優しい庭師の見る夢は

エウラ

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※樹希の回想が入るので時系列がちょっとややこしいかも。
女性向けHOTランキングにランクインしてました。嬉しいです。




竜に驚いて気絶し、寝室でイケメンに遭遇して気絶した樹希。

あの後すぐに目覚めたんだけど・・・。

どうしてこうなったんだろうかとちょっと遠い目をして過去を振り返っていた。



穏やかに毎日が過ぎていき、前世の自分の亡くなった歳になった。

エルフだからか、髪は伸びたのに背は全く伸びず、いや、身長どころか横にも育たず、四年前と全く変わらない体型だった。

エルフといえば、エルフにもハイエルフという、エルフの上位互換の種族があって、そちらは20人いるかどうかってくらい稀少なんだって頭の中の知識さんが教えてくれた。

どうやら僕はそのハイエルフらしい。
エルフよりも優れててめちゃくちゃ長生きなんだとか。

そういえばどのくらい長生きなのか知らないな、と思ってみたら、何と数千年って浮かんできて唖然としたよね。
普通のエルフでも千年はあるらしいけど。

でも精霊達も何もなければそれくらい生きるよと教えて貰って一安心した。
だって皆とお別れなんて、あの前世の時だけで十分だもの。

ああ、精霊王達もいた。
光・闇・火・水・風・地の精霊王が最初にやって来て、初めましてをした。

皆、優しそうな精霊王達だった。
それから、誰かしらはロッジに来て寛いでいる。

それでこの知識さんをナビゲーターからナヴィと勝手に名付けた。
そうしたら何故かステータス表示出来るようになって、『神の』という最上位の鑑定スキルが生えた。

おかげで視ようと思えば何でも表示されるようになった。
食べられる物は調理法が表示され、それがどんな風に体に良いとか、薬や錬金術に使える物はその使用法や精製法、効果まで表示される便利なスキル。

記憶力も良くなったのか、元々の知識なのか、見聞きしたものは忘れないようだった。
助かるから良いんだけどね。

・・・もう色々ツッコむのは諦めて、日々、楽が出来て良いなあくらいに思っておいた。

そんなとりとめの無い平々凡々な毎日を過ごしてたある日、急に文字通り降って湧いた黒竜・シュルツさん。

驚いた僕は腰が抜けて仰向けに倒れていたんだけど、その様子に焦ったシュルツさんは竜のままツッコむように降りてきて。
僕は更に驚いて気絶。

・・・仕方ないよね?

そこでシュルツさんは人型になって僕を寝室に運び、様子を窺っていたら僕が目を覚まして、目が合ったら再び気絶・・・。

何でどうして俺のせい?!・・・と呆然としたらしいです。

───ほんっと、スミマセン!
実際、シュルツさんのせいだけども。

ひたすら謝り、リビングでハーブティーを飲みながら話を聞くと、どうやら精霊の森に新しい管理者が住みだしたようだと噂になり、冒険者ギルドに依頼が来て様子を見に来たんだそう。

四年も経ってるのに、今頃何で?
───と思っていたら、森が広大過ぎてここ四年の間に僕がちまちまやっていた森の整備ぐらいじゃあ全然分からなかったらしい。

なるほど?
僕的には頑張って熟してたつもりだったけど、日々、雀の涙ほどだったとは・・・。

思わず遠い目をしてしまったよ。
良いんだ。まだまだ先の長い人生、ゆっくりまったり過ごすんだ!

それでも最近、精霊達が気持ち良さげに過ごしているのを良く目にして、気にしてみたら森が清浄な魔力に溢れているのが分かって。

それで調査してこいってなったらしい。

そこで白羽の矢が立ったのがシュルツさん。

シュルツさんは竜人でした。
そんでもってSランク冒険者なんだって。
凄いよね。
あの時は竜になって飛んだ方が早いからってあの姿だったそう。
普段は人型だって。良かった。
カッコいいけどあのサイズでロッジの庭には降りられないし。

今回の依頼は管理者の存在を確認する事だから冒険者ギルドに戻って僕のことを報告して終わりなんだって。

それで僕とちょっと話をして帰っていったんだ。

4年より前・・・僕にとっての前世の様子を聞かれたけど、良い思い出がなさ過ぎて、言いたくないと拒否してしまった・・・。

でもどうやら名前と種族と4年前からココにいるって事くらいで良いらしい。
・・・良いんだ? 緩いね。
過去の話はしたくなかったから良いんだけど。

初めて精霊以外の人と話したのが新鮮でどきどきしたからか、帰った後、ちょっと寂しかった。

別に外と関わりを持たなくても生きていけるって思ってたけど、いざこうして会って話をすると途端に人恋しくなって・・・。

「でもまあ、お仕事で来たんだし、そりゃあ帰るよね。お仕事じゃなきゃ、もう来ることないよね」

ちょっぴり残念なんて、思って無いったら無い!

精霊達に慰められてちょっと不貞腐れながら眠りについた次の日・・・。

起きて朝の空気を吸おうとデッキに面した掃き出し窓を開けたら、目の前にシュルツさんがいた。

「おはよう、イツキ」
「・・・・・・お、はよう・・・ございます?」

さわやかな笑顔で挨拶されて、戸惑いつつも挨拶を返す。

何でいるのとか、何時に来たのとか、聞きたいことはたくさんあったけど。

心がぽかぽかしたから、まあいっか、と笑ったのだった。






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