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64 魔導師と隣国の魔剣士 1
しおりを挟むセイリュウが魔導師団長となって仕事が落ち着いた頃、ロザリンドの母の母国であるリヴァージュ王国から招待状が届いた。
リヴァージュ王国にはセイリュウの住むフォルレイク国のような魔導師団の他に魔剣士団がある。
フォルレイクの騎士団よりも戦闘魔法に特化した騎士が所属していると、以前レグルス父様に教わった。
その魔剣士団の団長がセイリュウとの面会を希望しているという。
「・・・知り合いだったか?」
ロザリンドに怪訝そうに聞かれて首を傾げるセイリュウ。
「いいや? 全っ然知らない人。名前も顔も面識無し。大体、僕、生まれてこのかた、辺境の神殿付近と王都の魔導師団と仕事で結界魔導具の点検に行ったくらいのもんだよ? あっ、ロズんちも行ってるけど、向こうの魔剣士団と関わりないもんね?」
「---行動範囲、狭っ・・・て、あ、そういえばルラック公爵が向こうの騎士団全般の総長を任されていたな。そうか・・・そこからセイリュウの事が伝わった可能性もあるな」
一人納得しているロザリンドの横で、驚いているセイリュウ。
「え? ルラック公爵ってそんなに凄い人だったの? そりゃあ、前にあったときに年齢の割に凄い筋肉だなーとは思ったけども・・・」
がっちりムキムキの歴戦の老騎士って感じだったよね。
「そういえば言ってなかったな。・・・で、どうする? 断ってくれても全然構わないが・・・」
「うーん、ロザリンドが一緒に行ってくれるなら良いよ。僕もリヴァージュに興味あるし。外国に行ったことないからさー」
「なら、旅行がてら行ってみるか。特に日時の指定は無いから、連絡してから調整しよう。おそらくルラック公爵家に滞在になると思うが」
「全然問題ないです! やった! ロズとお出かけ!!」
魔剣士と会うということよりもロザリンドと出かけられることにルンルンなセイリュウを見て嬉しくてニヤけるロザリンドだった。
それから間もなく、セイリュウの知らぬ間に向こうとやり取りをしていたらしいロザリンドから、来週リヴァージュに行くことを教えられた。
「向こうとの調整が済んだ。こちらの仕事の方もすでに調整済みだから、セイリュウは出発前の荷造りくらいで大丈夫だよ」
「早っ、え、良いの?」
いつの間にそんなことやってたの?!
全然気が付かなかったんだけど!
「全部手配済みだから安心して」
「さすがスパダリ。凄いね」
思わず前世言葉が出ちゃった。
ロズは聞き慣れない言葉にキョトンとしたが、気を取り直した。
「すぱ・・・? まあ良いか。あと、さすがに国を跨いだ転移は禁止されてるから、馬車で行くことになる」
「馬車!! 二回目! でも初の長旅、ちょっと楽しみ」
前世での中世とかの馬車だと乗り心地は悪いってイメージあったけど、コッチの馬車は魔法とか魔導具とかあるからそこまで悪く無かった。
「そんなに楽しみにするほどのモノじゃ無いと思うが・・・乗り心地は、セイリュウがどう思っているか知らないが、以前よりも改良しているらしくてそんなに悪くは無いと思うぞ」
「そうなんだ、ソレも楽しみ!」
そんな風にわくわくしながら、あっと言う間に出立の日になった。
「そういえば、馬車だと向こうにどれくらいで着くの?」
「・・・・・・今更だな。セイリュウらしいが・・・公爵家からだと二泊する事になるな。それもちゃんと宿を確保してあるから心配ないぞ」
「えー、野宿とかじゃ無いんだ?」
「・・・騎士の訓練じゃあるまいし、お前を野宿させるわけ無いだろう。一応、魔導師団長で元王弟殿下の御子息で現陛下の従弟なんだから」
「・・・一応って・・・。まあ、言われればそうなんだけど・・・」
ちょっと野宿してみたかったな。
そんな事を話しながら馬車に乗り込む。
・・・ウン、以前のよりめちゃくちゃ豪奢。
シンプルだけど品が良い。
でも如何にもお金持ちですよって感じの、素材が高級感満載・・・。
そんでもって、改良されたという乗り心地は最高に良い。
想像の斜め上を行く素晴らしさ。
「ナニコレ、全く揺れないんだけど?!」
「そこは魔導具で揺れなくしているからな」
「みんな、こんななの?」
「いや、さすがにそれなりに高いモノだから乗合馬車や庶民の荷馬車なんかは普通に揺れるよ」
ロザリンドの応えに、それもそうかと思う。
やっぱりお金持ちは違うね。
ロザリンドに窓の外の景色や見慣れないモノの説明を聞いているうちに、いつの間にかロザリンドに凭れて夢の中のセイリュウだった。
※めっちゃ久しぶりです。ぼちぼち書き進めていきたいと思います。不定期になると思いますが、お付き合い下さいませ。
セイリュウの国の名前って出してなかったと思うのですが、万が一出してて違ってたら教えて下さいませ。
※馬車に乗るのが今回二回目ではとのご指摘で、確認したら以前、一度乗ってましたので修正致しました。
ありがとうございます。
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