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12 目が覚めたら次の日でした
しおりを挟む穏やかな陽射しが部屋に差し込んでいて、目が覚めた。
───あれ?
僕って、お昼ご飯食べさせて貰って・・・たぶん寝ちゃったんだよね?
で?
今何時?
サイドテーブルの時計を確認しようとして顔を横に向けたら目の前が肌色だった。
目を瞬いてジッと見てみたら、ムチッとした胸筋がはだけたシャツからコンニチハしてた。
「おはよう」
「・・・おはよう・・・?」
耳元で挨拶されて、反射的に返したけど、疑問形なのは仕方ないよね?
───そう、僕は何故かシュルツに抱き込まれて寝ていた。
唯一の救いは自分のベッドだったこと。
寝惚けてシュルツのベッドに突撃したんじゃなくて良かった!
イヤでも、もしかしてこの状況は僕のせいだよね?!
一体どうした昨日の僕───!!
固まっている僕を見てふっと笑ったシュルツが、僕の額に触れるだけのキスをして起き上がった。
───ほええ───!!
何サラッとカッコいいことしてんの!
コレっていわゆる外国の人の挨拶だよね?!
元日本人としてはスキンシップ過剰な恥ずかしいヤツ!
『まあ、あいさつ・・・かな?』
『家族とか親しいヒトにはするかな?』
『イツキ、ナヴィに聞かないの?』
『教えて貰えば良いじゃん』
「おはよう・・・んん? え、教えて貰うほどのこと?」
精霊達がふよふよしてそんなことを言ってくるが、それくらいは地球知識で知ってるよ?
ハグとか頬にチューとか、海外の人は普通にしてたよね?
『御飯あーんは?』
「・・・美味しかったから思わず?」
『竜の人と一緒のお布団は?』
「え、雑魚寝と一緒? さすがに大きくなってからは無いけど」
そんな僕の応えに精霊達と何故かシュルツも一緒に溜息。
何で?!
『イツキ、ニブチン』
『鈍すぎ』
『鈍感』
『イツキらしい』
「・・・ここまで意識されて無いと、呆れを通り越してもはや虚しいな・・・」
「何々、何で? 何なのもう? どういう事? 僕が悪いの?」
「・・・・・・いや、もうあからさまに行動しないとダメなんだと思っただけだ」
せっかく爽やかに起きたのにー、と不機嫌になる樹希を宥めて着替えを促すシュルツ。
「───そう言えば僕、寝ちゃったんだよね? 運んでくれてありがとう。あと・・・着替えも、もしかして・・・」
「ああ、悪いと思ったが、洗浄魔法で綺麗にしたあと俺のシャツに着替えさせた」
「通りで・・・ぶかぶかだったわけね。肩も落ちそう。わあ、腿まで隠れる。大きいねえ」
そう言って落ちた肩をズルズル持ち上げつつ下をペロッと捲った。
それを見たシュルツがギョッとした。
「あ、下は僕の下穿きだった。さすがにそうだよね」
シュルツのパンツじゃあハーフパンツどころじゃ無いよね。
うんうんと一人で納得していたらシュルツが真っ赤な顔で部屋を出るところだった。
「シュルツ?」
「・・・・・・いや、ゆっくり着替えて下においで。朝御飯作って待ってる」
「あ、うん。ありがとう」
パタンとドアが閉まり、静かになる寝室。
『其方は相変わらずお子様だな』
「!! ルキア、おはよう」
『おはよう、イツキ』
「お子様って、何?」
不意に声がかけられて振り向くと光の精霊王ルキアがいつの間にかいた。
輝く金の長い髪に柔らかい翡翠色の瞳で、ダルクよりは女性的な細い面立ち。
『そのままよ。見た目もそうだが、中身も同じように幼い』
「・・・・・・うーん、子供っぽいのは認めるけど」
何がどうとかは分からない。
『何、先は長い。ゆっくり経験していけば良い』
そう柔らかく笑うルキアに、まあいいやと着替えをする。
『そういうところが子供なんだがな。我らは好きだが』
周りの目を気にせず裸になってうろうろするイツキを見て溜息を吐く光の精霊王。
着替えを終わらせた頃、下からシュルツが朝食だと声をかけてきた。
「はーい、今行く! 何かな、楽しみ!」
ウキウキと部屋をあとにするイツキに苦笑するルキア。
『竜の子も、イツキがアレでは苦労するだろうなあ・・・』
そう言ってルキアも下へと移動するのだった。
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