癒しが欲しい魔導師さん

エウラ

文字の大きさ
上 下
59 / 85

59 魔導師は認知される

しおりを挟む

---それから間もなく。


正式にレグルス父様と俺は実の親子だと公表することになり、その時の衣装を父様とお揃いで作ったり、ロザリンドとの婚約発表も正式にやっちゃえって事になって衣装にお互いの色を取り入れたりと忙しなく日々が過ぎていった。

その間も相変わらず療養休暇ということで職場には顔を出さず、ロザリンドも俺専属護衛騎士なんだからとずっと一緒にいる。

以前、回復した頃に一度、魔導具で誤魔化して顔出ししたけど今回の公表からはもう今の姿のままでいいらしい。

というか、そのまんまの方が、レグルス父様にそっくりだから疑いようが無いって。

なるほど確かに。


そうして迎えた発表当日。

謁見の間で父様とロザリンドと共に跪き頭を下げて待っていると、新国王陛下であるエドワード様が入ってきたのが分かった。

レグルス父様や俺達の名を呼び、父様とスピカ母様を正式に夫婦として認め、その二人の実子だと俺を認める文書を読み上げる。

更にロザリンドとの婚約発表も終えて、祝福の言葉をかけて貰った。

「レグルス叔父上。長い間、たくさんの不幸を耐え忍んで、今ようやくこうして顔を突き合わせて話が出来ること、嬉しく思う。セイリュウ、其方は紛れもなく私の従兄弟。本当に叔父上にそっくりだな。其方にも言い尽くせないほどの苦労をかけた。これからは従兄弟として遠慮なく頼ってくれ」

親しげにかけられる声は優しくて、本当にそう思ってくれているのだと、嬉しくなった。
父様と二人で返事をする。

「「もったいないお言葉でございます」」

次にロザリンドに声をかける陛下。
こちらも優しい声だった。

「オーディン公爵子息ロザリンド、此度はセイリュウとの婚約おめでとう。これからはずっと、セイリュウの為に側にいてやってくれ」
「もちろんでございます。ありがとうございます」

ロザリンドは殊勝な態度で応える。

「では、これより国民に向けてお披露目を行う。皆、テラスへ」


そう言って連れられた広いテラスから外を見ると、城の外には大勢の国民が集まっていた。

「「「おめでとうございます!」」」
「「「レグルス様、素敵!」」」
「「「セイリュウ様、ご苦労様です!!」」」

わあっと声が上がってたじろぐセイリュウをそっと抱き寄せてテラスへと向かうロザリンド。

セイリュウ以外の人はごく当たり前のように振る舞っていた。

---ええ、これって俺の反応が普通じゃないの?!

セイリュウは内心ビビりながら国民達の前に立つと、軽く手を振った。
この辺は父様からずっと仕込まれたマナーで自然と出来るようになっている。

父様、ありがとう!!
こんなの何時役に立つんだと思っていたけど、やってて良かった!!


こうしてあっと言う間に顔見せは終わり、晩餐会を・・・とはならずに、これでお開きとなった。

父様も俺もそんなこと望んでないし、どうせならその分、国民に還元して欲しいと辞退したからだ。

---うん、決して面倒臭かったからじゃないぞ!

でもせっかくだからと、一泊だけ王城に寝泊まりさせて貰った。

父様は昔使っていた部屋がそのまま残っているそうで、そちらに泊まるそうだ。

俺とロザリンドは貴賓室に案内されてビビりながらも寝た。

ちなみに、ロザリンドに乞われるまま、防音防御結界やら神殿の結界のパワーアップバージョンを部屋に重ねがけしておいた。

当然、父様にも。
ああ、言われてエドワード陛下の部屋もね。
だってたぶん色々とヤバそう。
命絶対に狙われるよね?!

婚姻してようが婚約してようが、既成事実を狙っている輩は多いはず。

そんな日常生活・・・絶対人間不信になるよね。

俺はそんなヤツら絶対、通さないぞ!



---そうして深夜、大捕物があったことをセイリュウは知らない・・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ
BL
転生者であるセラータは宮廷魔導師団長を義父に持ち、自身もその副師団長を務めるほどの腕のいい魔導師。 幼馴染みの宮廷騎士団副団長に片想いをしている。 その幼馴染みに自分の見た目や噂のせいでどうやら嫌われているらしいと思っていたが・・・・・・。 ※竜人の番い設定は今回は緩いです。独占欲や嫉妬はありますが、番いが亡くなった場合でも狂ったりはしない設定です。 普通に女性もいる世界。様々な種族がいる。 魔法で子供が出来るので普通に同性婚可能。 名前は日本名と同じくファミリーネーム(苗字)・ファーストネーム(名前)の表記です。 ハッピーエンド確定です。 R18は*印付きます。そこまで行くのは後半だと思います。 ※番外編も終わり、完結しました。

悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ
BL
『魅惑のプリンセス』というタイトルの乙女ゲームに転生した俺。転生したのはいいけど、悪役令嬢の双子の兄だった。

処理中です...