを掬ったスプーンが入れられる。
「んむっ・・・・・・んくっ・・・ウマあ・・・」
今日のはコーンスープ?!
「甘くて滑らか、とろとろ濃厚で幾らでもゴックン出来るぅ」
「・・・・・・っぐぅ・・・・・・だから・・・その顔でその言い方・・・無自覚で煽るの止めてくれ・・・」
「・・・ほあ? 何か言った?」
恍惚としていたらシュルツが何か言ったみたいなんだけど、聞こえなかった。
僕ってエルフで長い耳持ってるのにけっこう聞こえないんだよね?
何で?
『それは耳が悪いんじゃ無くてぇ・・・』
『意識が違うとこにいっちゃってるからでしょ』
『イツキって興味ないことにはとことん無関心だよねぇ』
『あと、自分の世界に入りがち』
そんな精霊のぼやきも、美味しい朝食の前ではただのそよ風のように流されていったようだ。
『ほんに難儀よのう・・・。何となく分かってはいたが、こうも天然なお子様だとは・・・・・・竜の子、頑張れー』
光の精霊王ルキアがソファで寛ぎながらそう呟いていたが、やはり樹希には届かなかった。
シュルツはしっかり拾っていて苦笑していたが。
結局、美味しい朝食を前に『何故シュルツの膝上であーん?』という疑問もすぐに忘れて完食した樹希だった。
さて、樹希の無意識な煽りにも耐えたシュルツはザッと軽く武装をすると樹希に声をかけた。
「イツキ、今日は森を見て回るのだろう? 俺も一緒に行くからな」
「え? 良いの? でもけっこう歩くよ?」
「イツキよりはよほど体力も経験もあると思うが?」
「うえ? あっうん・・・・・・ソーダネ・・・」
Sランクの冒険者っていってたっけ。それに竜人なんだよね?
・・・て事は強いんだろうなあ。
でも精霊の森はそんな危険な生き物はいないと思うよ?
そう言ったら、そうじゃないと返された。
「例えば、古くなった枝や木が不意に倒れたりするかもしれない。落石も。それに、精霊達もいるから心配ないだろうが、崖から滑落したり・・・そういう危険もあるだろう?」
「───・・・・・・あー、ソーダネ・・・」
「・・・おい、その間は何だ。何で急に片言になる? ・・・・・・まさかとは思うが、どれかに引っかかったのか?」
「・・・・・・」
「イ・ツ・キ?」
うっ・・・・・・。
シュルツの圧に耐えきれなくて結局全部吐かされた。
「あのー、初めて森に入ったときにね・・・段差に気付かずに・・・落ちました」
何となく敬語になってしまう。
圧迫面接ってこんな感じなのだろうか? いや知らないけど。
(※注 たぶん違うと思う)
僕がそう言ったら一気にシュルツのカッコいいお顔が険しくなりました。
ひえっ!!
「・・・・・・他には?」
「え、えと・・・・・・倒れた木に躓いて転んで・・・土砂崩れで埋もれ───ひいっ?!」
シュルツの顔が般若になった?!
怖いっ、こあいよ───!!
僕は若干涙目で青い顔をしていたのだろう。
気付いたシュルツがさあっと威圧を消して何とか元のイケメンに戻ってくれた。
「・・・スマン、怯えさせるつもりでは・・・」
バツが悪そうにそう言ったシュルツにホッとして僕も言った。
「ううん。僕を心配してくれたんだよね? その様子が精霊達と同じで・・・嬉しい。ありがとう」
「あ、いや・・・うん。とにかく、そういう危険があるから・・・というか、森人なのに森に慣れてないのか? それとも単にドジなのか・・・」
シュルツの言葉にちょっとムッとする。
「ドジじゃないよ・・・たぶん。(こんなに深い)森に入ったことないんだから仕方ないでしょ? これでも慣れたんだよ」
『・・・今でも転けてるよね?』
『木の枝に顔、良くぶつけてる』
『大きい木は避けてくれるけどね』
『若い木は動かないからぼーっとして良くぶつかってるー』
『『『『ドジっ子』』』』
「酷い」
そんな精霊達との会話を聞きながらちょっと考え事をしているシュルツ。
いやいや、そんなに僕、ドジっ子じゃないはず。
「・・・うんまあ、とにかく付いていくからな。そもそもイツキと離れたくない」
「え?」
どういう意味?
「まあ良いから、イツキは何時ものように動いてくれていい。危険があれば俺が動くから」
「・・・うん。じゃあよろしく。あ、ルキアはどうするの?」
『我はココで寛いで適当に帰るよ。気を付けてな。竜の子、イツキを頼むよ』
「はーい、行ってきます」
「任されました」
そうしてロッジから離れて森へと足を踏み入れる二人だった。
(イツキが過去の話を言いたくないと発言したのをシュルツと初めて会った時の発言に修正・追加しました)
「あっさごっはん! あっさごっはん!」
『ご機嫌だね、イツキ』
「だって昨日のお昼御飯、めちゃくちゃ美味しかったから、朝御飯も絶対美味しいでしょう? 凄いよね、シュルツ。僕は何にも出来ないのに」
ルンルン気分で階段を降りると、やっぱり良い匂いが・・・。
途端にグーとお腹が鳴る。
それにいち早く気付いたシュルツがササッと近寄って、座らせてくれる。
・・・・・・うん、シュルツのお膝の上だね。
───何で?
「あの」
「ほら、冷めるぞ。あーんは?」
「え、あ、あーん?」
思わずつられてあーんをしてしまった。
そこにすかさずスープを掬ったスプーンが入れられる。
「んむっ・・・・・・んくっ・・・ウマあ・・・」
今日のはコーンスープ?!
「甘くて滑らか、とろとろ濃厚で幾らでもゴックン出来るぅ」
「・・・・・・っぐぅ・・・・・・だから・・・その顔でその言い方・・・無自覚で煽るの止めてくれ・・・」
「・・・ほあ? 何か言った?」
恍惚としていたらシュルツが何か言ったみたいなんだけど、聞こえなかった。
僕ってエルフで長い耳持ってるのにけっこう聞こえないんだよね?
何で?
『それは耳が悪いんじゃ無くてぇ・・・』
『意識が違うとこにいっちゃってるからでしょ』
『イツキって興味ないことにはとことん無関心だよねぇ』
『あと、自分の世界に入りがち』
そんな精霊のぼやきも、美味しい朝食の前ではただのそよ風のように流されていったようだ。
『ほんに難儀よのう・・・。何となく分かってはいたが、こうも天然なお子様だとは・・・・・・竜の子、頑張れー』
光の精霊王ルキアがソファで寛ぎながらそう呟いていたが、やはり樹希には届かなかった。
シュルツはしっかり拾っていて苦笑していたが。
結局、美味しい朝食を前に『何故シュルツの膝上であーん?』という疑問もすぐに忘れて完食した樹希だった。
さて、樹希の無意識な煽りにも耐えたシュルツはザッと軽く武装をすると樹希に声をかけた。
「イツキ、今日は森を見て回るのだろう? 俺も一緒に行くからな」
「え? 良いの? でもけっこう歩くよ?」
「イツキよりはよほど体力も経験もあると思うが?」
「うえ? あっうん・・・・・・ソーダネ・・・」
Sランクの冒険者っていってたっけ。それに竜人なんだよね?
・・・て事は強いんだろうなあ。
でも精霊の森はそんな危険な生き物はいないと思うよ?
そう言ったら、そうじゃないと返された。
「例えば、古くなった枝や木が不意に倒れたりするかもしれない。落石も。それに、精霊達もいるから心配ないだろうが、崖から滑落したり・・・そういう危険もあるだろう?」
「───・・・・・・あー、ソーダネ・・・」
「・・・おい、その間は何だ。何で急に片言になる? ・・・・・・まさかとは思うが、どれかに引っかかったのか?」
「・・・・・・」
「イ・ツ・キ?」
うっ・・・・・・。
シュルツの圧に耐えきれなくて結局全部吐かされた。
「あのー、初めて森に入ったときにね・・・段差に気付かずに・・・落ちました」
何となく敬語になってしまう。
圧迫面接ってこんな感じなのだろうか? いや知らないけど。
(※注 たぶん違うと思う)
僕がそう言ったら一気にシュルツのカッコいいお顔が険しくなりました。
ひえっ!!
「・・・・・・他には?」
「え、えと・・・・・・倒れた木に躓いて転んで・・・土砂崩れで埋もれ───ひいっ?!」
シュルツの顔が般若になった?!
怖いっ、こあいよ───!!
僕は若干涙目で青い顔をしていたのだろう。
気付いたシュルツがさあっと威圧を消して何とか元のイケメンに戻ってくれた。
「・・・スマン、怯えさせるつもりでは・・・」
バツが悪そうにそう言ったシュルツにホッとして僕も言った。
「ううん。僕を心配してくれたんだよね? その様子が精霊達と同じで・・・嬉しい。ありがとう」
「あ、いや・・・うん。とにかく、そういう危険があるから・・・というか、森人なのに森に慣れてないのか? それとも単にドジなのか・・・」
シュルツの言葉にちょっとムッとする。
「ドジじゃないよ・・・たぶん。(こんなに深い)森に入ったことないんだから仕方ないでしょ? これでも慣れたんだよ」
『・・・今でも転けてるよね?』
『木の枝に顔、良くぶつけてる』
『大きい木は避けてくれるけどね』
『若い木は動かないからぼーっとして良くぶつかってるー』
『『『『ドジっ子』』』』
「酷い」
そんな精霊達との会話を聞きながらちょっと考え事をしているシュルツ。
いやいや、そんなに僕、ドジっ子じゃないはず。
「・・・うんまあ、とにかく付いていくからな。そもそもイツキと離れたくない」
「え?」
どういう意味?
「まあ良いから、イツキは何時ものように動いてくれていい。危険があれば俺が動くから」
「・・・うん。じゃあよろしく。あ、ルキアはどうするの?」
『我はココで寛いで適当に帰るよ。気を付けてな。竜の子、イツキを頼むよ』
「はーい、行ってきます」
「任されました」
そうしてロッジから離れて森へと足を踏み入れる二人だった。
501
お気に入りに追加
2,657
あなたにおすすめの小説
セカンドライフは魔皇の花嫁
仁蕾
BL
星呂康泰、十八歳。
ある日の夕方、家に帰れば知らない男がそこに居た。
黒を纏った男。さらりとした黒髪。血のように赤い双眸。雪のように白い肌。
黒髪をかき分けて存在を主張するのは、後方に捻れて伸びるムフロンのような一対の角。
本来なら白いはずの目玉は黒い。
「お帰りなさいませ、皇妃閣下」
男は美しく微笑んだ。
----------------------------------------
▽なろうさんでもこっそり公開中▽
https://ncode.syosetu.com/n3184fb/
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。
イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。
力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。
だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。
イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる?
頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい?
俺、男と結婚するのか?
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
【本編完結】再び巡り合う時 ~転生オメガバース~
一ノ瀬麻紀
BL
僕は、些細な喧嘩で事故にあい、恋人を失ってしまった。
後を追うことも許されない中、偶然女の子を助け僕もこの世を去った。
目を覚ますとそこは、ファンタジーの物語に出てくるような部屋だった。
気付いたら僕は、前世の記憶を持ったまま、双子の兄に転生していた。
街で迷子になった僕たちは、とある少年に助けられた。
僕は、初めて会ったのに、初めてではない不思議な感覚に包まれていた。
そこから交流が始まり、前世の恋人に思いを馳せつつも、少年に心惹かれていく自分に戸惑う。
それでも、前世では味わえなかった平和な日々に、幸せを感じていた。
けれど、その幸せは長くは続かなかった。
前世でオメガだった僕は、転生後の世界でも、オメガだと判明した。
そこから、僕の人生は大きく変化していく。
オメガという性に振り回されながらも、前を向いて懸命に人生を歩んでいく。転生後も、再会を信じる僕たちの物語。
✤✤✤
ハピエンです。Rシーンなしの全年齢BLです。
11/23(土)19:30に完結しました。
番外編も追加しました。
第12回BL大賞 参加作品です。
よろしくお願いします。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる