癒しが欲しい魔導師さん

エウラ

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46 魔導師は職場見学をする 3

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セイリュウが祈った細やかな祝福は誰にも気付かれないまま、ほわっと吸い込まれた。

それは本当に細やかな幸せを願う想い。
神様は空気を読んでくれたようだ。


魔導師達がわいわいと大騒ぎの中、事務官のアネストがセイリュウに話しかけた。

「この後、お時間って少し貰えませんか? 事務官達もセイリュウ様の元気な様子を見たがってまして。もちろん魔導具の姿のままで結構ですので」
「・・・ロズ、良い?」
「もちろん。じゃあ今から行くか」
「ありがとう、ロズ」
「ありがとうございます!」

そうして事務官達にも顔を出し、いつぞやの防犯の魔導具の御礼を言われて気恥ずかしくなりながら別れ、次に元々予定していた第三騎士団の詰め所に向かった。


「・・・ここがロズの職場・・・。初めて来た」

たくさんの騎士達が鍛錬をしたり書類仕事をしている。

その中で若いけどがっちりした体格の騎士がロザリンドに気付いてやって来た。

「オーディン副団長!! セイリュウ副師団長!! いらっしゃいませ!」
「お前は確か、今私の代理を務めている騎士だな。エヴァンから話は聞いている。優秀だそうだな」
「ありがとうございます! セイリュウ副師団長以下魔導師達を御守りするのが我らの役目。鍛えて鍛えまくっております!」
「・・・へ、へえ、そう・・・凄いね? 頑張って?」
「もちろんです!」
「「「「「おお---!!」」」」」

雄々しい雄叫びにびくっとしてロザリンドにしがみつくセイリュウ。

ついでとばかりにロザリンドが爆弾を投下する。

「ちなみに私とセイリュウは婚約したのでそのつもりで(鍛錬励めよ)」
「「「「「ウオオオ---!!」」」」」
「ヒエッ」

セイリュウは一人で過ごすことが多かったので、未だに賑やかなのに慣れていない。
なので大声や大きな動作にいちいち反応してしまい、その都度ロザリンドにしがみつく。

それに気付かず、詰め所がワッと盛り上がってまたしがみつく・・・を繰り返して、ぐったりとしてしまった。

「団長室に行こうか。エヴァン・・・俺の補佐を務める男だが、今、団長が不在なので代わりに書類仕事をしてくれているんだ」
「え、団長さんいないの?」
「ああ、一身上の都合で団長の役職を辞したが、騎士団には残っている。ちなみに俺が次期団長予定だ。職場復帰したら団長に任命される事になってる」
「え?! 凄いねロズ!! さすが僕の婚約者様!!」

セイリュウが頬を紅潮させて嬉しそうに言ってくれるのにデレデレしながら団長室に行き、エヴァンに挨拶をする。

「こんにちは、初めまして・・・? ん?」
「こんにちは。初めましてじゃあ無いですけど」
「---だよねえ? 4年前、アソコにいた人?」
「ええ、腕を噛み千切られ、死ぬところを助けて頂きました。ありがとうございます」

そういって頭を下げるエヴァン。

「じゃあ、さっきの騎士達も・・・?」
「ええ、半分ほどは当時救われた者達で、半分は新しく入った者です」
「そっか。あの時助けられた命が、今度は僕達を護ってくれてるんだ・・・こちらこそありがとうございます」
「良かったな」
「うん」

こうして何とか職場見学を終えたが、無理が祟ったのか、その日の夜から熱が出てまた数日寝込むことになったのだった。




※遅くなりました。難産でした。
次話も書け次第投稿しますね。


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